New York Times 2013年12月11日
FDA 家畜への抗生物質の使用を制限 情報源:The New York Times, December 11, 2013 F.D.A. Restricts Antibiotics Use for Livestock By SABRINA TAVERNISE http://www.nytimes.com/2013/12/12/health/fda-to-phase-out- use-of-some-antibiotics-in-animals-raised-for-meat.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2013年12月13日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/Kaigai_13/ 131211_FDA_phase_out_some_antibiotics_in_animals.html
これは、この数十年間、典型的には抗生物質を動物の飼料や飲み水に直接加えて健康な家畜にこれらの薬を組織的に過剰に使用していると専門家らが長年指摘してきたことを抑制するためにFDAが初めて行った真剣な取り組みである。20世紀の驚くべき薬である抗生物質の効果の減少が公衆の健康に不気味な恐れとなっている。少なくとも200万のアメリカ人が毎年抗生物質耐性感染症の病気に罹り、約23,000人がその病気で死亡している。 ”これは、この20年間で重要な公衆健康の懸念に対応する重要な第一歩である”と元FDA長官でありFDAの抗生物質に関する実績に批判的なデービッド・ケスラー氏は述べた。”広くいきわたり、すっかり確立した長い間の産業界のやり方を変えるのがどのように大変かを過小評価すべきではない”。 今後3年間で効力を発するこの変更により、畜産農家や牧場主が抗生物質を動物成長剤として使用することは違法となる。生産者は、低用量の抗生物質を動物に与えると生涯を通じて肥満させ大型にすることを知っていた。科学者はまだその理由を議論している。生産者はまた彼らの動物の感染症を防ぐために抗生物質を使用するためには、獣医から処方箋を得なければならない。 この新しい政策が、ペニシリン、アジスロマイシン、テトラサイクリンなど、人の命を守るある種の抗生物質の使用の規制を強化することにより、アメリカ人の健康を改善するであろうと、連邦政府当局者は述べた。生産者らはこの新しい規則を受け入れるであろうが、公衆健康の活動家らは、法の抜け穴が新たな政策の牙を抜くことになるとの懸念を声高に上げている。 健康当局は、1970年代から動物での抗生物質の過剰使用は人間の治療に対する感染症耐性の進展をもたらすと警告していた。数年間、動物における抗生物質の使用を低減するための連邦政府当局による控え目な取り組みは、強力な食品産業とその議会に対するロビーイング活動により邪魔されてきた。人間の健康に重要な薬の効果が減少するにつれて、そして抗生物質耐性菌による死亡が増えるにつれて、連邦政府の規制の圧力は高まってきた。 この新しい政策の下に、薬をどのように使用することができるかを詳細に述べ、成長促進剤として畜産家が使用することを禁ずるラベルに変更するようFDAは製薬会社に要請している。 もともとは2012年に提案されたこの変更は製薬会社に対して自主的なものである。しかし、パブリックコメントの間になされた議論に基づき、会社はこの要求に従うであろうと信じるとFDA当局者は述べた。そのような抗生物質製品の大部分を製造する二つの製薬会社、ゾエティス(Zoetis)とエランコ(Elanco)はこの取り組みに参加するという意思を既に表明していると、FDA当局者は述べた。会社は、このラベル表示を変更するかどうかをFDAに申告するのに3か月の期間を、及びこの新たな規則を実施するのに3年の猶予期間を有している。 さらに、FDAは認可を受けている獣医に対して、畜産農家や牧場主が彼らの動物に抗生物質を使用するための処方箋を入手するよう求めつつ、抗生物質の使用を監督するよう求めている。 ”畜産家が地域の飼料店に行きこれらの抗生物質をカウンター越しに買うことができ、監督が全くないという現状からの大きな飛躍である”と、FDAの食品・獣医薬品担当の副長官マイケル・テイラー氏は述べた。 ある消費者健康活動家らは、この新たな政策が動物での抗生物質消費量を減らすことに懐疑的である。畜産家が動物が病気になるのを防ぐために必要であると主張し、成長促進剤としての使用の新たな禁止を言い逃れることにより、法の抜け穴が低用量の抗生物質を使用し続けることを許すことになると消費者の健康を唱える人々は述べている。 ’住みよい未来のためのジョンズ・ホプキンス・センター’の科学者キーブ・ナフマン 氏は、、FDAは現在までのところまだとっていない抗生物質を病気の予防のために使用することも禁止するという措置をとるならば、もっと意味深いものになるであろうと述べた。それは、抗生物質の使用を獣医によって診断されたもっと狭い範囲の特定の病気の治療のためだけに制限することになるであろうと、彼は述べた。 もう一人の懐疑論者、ルイーズ M・スローター下院議員(民主党/ニューヨーク)は、欧州連合は会社が農場の動物を大きくするために抗生物質を使用することを止めさせようとしたときに、会社は病気予防のために抗生物質を使い続けたと述べた。抗生物質の使用は、使用総量の制限と違反に対する罰金を設けたオランダのような国でだけ減少したと彼女は述べた。 しかし、FDAの抗生物質政策を長年批判してきたもう一人、タフツ大学微生物学教授であり、’抗生物質の慎重な使用を求める連合’代表であるスチュアート B. レビイ教授は、新たな政策を称賛した。彼は、1970年代に初めてこの問題を指摘した人々の中の一人である。”私は、ちょっと幸せである”と彼は述べた。”この問題に取り組んできた我々の全てにとって、過去30年の間にとられた措置の中で最大のものである”。 FDA当局者テーラー氏は、FDAは獣医がそのような抗生物質を処方する時に考慮するのに必要とすることの詳細をすでに示していたと述べた。たとえば、特定の病気に罹るリスクのある動物に対して、他にそれを防止する合理的な代替方法がない場合にだけ使用されなくてはならない。 それは、信頼できるシステムから程遠いと彼は述べた。”この問題の歴史を振り返れば、懐疑的になる人々がいても驚かない”。 彼は、ある生産者らはすでに抗生物質の使用を抑制していると付け加えた。 新たな規則は受け入れることができると述べた大手製薬会社ゾエティス(Zoetis)の報道担当者は、 この医薬製品の多くはまた、治療用途として承認されているので、この新たな政策は同社の収益に大きな影響を及ぼすことはないと考えていると述べた。(ナフマン博士は、これは新たな規則の下では全体の使用量は低下しないであろうことを示すものであると述べた。) 動物用薬品を製造している製薬会社の連合体である’動物健康研究所’は、この政策を支持するとし、”その実施のためにFDAとの協力を継続する”と述べた。 ’全国養豚者協議会’は、もろ手を上げての支持とうわけではなく、”我々は、養豚農家と、彼らが飼料を購入する連邦政府認可の飼料会社がこの法律に従うのではないかと期待している”と述べた。 ”抗生物質を責任を持って使用することは我々の倫理的な責任の一部であり、公衆の健康と動物の健康に対する我々の使命の一部である”と同協会は声明書の中で述べた。 全国養鶏協議会はその声明の中で、養鶏家はすでに獣医と密接に協力しており、養鶏に使用されている抗生物質の多くは人間の薬品として使用されていないと述べた。 訳注:関連情報 ・Washington Post 2014年1月28日 FDA は、人の健康へのリスクにもかかわらず、動物の飼料中の抗生物質を許していると、NGO 報告書が述べる |