SAFENANO News 2017年6月19日
米連邦控訴裁判所
米国EPAのナノ銀製品の承認を取り消す


情報源:SAFENANO News, 19 June 2017
Court revokes US EPA approval of nanosilver product
http://www.safenano.org/news/news-articles/
court-revokes-us-epa-approval-of-nanosilver-product/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年6月27日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/safenano/
170619_Court_revokes_US_EPA_approval_of_nanosilver_product.html


 カリフォルニア州にある米連邦控訴裁判所(第9巡回区控訴裁判所) は、米国環境保護庁(EPA)のナノ銀を含有する製品の使用は公衆の利益になるとする主張を確認できなかったので、その使用の条件付き承認を取り消した。

 EPA は、製品”Nanosilva (別名 NSPW-L30SS)”は銀の環境中への放出量を低減することができると主張して、連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act: FIFRA)の下に”Nanosilva”を暫定的に登録されていた(訳注1)。”Nanosilva”は、家具、シャワーカーテン、壁張り材、スポーツウェアのような広い範囲のプラスチック製品で使用されている抗菌・防腐剤である。

 FIFRA は、製品の長期的な使用が安全であることを決定するための十分な裏付けデータがない場合でも暫定的な登録を許している。しかし EPA は、最初にその製品の使用が公衆の利益になることに同意しなくてはならない。

 第9巡回区控訴裁判所は、 Nanosilva に対する EPA の条件付き承認は二つの根拠のない仮定に基いていたと結論付けた。その仮定とは、第一に、現在の従来型の銀農薬の使用者はこれらの農薬を Nanosilva に取り替えるであろうということ、そして第二に、Nanosilva は環境中に放出される銀の量を実際に増大させるほどに新製品に導入されることはないであろうということ−である。

 陪審団は、公判録中に仮定を裏書きする証拠がなく、法律によって求められる程度に確たる証拠によって公衆の利益が発見されたとする EPA の主張を見つけることができなかったと結論付けた(訳注2)。

 一方、裁判所は、Nanosilva は従来型の銀殺生物剤より銀の使用量が少なく、環境中への放出が少ないようであるという EPA の発見に同意した。

  EPA の主張は NGOs 3 団体によって異議が唱えられ、 EPA の Nanosilva への条件付き承認に対する法的異議申し立てが2015 年に行われた(訳注3)。彼らは、ナノ銀の増大する毒性は低用量の使用からもたらされるどのような利益よりも勝ると主張した。

・裁判所の判決に関する情報はここをクリック
・出典:BiocidesHub


訳注1 訳注2
訳注:ナノ銀に関する参考情報


化学物質問題市民研究会
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