Deutsche Welle(DW) 2018年2月6日
ドイツの科学者らが 湖や小川で抗生物質耐性菌を発見 情報源: Deutsche Welle(DW), February 6, 2018 German scientists find antiobiotic-resistant germs in lakes, streams http://www.dw.com/en/german-scientists-find- antiobiotic-resistant-germs-in-lakes-streams/a-42465159 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2018年2月11日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/news/180206_DW _antiobiotic-resistant_germs_in_lakes_streams.html
火曜日(2月6日)の北ドイツ放送(NDR)の報道によれば、ドイツ北部の低地ザクセン州の 12か所で多種の抗生物質に耐性を持つ危険な病原体が発見された。 研究者らは異なる場所から沈殿物や水のサンプルをとり、テストをするためにそれらをドレスデン工科大学及びギーセンにあるドイツ感染症研究センターに送った。 その NDR に委託された調査は、”最後の砦(last resort)”として知られる抗生物質に耐性をもつ系統とともに、いわゆる多剤耐性グラム陰性菌(MDRGN 菌)(訳注1)を全ての場所で検出した。 さらなる詳細: WHO publishes list of 12 pathogens that pose greatest risk to human health (WHO は人の健康に最大のリスクを及ぼす12の病原体のリストを発表) ”これは正に警告である”とロベルト・コッホ研究所のティム・エックマンズは NDR とのノインタビュ−で述べた。”これらの病原体は、明らかに環境中に到達し、それは私を驚かせるような規模でる”。 ”その危険性は、それらが拡散して、人間に跳ね返ってくることである”と彼は付け加えた。 耐性病原体環境中に生息し、繁栄すらすることが知られているが、それらは水汚染テストの一部として系統的に監視されているわけではないと NDR は述べた。 さらなる詳細: Scientists find clue to fighting antimicrobial resistance in devil's mother's milk (研究者らはタスマニアデビルの母乳中に抗生物質耐性と闘う糸口を見つける) 治療が難しい 多剤耐性グラム陰性(MDRGN)病原体は、重大な疾病をもたらすことができ、抗生物質では殺すことはできないので特に危険であると考えられている。 さらなる詳細: Scientists return to roots to fight superbugs (科学者らはスーパーバグ(訳注:抗生物質が効かない耐性菌)と闘うために根源に戻る) 健康な人々はこれらの病原体によって影響を受けることは少ないが、彼らは病原体を運び、もっと感受性の高い人々に伝染させることができる。この伝染は尿路感染症、肺炎、又は敗血症の様な命を脅かす感染症をもたらすことがある。免疫系が弱い人々、老人及び新生児は最もリスクが高い。 ドレスデン工科大学の水科学者トーマス・ベレンドンクは、そのような細菌に感染した人々は治療が極めて難しいので、これらの発見は心配であると NDR は述べた。 更なる詳細: Antibiotics can boost bacterial growth (抗生物質は細菌を増殖させることができる) ”最後の砦”はない しかし研究者らは、最も懸念すべき発見は12か所のうち5か所で遺伝子 MCR-1 (訳注1)が発見されたことであると述べた。この遺伝子を持った細菌は、他の抗生物質が効かず生命を脅かす状況になったときにのみ使用されるコリスチン(訳注2)と呼ばれる”最後の砦”となる特に重要な、抗生物質に耐性がある。 科学者らは、その遺伝子は、動物を太らせるためにコリスチンがしばしば使用され、動物の排泄物、昆虫、ネズミ、犬、鳥などを介してその遺伝子が環境中に逃げ出すことが可能な農場に由来すると信じている。 更なる詳細e: US warns of nearly invincible superbug (アメリカは、ほとんど無敵なスーパーバグを警告する) ドイツの環境省は耐性細菌の拡散をもっと調査する必要があると NDR に述べた。”例えば、それが水浴場で検出されたら行動を起こす必要がある”と同省は述べた。二つの水浴場、スルフェルダー・ダム及びツヴィッシェンアー湖は科学者らによってテストされた場所のうちの二か所である。彼らはまた、農場と老人ホームの近くの水路、及び診療所の下水溝からサンプルを採取した。 低地ザクセン州(Lower Saxony)の現地当局は、環境中のそのような細菌による健康リスクは比較的小さいので、既存の規制を変更する必要はないと述べた。 ドイツでは多剤耐性細菌によって引き起こされる疾病により毎年数千の人々が死んでいると推定されている。 訳注1:多剤耐性グラム陰性菌
訳注:当研究会が紹介した抗生物質/抗菌物質耐性関連記事
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