食品安全センター 2014年12月17日 プレスリリース
非営利団体
ナノテクノロジーによる新規農薬の
規制の不履行でEPAを訴える


情報源:Center for Food Safety (CFS), Press Release, December 17, 2014
Nonprofits Sue EPA for Failure to Regulate Novel Pesticide Products Created With Nanotechnology
http://www.centerforfoodsafety.org/press-releases/3664/nonprofits-sue-epa-for-failure-to-regulate-novel-pesticide-products-created-with-nanotechnology

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2014年12月28日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CFS/
141217_CFS_Sue_EPA_for_Failure_to_Regulate_Nano_Pesticides.html


ナノ物質は食品及びその他の消費者製品中で監視がほとんどないか全くない状態で急増している。
訴訟は2008年の非営利団体の求める規制の法的措置を不法に遅らせたEPAに回答させるであろう。

【2014年12月17日 ワシントン DC】 食品安全センター(Center for Food Safety (CFS))は昨日遅く、米環境保護局(EPA)を新規ナノ物質農薬の規制を怠ったとして提訴した。2008年にCFSは、EPAに対して措置を講じるよう法的な請願をしたが(訳注1)、消費者製品中のナノ物質の激増の勢いは衰えない中で、非営利団体の訴えに答えることを怠ったとして、本日、非営利団体はEPAを提訴した。

 ”6年前、我々はEPAに対して、農薬への権限の下にこれらの新規物質の規制に本気でとりかかるよう求めて、法的及び科学的な文書を提出した。しかしEPAの不法で無責任な遅延は現在に至っている”と、CFSの上席弁護士ジョージ・キンブレルは述べた。

 ナノテクノロジーは、物質を原子及び分子のレベルで操作する基盤技術であり、工業ナノ物質は非常に小さいので通常の顕微鏡では見ることができない。ちなみに、人の髪の毛の幅は50,000 〜80,000 ナノメートルである。しかし、”ナノ”は単に小さいというだけではない。それは、サイズがより大きい同じ物質からは予測できない、根本的に新しい仕方でふるまう能力を持つ物質であることを意味する。それらの極めて小さいサイズは、工業ナノ物質に独自の化学的及び生物学的特性と、並外れた可動性をもたらす。ナノ物質の特性は生物学的相互作用の能力と、遺伝子の突然変異、細胞内の構造的損傷、そして細胞死すらもたらすことができる毒性能力を増大させる。血流中でそれらは、脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、骨髄、神経系を含む器官と組織を通じて自由に移動することができる。

 ”ナノ物質は、我々がかつて見たことがあるものとは異なる独自のリスクをもたらす新たな技術である”と、CFSの上席政策アナリスト、ジェイディ・ハンソンは述べた。それなのに我々は、どのような規制もなしにすでに商業的に入手可能な数百の製品を市場に見出している。

 ナノ銀は、消費者製品中に最もよくあるナノ物質であり、強力な抗菌剤として一般的に使用されている。その製品は微生物を殺すことが意図されているのだから、EPA自身が認めているように、農薬製品として分類される。2008年の請願では CFS は260のナノ銀消費者製品を特定したが、今日市場にあるナノ製品の数は400以上に増加している。ナノスケール製品にラベル表示要求がないので、もっと多くの製品が存在するはずである。

”有毒な殺菌特性を持ち、消費者製品や身体手入れ用品を通じて広範な暴露をもたらすナノ銀を規制する責任を実行させるためにEPAを提訴するということは不幸なことである”と、農薬を越えて(Beyond Pesticides) の代表ジャイ・フェルドマンは述べた。”全ての有害農薬のように、ナノ銀もまた、人々の健康と環境を保護することが意図された法と表示要求の完全実施の対象としなくてはならない”とフェルドマンは述べた。

 ”もしEPAがナノ銀を組み込んだ農薬製品の規制を怠るなら、農民はすぐにナノ物質の独自の健康リスクに暴露するが、彼らは、自分自身を、家族を、近隣の人々を、土地を、水を、そして家畜をナノ農薬のドリフトからを守るために何をしなくてはならないのかについて知らされないであろう”と、農業貿易政策研究所(IATP)のスティーブ・スパンは述べた。

 食品安全センター(CFS)を訴訟の代表とする告訴団は、食品安全センター(Center for Food Safety (CFS)CFS)、その姉妹団体である国際技術評価センター(International Center for Technology Assessment)、農薬を越えて(Beyond Pesticides)、環境健康センター(Center for Environmental Health)、クリーン・プロダクション・アクション(Clean Production Action)、及び農業貿易政策研究所(Institute for Agriculture and Trade Policy)である。


訳注1
国際技術評価センター 2008年5月1日 ナノ銀による環境と健康への脅威をEPAが規制しないことに対する請願(エグゼクティブ・サマリー)

訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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