ロサンゼルス タイムス 2011年8月6日
食品中の抗生物質耐性菌

情報源:Los Angeles Times August 6, 2011
Editorial 'Superbugs' in our food
http://www.latimes.com/news/science/environment/la-ed-antibiotics-20110806,0,277243.story?track=rss&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A latimes%2Fnews%2Fscience%2Fenvironment %28L.A. Times - Environment%29

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2011年8月7日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_11/110806_LAtimes_antibiotics_livestock.html


 アーカンソー州のカーギル食肉処理工場からの家禽肉製品のバイヤーは、七面鳥バーガーで少し面倒なことになるかもしれない。サクラメントのひとりの男の死亡や全国で79人の病気の原因を示唆する抗生物質耐性サルモネラ菌である。これに対応して、カーギル社は先週、3,600万ポンド(約18,000トン)の七面鳥の肉をリコール(回収)したが、これはかつてない最大の食品リコールである。しかし、七面鳥の肉が店の棚から回収されたからといって、十分に加熱されていない家禽類の肉やその他の”抗生物質耐性菌(superbugs)”で潜在的にに汚染されている他の食品を食べても安全ということではない。

 アメリカの工場農場で行なわれているもっと不安な手法は抗生物質の過剰使用であり、それらは、家禽類や家畜類に病気の治療だけでなく、その予防ののために日常的に与えられている。科学者らは、この数十年間、このことは新たな抗生物質耐性菌を生み出し、治療を難しくするだけでなく、人間に不治の病をもたらすコトがあると警告していた。そのような病原菌は現在、ありふれたものとなっている。カーギルのリコールと同じ日に、耐性菌で汚染されていると考えられる食肉に関与しているフランスの科学者 S.ハイデルベルグがジャーナル”nfectious Diseases(感染症)”で、S. Kentucky と呼ばれる新しいサルモネラ菌が、工場農場でよく使用されている抗生物質シプロ(Cipro)に耐性を持ち、その医学的有用性が急速に低下していると発表した。

 欧州連合は、賢明にも2006年に抗生物質の家畜への使用を病気の治療を除いて禁止したが、アメリカの農場ロビーストは長年、抗生物質の禁止法案を阻止することに成功してきた。一方、米食品医薬品局(FDA)は、昨年、家畜の成長を促進する抗生物質を使用しないよう推奨する自主的なガイドラインを発表した。FDAはそのような規制を義務化する権限を持っているのに、そのようにすることを断ってきた。FDAはすでに、農場での抗生物質の過剰使用は人間の健康に深刻な脅威を及ぼすとみなしているのだから、そのように臆病になる理由などない。もし議会がこの常識的な規制を承認しないなら、オバマ政権がやるべきである。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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