The Chronicle Herald 2020年10月22日
カナダは グリホサート登録を止めるべき時であると、 非営利環境法組織 エコジャスティスの弁護士が言う フランシス・キャンベル|マルチメディア・ジャーナリスト 情報源:The Chronicle Herald Oct 22, 2020 It's time that Canada stopped registering glyphosate, Ecojustice lawyer says By Francis Campbell, Multimedia Journalist https://www.thechronicleherald.ca/news/local/its-time-that- canada-stopped-registering-glyphosate-ecojustice-lawyer-says-512089/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2020年10月28日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_20/201022_Chronicle_Herald_ Canada_stopped_registering_glyphosate_Ecojustice_lawyer_says.htm カナダ政府は、グリホサートを盲目的に支持することをやめるべきだとトロントの弁護士は言う。 ”連邦法は人の健康や環境に害が及ばないという合理的な確実性がない限り、害虫管理規制機関(PMRA)は農薬の登録を拒否することを要求している”と、エコジャスティス( Ecojustice)の弁護士、ローラ・ボウマンは火曜日に、他の弁護士とともに連邦控訴裁判所での訴訟手続きを行ないながら述べた。 除草剤ラウンドアップとヴィジョンマックス(VisionMax) の有効成分であるグリホサートは、ノバスコシア州で長い間物議を醸しており、針葉樹林から広葉樹の成長を淘汰するまたは排除するために農業や空中散布プログラムで使用されている。 ノバスコシア州の最高医療責任者であるロバート・ストラングを含むいくつかの州の保健当局は、グリホサートが人の健康にリスクをもたらすという証拠は存在しないと述べてきた。 2016年、ストラングは、「グリホサートを適切に使用し、環境省がどこで、どのように、いつ使用されているかを監視している場合、グリホサートが人の健康にリスクをもたらすという証拠はない”と述べた。 彼は、短期間に過剰に消費されると、水でさえ有害になる可能性があると述べた。(訳注:リスク論者の典型的な詭弁) ”違いは、起こりうる危険と実際のリスクの違いであるとストラングは当時述べた。 「疑わしい信頼性」の研究 ボーマンは火曜日に、”グリホサートが適切に、そしてラベルの制限に従って使用されているかどうか、ほとんどわからない”と反論した。 ”グリホサートが実際にどのように使用されているかについての調査実施や監視はほとんどない”ボーマンは述た。 ”証拠がないという言及は、グリホサートが安全であることが証明されていることを意味するものではない。人間の健康リスクに関する懸念には客観的な科学的根拠がある(訳注1)。世界保健機関はグリホサートを発がん性の可能性のある物質に指定しており(訳注2)、米国では、ある試験プロセスにより、グリホサートが人間の健康に害を及ぼすと結論付けられた。誰かが「証拠がない」と言うとき、これは証拠がまったくないときにも当てはまる。 ”有害性の証拠を探しに行かなければ、おそらくそれを見つけることはできない”。 ボーマンによると、グリホサートの健康への影響に関する研究は限られており、グリホサートが販売されている処方で他の化学物質と併用した場合は特にそうである。 ”入手可能な科学論文の多くは信頼性に疑問がある”と彼女は言った。 ”だからこそ、グリホサートの影響に関する独立した科学的レビューが不可欠である。 ”有害性の証拠があるかどうかは、カナダでの害虫管理製品の登録の基準ではない”とボーマンは述べた。 ”そうではなくて、登録者は、害が発生しないという合理的な確実性につながる科学的証拠を提供することを求められる”。 カナダの非営利環境法組織であるエコジャスティス(Ecojustice)は、非営利組織であるセイフ・フード・マターズ(Safe Food Matters Inc)による連邦裁判所における控訴審の参加訴訟人であるデビッド・スズキ財団(David Suzuki Foundation)、エンバイロンメンタル・ディフェンス・カナダ(Environmental Defense Canada)、フレンド・オブ・アース・カナダ(Friends of the Earth Canada)を代表しており、法廷審問は今後数か月のうちに開かれる。
法的な論争は、2017年にカナダ保健省の機関である病害虫管理規制局(Pest Management Regulatory Agency/PMRA)がグリホサートの再評価を発表したときに始まった。反対派は、他の参加訴訟人によって提出された証拠や世界保健機関のグリホサートはおそらく人間に対して発がん性があるという結論を含んで、当該除草剤の影響を考慮に入れていなかったと述べている。 セイフ・フード・マターズと他の7人の反対者は、2017年6月に通知を提出し、連邦保健大臣に再登録の決定を検討するための独立した委員会を設立するよう求めた。 大臣は独立した審査の要請を拒否し、セイフ・フード・マターズは2019年2月に大臣の決定の司法審査を申請した。その申請は、連邦裁判所によって却下された。 3月13日、セイフ・フード・マターズは連邦裁判所の判決に対して控訴した。 私たちの依頼人の反対意見は、グリホサートの証拠がこの閾値を満たしていないのか、そして限られた科学又は信頼できない科学に基づいているのかについて議論を引き起こした”とボーマンは言い、グリホサートが人間の健康や環境に害を及ぼさないという合理的な確実性テストについて述べた。 ”異議申し立てプロセスにおける一般市民の役割は、病害虫管理規制局(PMRA)が、登録者が害が発生しないという合理的な確実性があることを証明したことを適切に発見したかどうかに関連する誤り、弱点、または脱落を明らかにすることである”とボーマンは述べた。 広く使用されている除草剤 ”私たちの依頼人は、異議申し立てプロセスが病害虫管理規制局(PMRA)の誤りを正すための有用な手段なので、この控訴に参加している”。 グリホサートに反対するグループは、病害虫管理規制局(PMRA)が慎重すぎるぐらいに慎重になり、安全であることを証明するのに十分な情報がない場合には農薬の登録を拒否すべきであると考えている。 このグループによると、グリホサートはカナダ及び世界中で最も広く使用されている除草剤であり、[除草による]美観を目的として、また小麦、大麦、オート麦、ひよこ豆、亜麻、大豆などの作物に除草用途で散布するためにカナダで登録されている。 ノバスコシア州では、環境局が今年、アナポリス、キングス、ハンツ、コルチェスターの各郡で限定散布することに加えて、主にカンバーランド郡で 1,498ヘクタールの森林に農薬を散布するための 3つの新しい承認を発行した。 環境局の報道担当官は火曜日、センチュリー・フォレストリー(100年森林管理)が本年9月に[米国東部とカナダ大西洋岸を襲った]ハリケーン・テディのために2020年の散布プログラムを終了したと部門に報告したと述べた。 4つの散布予場所では実施されなかった。 また、9月には、ノバスコシア州及びエクスティンクション・リベリオン(訳注3)の”除草剤散布と皆伐を止めろ!”を求める団体とその仲間たちが、空中グリホサート散布が承認された3区画の森林地帯を占拠した。 連邦控訴裁判所に出廷する申請者らは、科学的研究により、生理学的に成熟していない作物にグリホサートを使用すると、作物の種子にグリホサート残留物が蓄積することが示されていると主張している。 つまり、グリホサートの存在は、私たちの食べ物、水、そして子どもたちの遊び場に見られるということである。 2018年、カリフォルニア州の裁判所は、モンサント(現在のバイエル)のグリホサート・ベースの農薬がアメリカ市民のがんの原因であり、モンサントが故意にリスクを隠蔽したと認定した(訳注4)。米国では、9,000件を超える訴訟ががん患者によって起こされている。 関連情報
訳注1:ラウンドアップ/グリホサートの有害性
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