ジャック・マカラルの水煮缶詰、
高価な’さば’の缶詰
スリランカ料理・道案内 第8回 スリランカ料理・道案内 
No.8 ジャック・マカラル なんとなく水煮’さば’缶 2006-11-07

 ●どんなふうに調理してもこの缶詰だけはおいしいよ。だまされたと思って食べてご覧。
 友人の母がそう言って、スリランカ産の魚の缶詰けをくれた。缶詰は一切信用していないのだけど、断れなくて貰ってしまった。
 貰ったのだけど、大体缶詰のラベルに真っ赤な色が使われているなんて食欲がそがれる。調理例の写真があるけど、これがスリランカ風西洋料理の典型です、と言わんばかりの写真はコンビーフみたいな魚の切り身がどさっと皿に投げ出されていて、ああ、ますます、食欲が・・・

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スリランカの缶詰には閉口する。アンブル・ティヤルの缶詰があって、それを買って食べたことがあるけど、ぜんぜんアンブルしてなかった。
 そして、味にこだわるシンハラ人向けであるにしては、どの缶詰も大味で、風味に乏しい。
 だから期待はしてなかったのだけど、缶詰を開けて驚いた。
 それはまるで、さばの水煮缶の味だったのだ。ジャック・マカラルの頭を落として、腸もとらず水煮にして缶詰にしただけのシンプルな味。その魚臭さは日本のさば缶のよう。しょうゆが欲しくなった。ついでにきゅうりの塩漬けが欲しくなった。

 ●スリランカ料理はこのところアジア化している。日本のエスニック料理が中国料理の変形にとどまって定着したように、スリランカの現代人が喜ぶ料理はほとんどタイ料理まがいなのだ。タイのピリ辛ケチャップが大いに喜ばれて、古風でスローな田舎のスリランカ料理は忘れ去られてしまったかのよう。砂糖の甘味と油脂とついでに化学調味料。中国料理に欠かせない三種の神器がスリランカをも席巻した。
 ジャック・マカラルの缶詰はそのまま食べたほうがいい。下手に熱を加えると異臭に悩まされる。 


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