EPA 2007年9月21日
農薬規制
イオン発生装置のための説明


情報源:Pesticides: Topical & Chemical Fact Sheets, September 21, 2007
Pesticide Registration: Clarification for Ion Generating Equipment
http://www.epa.gov/oppad001/ion_gen_equip.htm

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年6月30日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/epa/epa_070921_Ion_Generating_Equipment.html


 2007年9月21日−EPAは、イオン発生措置に関連して、仕掛け(devices)と農薬の区別に関するEPAの立場を明確にし、なぜそのような装置(equipment)が農薬として規制されるようになるのかを説明する連邦官報を発表した。EPAは今、これらの機械(machines)は、もし銀又は他の物質を含み、もしそれらが農薬目的であることを明示しており(for express pesticidal purposes)、これら物質のイオンを発生するなら(訳注1)、農薬として規制するであろうことを決定した。この官報は製造者にEPAの決定を知らせるものである。EPAは、機械(machine )を農薬として登録を申請するために必要な情報を特定するための作業を行うが、現在、規制の対象となっていない製品については登録までの猶予期間が与えられる。

背景

 殺虫剤・殺菌剤および殺鼠剤法(FIFRA)の下では、(微生物を含む)害虫を捕獲し、破壊し、追い払い、または緩和するために物理的又は機械的な方法だけを使用する製品は仕掛け(device)であり、(その製造とラベル表示は規制されるが)登録の必要はない。しかし、もし製品が害虫を駆除し、破壊し、追い払い、または緩和することを意図した物質又は物質の化合物を組み込んでいるなら、それは農薬とみなされ、登録が求められる。製品が仕掛け(device)か農薬かについての決定は個別に行われる。銀イオン発生洗濯機は、衣類についている菌を殺すと主張して市場に出されている。銀は他の登録済み製品中で農薬活性成分としてすでに規制されている。

 最近の報道記事は銀イオン発生洗濯機をナノテクノロジー製品として言及しているが、EPAは、この製品がナノテクノロジーを使用していることを示唆するどのような情報も受けとっていない(訳注1)。EPAは、このタイプの装置(equipment)を登録するための申請を他の農薬と同じ規制基準に従って評価するであろう。

製造者のための実施スケジュール

 EPAは、登録のための申請を支援し、そのような装置(equipment)をこの官報発表時点において米国内で流通又は販売されている装置を法に従わせるために、どのようなデータや情報が必要なのかを特定するために、イオン発生装置の製造者と協力して作業をするであろう。下記は連邦官報に発表された実施スケジュールの概要である。

  • この官報の発表日又はそれ以前にそのような装置を流通させている又は販売しているどのような製造者も官報の発表の日から6ヶ月間、その様な装置の流通又は販売を続けてもよい(2008年3月21日)。
  • この官報の発表日又はそれ以前にそのような装置を流通させている又は販売している製造者又は輸入者で、この官報の発表の日から6ヶ月後もそのような装置の流通又は販売を継続したいと望む者は、少なくとも、2008年3月21日までにその装置(equipment)のための農薬登録申請フォーム(EPA Form No. 8570-1)をEPAに提出することによって、登録予定者がその装置の登録プロセスを開始している場合にのみ、流通又は販売を継続してもよい。
  • 製造者又は輸入者以外でこの官報の発表日又はそれ以前にそのような装置を流通させている又は販売している者は、それらの在庫がなくなるまで、そのような装置の流通又は販売を継続してもよい。
  • この官報の発表日又はそれ以前にそのような装置を流通させている又は販売している製造者又は輸入者で、この官報の発表の日から18ヶ月後もそのような装置の流通又は販売を継続したいと望む者は、2008年3月23日までにその装置(equipment)のための完全な登録パッケージをEPAに提出することによって、登録予定者がその装置の登録プロセスを開始している場合にのみ、流通又は販売を継続してもよく、EPAが申請に措置をとる、又は申請が取り下げられるまで、そのような装置の流通又は販売を継続してもよい。


訳注1:サムソンの銀ナノ洗濯機

 EPAの ”この製品がナノテクノロジーを使用していることを示唆するどのような情報も受けとっていない” とする記述は、官報の要求がナノ規制ではなく、殺虫剤・殺菌剤および殺鼠剤法(FIFRA)の下でのイオン発生装置の農薬規制であることを特に強調するものであり、ナノテクノロジーとして規制したくないEPAの立場がよく表れている。しかし、サムソンのカタログ Samsung's SILVER WASH は下記のようにナノテクノロジーを使用していることを明確に記載している。
 ”シルバーウォッシュ(銀洗濯機)は洗濯中及びすすぎ中に銀をイオン化するナノテクノロジーを使用している。4,000億以上の銀イオンが放出され、効果的な消毒のために繊維の奥深くしみ込む。SILVER WASH uses nano technology to electrolyze pure silver during wash and rinse cycles. Over 400 billion silver ions are released and penetrate deep into fabric for effective sanitization. )”

 このようにカタログに明記されているのに、”どのような情報も受けとっていない”とするEPAの見解は、殺菌の目的で銀イオンが使用されていても、それを申告しなければ、規制の対象にならないとする農薬法の抜け穴とともに、EPAの法規制の矛盾である。
 Nanotechnology Law Report 2009年6月19日の記事によれば、EPAは近々、ナノ銀を農薬として規制する動きがある。
 尚、日本では銀イオン発生装置もナノ銀も規制されていない。

訳注:ナノ銀関連記事




化学物質問題市民研究会
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