シルバー・チップ、銀のかけら。
もっとも高価なスリランカ・ティ。
スリランカ料理・道案内 第7回 スリランカ料理・道案内 
No.7 シルバー・チップ 銀のかけら 2006-07-27

 ●ヌワラエリヤ。紅茶の産地。茶畑の中にひときわ高く、大きくそびえる建物がある。朝摘んだ茶葉がしんなりするころ、ここで製茶が始まる。
 紅茶エステートの茶工場の回りに屯う芳醇な茶葉の香りを知ってからは日本で紅茶を買う気がまったくしなくなった。
 スリランカの紅茶はBOP、粉々になったブロークンばかりだと思っていないだろうか。日本に入ってくるスリランカの紅茶は、確かにBOPばかり。ウバやらディンブラなど産地名がそのまま銘柄になって本場の雰囲気出してるけど、スリランカの紅茶はすべてがブロークンではない。

 Tomocaのころ、毎年、紅茶を買出しに行っていた茶園では茶葉を自然乾燥させていた。その茶園より下にある大エステートの茶園ではで きない手作りの味があった。
 ここに最高級のシルバーチップ、銀のかけらと呼ばれる茶葉がある。以前は観光客が立ち寄る販売所では売っていなかった。

 Tomocaのころ、茶園のテイスターの部屋で

これを飲ませてもらった。今では大層な値をつけて観光客用の販売用の棚に置かれている。
 マントル猫の毛並みのような色をしたその茶葉は香りが薄い。ポットで淹れてカップに移すと水色も薄い。口に含むと味も薄い。アラブの大富豪がシルバー・チップのお得意様だという。


 ●英国紅茶経由の博学知識ではシルバー・チップの意味が勘違いされている。それは茶葉の一芯二葉のその先っちょを指す、とあるのだが、実際のシルバーチップは「その先っちょ」と言うには馬鹿でかい代物だ。これは茶葉の部分を言うのではなく、その製茶法が並みの紅茶とは異なると覚えたほうがいい。茶園のテイスタールームに置かれたシルバーチップは丸籠の上でのんびりと干されていた。
 シルバー・チップは後味が命。また、淹れた茶が冷めてからが、特に味の本領を発揮する。茶タンニンの渋みにほのかな茶の甘い香りが乗っているのがはっきりとするからだ。

 ●写真でご覧のとおり、シルバーチップはOPだ。それもかなり大きい。5分間は茶葉を湯の中に置いて香りと味の浸み出るのを待つ必要がある。5分待ってやっとやんわりした甘みがにじみ出る。そう言えばダージリンを扱うケーキ屋さんがこれを「とろみ」と表現していた。なるほど、うまい表現だと思う。

 「銀のかけら」シルバーチップをオレンジ・ペコと言うのは矛盾だし、オレンジ・ペコそのものが「橙色の白い色」というアナクロ言葉。だが、紅茶業界の言語矛盾に頓着する必要はない。紅茶のアナクロニズムは大航海時代の世界史的な産物なのだ。

 茶園へ行く機会があったら、ぜひともこの茶を試して欲しい。何処の茶園にでもあるというわけではないけれど。


 帰りの空港でスリランカ名物の紅茶を買い求めようとするのは、ちょっと考えたほうがいいかもしれない。国際空港はきれいになったけど、売店はかなりお寒い。写真はヌワラエリヤ・プッセルラーワ茶園のシルバーチップ。

スリランカ料理・道案内 INDEX