皿が新しいから?
カバーの話。
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No.3 皿が新しいから? カバーの話
2005-12-09


 昔、ウェーヤンゴダの駅前にオスパンサラというかゆ屋があった。ミーガムワから車でカンダ・ウダ・ラタ(カンディ)に行くときは、この駅脇の踏切を渡ってカンディ・ロードにはいる。踏切を渡る前に車を停めて、必ずその店で、ハクルをかじりながら草かゆを朝食代わりにぐっとすすったものだった。オスパンというのは薬用の草かゆのことを言う。
今は、そのかゆ屋もなくなり、間口は狭いが小奇麗な新しい店がいくつか建ち並んでいる。
アーユルウェーダ大学病院前の薬局で友人の母に頼まれた薬を調合してもらい、その後、昼飯を駅前のタミル料理店でとった。タミル料理はシンハラ人に評判がいい。みんな、トーセーが大好きだからだ。
 椅子もテーブルも真新しい店だった。と言えば、店の様子はわかるだろうか。客用の椅子にはビニールカバーが掛かったままで、テーブルも汚されたり傷つけられないようビニールクロスが掛けられている。

 そして、丁寧なことにテーブルの運ばれてきた真新しい皿にもカバーが掛かってる。電子レンジに入れてチンする皿にラップをかけるようにビニール掛けの皿がでんと置かれた。
 新品然とした皿。透明ビニールの下に皿の花模様が見える。それを取ってから皿を使うのではない。サンバルもカリも大好きなトーセーも皿の上ではなくて、皿の上に掛けられたビニールの上に店の人が盛ってくれる。
 透明ビニールが皿に掛けられている時はそうするもの。給仕のマナーが決まっているらしい。客に寄り沿ったマナーではなくて、店の新品の備品を汚さないためのマナーか?
 でも、これは真新しい皿を新品に保つためばかりのアイデアではなさそうだ。ミーガムワの市場にあるタミルの店でも、そこは老舗の繁盛店で、ずいぶんと年季の入った皿を使っていたがそこでもビニール掛け皿だった。その店の皿は淵が欠けていたから、ビ

ニール掛けマナーがうれしかったけど。
 この島では食堂マナーとして客が取るべき態度がある。まず店に入る。注文する。皿と水が運ばれてくる。水は大きなガラスのコップにたっぷりと入っている。その水を皿に流して皿を回して自分で洗って、洗ったら皿の水を店先に投げ捨てる。これが食事前の欠いてはならない大事な作法だ。でも、そんなこと、古い昔のことか。店が洗った皿なんて信じない。自分で洗うぞっていう自己責任だった。

 ビニール皿の場合はそれをしなくて良い。店と客の間に清潔の信頼関係が透明ビニールによって成立している。
 だけど、ちょっとナンだな、このビニール・カバーってやつは。



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