エンバイロンメンタル・ディフェンス
キャロライン・バイエルアンダーソン 2009年2月12日
ナノ銀を農薬として規制する

情報源:Environmental Defense, February 12, 2009
Regulating nano-silver as a pesticide
by Caroline Baier-Anderson
キャロライン・バイエルアンダーソン(健康科学者)
http://blogs.edf.org/nanotechnology/2009/02/12/regulating-nano-silver-as-a-pesticide/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年2月17日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/e_defence/e_090212_nano-silver_pesticide.html


 2008年5月、国際技術評価センター(ICTA)はEPAに対し、製品中で使用されているナノ銀を連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)の下に農薬として規制するよう要求する請願書を提出した(訳注1)。その請願書はEPAが下記の具体的な措置をとることを求めている。
  1. ナノ銀は農薬として分類すること
  2. ナノ銀は新規農薬であると決定し、その登録を求めること
  3. ナノ銀のヒト健康と環境に対する潜在的なリスクを分析すること
  4. FIFRAの下にEPAの承認なしに違法に販売されているナノ銀を含む製品に対して法の執行措置をとること
 エンバイロンメンタル・ディフェンス基金(EDF)はこの請願を支持する。ほとんど規制されずに消費者製品中でのナノ銀使用が増大していることは、特にヒト健康と環境への可能性ある危害の組織的な評価が欠如しているので、危険を感じさせるものである。

 かつての投稿で述べたように、銀のバルク形状は、一般的には直接的なヒトへの毒性は低いが、潜在的な抗菌特性を持ち、多くの淡水生物に非常に有毒である。新興ナノテククノロジー・プロジェクト(PEN)のために作成されたナノ銀に関する最近の報告書 (訳注2)の中で、サムエル・ルオマ博士は、バルクスケールの銀と銀イオンは少なくともある環境の下では毒性・難分解性・生物蓄積性を持つので、それらを環境ハザードであると特性化した。彼もまた、ナノスケール銀の有害性がバルクスケール銀及び銀イオンの有害性と同等又はそれ以上かどうか予測するための情報が不十分であると結論付けた。ベーカーと同僚らは、銀ナノ粒子は容積に対する表面積の比が大きいために、いかに銀ナノ粒子がより大きなサイズ粒子より高い抗菌能力を持っているように見えるかについて述べている。

 製品の製造者らはナノ銀を多くの製品に加えることによってナノ銀の抗菌特性を利用しようとしている。ナノ銀を滲み込ませたソックスやナノ銀含有化粧品を含んで多くのものがすでに市場に出ている。それはナノ銀のヒトへの接触と環境への放出がすでに起きているのに、その結果について我々は予測することができないのである。

 したがって、EPAがFIFRAの下にその権限を行使して、ナノ銀を製品中で使用する各製造者に対してナノ銀の添加は製造者が主張する便益の達成に有効であり、表示は正確であり、その使用はヒトと環境に有効であることを実証することを求めることが重要である。

 2008年11月19日米官報通知でEPAはこの請願に関するコメントを要請したが、最近、期限を2009年3月20日に延長した。この重要な問題にあなたの意見を反映させる方法に関する詳細についての通知を参照のこと。


訳注1
訳注2
訳注:銀ナノ関連情報


化学物質問題市民研究会
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