TOMOCAカレーライスQ and A





009スリランカのパラパラご飯をつくる parboiled rice,thambappu-haal



 せっかくスリランカのカレーを作れるようになっても、日本のご飯で食べたのでは、やっ ぱり本物ではない。スリランカ料理としてのカレーなら、スリランカ式のご飯で食べるのが一番。
 あの、ぱらぱらしたご飯。「南の島のカレーライス」でそのご飯の話をしましたが、作り方には詳しく触れませんでした。籾米を手に入れることが出来るなら、一度スリランカのぱらぱら米づくりに挑戦してみてはいかが?

準備するもの  籾米 (インディカ、ジャポニカなどと蘊蓄はいらない。パラパラの食感にはそんな事関係ないんです) たっぷりの水 調理道具 大きな鍋  
           
作り方
①籾米を数日間水に漬け置きます。このとき、水が汚れたら取り替えてください。汚れたままの水に漬けておくと悪臭が出てきます。

②籾米が水を充分に含んだら、大き目の鍋にたっぷりの湯を沸かし、ここに水を吸い込んだ籾米を入れて炊きます。
 沸騰するまではスパゲッティを茹でるときのようによく掻き回して下さい。

③そのうち、籾が弾けてきます。弾けたら鍋から空けて湯水を切って、ざるに入れます。
 充分に水が切れたら、これを天日に干します。からからになるまで干してください。

④こうして干した籾米の籾を擦ります。木の板などでこすれば籾はすぐに取れます。

茹で米の炊き方
①普通のご飯の炊き方と同じです。ただし、水の量は多めに。体積で米の2倍以上の水で米を炊きます。ご飯が炊けてまだ水分が浮いているようなら鍋の蓋をずらして―即席やきそばのお湯を切るようにして―水分を取ります。一度茹でてあるので、簡単に炊けます。

②スリランカのパーボイルドライスが手元にあるなら水の量は3、4倍に。ただしサンバの場合は米の量の1.5倍ほどで。どちらにしてもきっちりと水の量を測って炊こうなどと考える必要はありません。

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日本の精米からパラパラご飯を作るにはどうする?



 鍋にたっぷりの湯を沸かします。沸騰したところで塩少々を入れ、ここに精米した生米を入れて再び沸騰するまで木べらで掻きまわし、ひたすら掻きまわし、米粒がジャンピングし始めたら掻きまわし作業を止めます。でんぷんが煮えるまでは20分。そのころ合いに木べらを鍋に入れて米粒をひとつふたつ引き上げ指先で潰して煮え具合を確かめます。茹で米ならとても簡単に煮え具合が確かめられるのですが、生米だとここが勝負どころ。勘が必要。間違っても口に入れて確かめようなどという気は起こさないで。やけどします。<br/>
 米が煮えたら笊に空けて一気に湯を切ります。そして、すかさずステンレスのバットに湯切りしたご飯を広げて湯気を立てます。せっかくパラパラに炊いたご飯がべとべとになったら元も子もない。すし飯を作るようにご飯を良く切ってください。このときにほんの少し色づくようにターメリックを振れば黄色いサフランライス紛いになります。本物にするならサフランをお湯で溶かして色を出し、白い湯気が沸き立つ湯取りのご飯に掛けましょう。また、冷蔵庫で冷やして後で召し上がるなら植物油を数滴加えてご飯をかき混ぜます。ただし、油でコーティングしたご飯はご飯本来の食味を落としますから、ご注意を。


 ココナツ・オイルでご飯をコーティングする?


 最近、ご飯を煮る(炊く)ときにバージン・ココナツ・オイルを小さじ一杯加えるとダイエットにいい、などと一部で喧伝されています。コロンボ大の学生がある特定のスリランカの米を使ってカロリー量とココナツ・オイルの関係を調査をしたら、ご飯のカロリーがココナツ・オイルを使うことで10%ほど体に吸収されない形に変化したという実験からこの話は始まります。アメリカの学会でこの報告がなされるや、噂が日本に飛んできてココナツ・オイルでご飯を炊くとカロリー50パーセントもカットできると報じられ、それが拡散して、やっぱりココナツ・オイルは痩せるんだ、さあ、みんな、ココナツ・オイルでご飯を炊こうとなってしまいました。
 折からココナツ・ダイエト・ブームです。コロンボ大の学生が試みた痩せる実験の背後にはココナツ・オイルが現代病の特効薬になるという主旨の論文が最近、大量生産されている事情があります。胃上部の菌類の繁殖を抑える効果があるという穏やかな報告もあれば、アルツハイマーの特効薬、がんに効くというような人類の最終特効薬がココナツ・オイルだというミラクルな発表もあります。ココナツ・オイルは心筋梗塞を誘発するから注意して使いましょう、と言われていた時代からすれば目から鱗です。

 スリランカ産のバージン・ココナツ・オイルをお使いの方は瓶に貼ってあるラベルの成分一覧をご覧になってみてください。小さじ一杯分のカロリーが書かれています。これが消化吸収されなかったなら、言い換えれば、下痢すれば、これは体重増加を防いでくれます。でも、ココナツ・オイルのカロリーを普通に吸収してしまう体質の方は、ココナツ・オイルのカロリーに見合うほかの食材をカットしてココナツ・オイル・ダイエトに励まなければなりません。
 スリランカのシンハラ料理は基本的に油を使いません。土鍋で料理を作るのですから、小さな薪の炎で料理を煮るのですから油は使えません。お米を焚くときにココナツ・オイルを小さじ一杯加えてカロリー・オフ、と新説を発表された学生さんは米国のダイエット研究家に「実験の精度はいかが?」とメールで質問されて「まだ、確かめなくてはいけないことがある」やらなにやら返信したそうです。


 湯取りのパラパラご飯に戻って


 湯取りのパラパラご飯はご飯のでんぷんカロリーを笊の目に流して捨ててしまうのでカロリー過多をご心配の方には向いています。できれば流したでんぷんカロリーは土に含ませて畑へ持って行き葉物野菜の肥やしとしましょう。下水に流すと河川に栄養がいきわたって環境汚染だそうです。
 日本のお米からもパラパラご飯を作ることはできます。スリランカの茹で米を煮るならもっと簡単にできます。スリランカの茹で米なら籾にあるビタミンB群が茹で米に移行していますから生の白米の栄養の偏りも解消できそう。強化米ではないですよ。まっさらなパーボイルド・ライスです。近々どこかのJAでオール・ジャパンの茹で米を売り出すそうだ、という話を早く聞きたいものです。