Washington Post 2014年1月28日
FDA は、人の健康へのリスクにもかかわらず 動物の飼料中の抗生物質を許していると NGO 報告書が述べる 情報源:Washington Post, January 28, 2014 FDA has allowed antibiotics in animal feed despite risk to human health, report says By Brady Dennis http://www.washingtonpost.com/national/health-science/ fda-allows-antibiotics-in-animal-feed-despite-potential-risk-to-human-health-report-claims/ 2014/01/27/63a73a88-869e-11e3-916e-e01534b1e132_story.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2014年1月30日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_14/140128_WP_FDA_allowed_antibiotics_in_animal_feed.html 食品医薬品局(FDA)は、動物用薬品が食品供給を通じて人間を抗生物質耐性バクテリアに暴露させることができるというFDA自身の研究者の発見にもかかわらず、数十の抗生物質の家畜飼料中での使用を許し続けていると、1月27日月曜日発表の報告書の中で環境団体が述べた。 天然資源防衛協議会(Natural Resources Defense Council/NRDC)により情報公開法を通じて得られた記録によれば、FDA当局は2001年から2010年の間に約30種の動物飼料添加剤をレビューし、そのうち18種を人間への健康問題に影響を及ぼすとする観点から”高リスク”であると評価していた。FDAが検証した残りの薬品には、それらが安全であるかどうかを決定するために適切なデータがないと同報告書は述べていた。 NRDCによれば、FDA研究者がレビューした飼料添加物のうち少なくとも26種は、その薬品が安全であることを証明する科学的研究を提出することを会社に求める1973年にFDAが定めた基準に合致しなかった。 この報告書は、毎年数百万のアメリカ人を病気にし、推定約23,000人の死亡をもたらしている抗生物質耐性感染症の問題について公衆健康の世界で懸念が増大している最中に出された。世界中の公衆健康当局は、抗生物質の誤用と乱用がますます薬の効果を失わせ、そのことは日常的な感染症すら治療をできなくするということを意味すると警告していた。 NRDCの微生物学者でありこの分析の主著者であるカルメン・コルドバは、FDA自身の発見に対して措置をとらなかったことを”彼らの責任と公衆への信頼の不履行”と呼んだ。 NRDC の弁護士であるアビナシュ・カーは、科学者や医師が感染症の治療を困難にしていると信じている動物への抗生物質の過剰使用の抑制に対する大きな不作為であると強調した。 ”彼らは公衆の健康を保護するという責任を果たしていない”とカーは述べた。”彼らはもっと良いことをする必要がある”。 NRDCの分析の中心であるペニシリン及びテトラサイクリンをベースとする抗生物質は、動物の成長促進のような”非治療”用途又は”治療量以下”用途のために承認されていた。 1月27日月曜日の声明の中でFDAは、NRDC報告書の中でハイライトされているレビューは、”医学的に重要な抗生物質薬品の食肉用動物での使用に関連する抗生物質耐性への懸念に関する利用可能な現状の情報を評価するためのFDAの全体的な取り組みの一部である”と述べた。 FDAは、特定の薬品に焦点を合わせるよりも抗生物質の長期にわたる非治療用途を廃止するためのより広範な戦略を追求することに決めたと述べた。 FDAが検証した薬品のうち、どのくらいが製造者により販売が継続されているのかは不明確である。NRDCの研究者らは、少なくとも9種の飼料添加物が市場に出され続けており、一方、2種類は会社が自主的に取りやめ、他の全ては使用が承認されたままになっていることを示唆する証拠を見つけたと述べた。 FDAは、その薬品が抗生物質耐性を促進するかもしれないという懸念に関し、もっと多くの情報の提出を求めて、いくつかの会社に手紙を出したが、NRDCが入手した文書は、FDAがさらなる措置を取った、あるいは会社が追加的な研究を提出したということを示していなかったと報告書は述べている。 アメリカで毎年売られている抗生物質の大部分−ある見積りによれば80%−は、人間のための医薬品としてより、畜産用として使用されている。消費者及び環境団体は、動物へ与える抗生物質、特に人間の治療のためにも用いられると分類される薬品の使用量を制限するためにもっと多くのことをなすよう法律策定者及び規制当局に圧力をかけてきた。 昨秋、疾病管理予防センター(CDC)は、抗生物質耐性の感染症の高まる脅威を詳細につづった驚くべき報告書を発表した。そのような感染症の大部分は病院及び介護施設で生じているが、当局は、迫りくる懸念として動物での抗生物質の広範な使用を強調した。 ”耐性バクテリアはこれらの動物由来の食品を汚染し、これらの食品を摂食する人々は抗生物質耐性感染症を発症することがあり得る”とそのCDC報告書は述べている。”成長促進のための抗生物質使用は不必要であり、そのような実施は廃止されるべきである”。 FDAは、同意しているように見える。1977年、FDAはいくつかの動物用抗生物質、特に非医療用に用いられているものについての承認を撤回することを計画していると述べた。しかし、数十年間、近年 NRDC が訴訟を起こしてすら、行動を起こさなかった。 昨年12月、FDAは長らく待ちわびられていた家畜での抗生物質の使用を削減することを目指す措置を取った。FDA は、動物医薬品製造者にそれらの表示ラベルを変更し、農民はもはや成長促進だけのために抗生物質を使用することは許されないというこを示すよう求めた。FDAはまた、農民は医薬品を家畜に投与する前に、獣医から承認を得ることを望んでいる。 畜産業界は、抗生物質の農場での使用のされ方に意味ある変更をもたらすであろうと述べて、この動きを大いに歓迎した。消費者運動家及び公衆健康当局のある者は、FDAは十分ではなく、その勧告は自主的なものであると不満を述べた。 FDAは1月27日月曜日に、動物医薬品会社と農業界に実施までに数年の猶予を与えるであろう現在のアプローチは、”畜産業におけるこれらの製品の使用を変更するために、最も効率的で効果的な方法である”ことを確信していると述べた。 訳注:関連記事 ・New York Times 2013年12月11日 FDA 家畜への抗生物質の使用を制限 |