U.S. Right to Know 2020年8月18日
カリフォルニア州 控訴裁判所
モンサントのラウンドアップ訴訟の
再審理の申し立てを却下

カーレイ・ギラム

情報源:U.S. Right to Know, August 18, 2020
Appeals court denies Monsanto bid for Roundup case rehearing
By Carey Gillam
https://usrtk.org/monsanto-roundup-trial-tracker/
appeals-court-denies-monsanto-bid-for-roundup-case-rehearing/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年8月22日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_20/200818_USRTK_
Appeals_court_denies_Monsanto_bid_for_Roundup_case_rehearing.html



 カリフォルニア州第一控訴区の控訴裁判所は火曜日(8月18日)に、モンサントのラウンドアップに暴露して引き起こされたと陪審員が認定したがんを克服しようと苦闘しているカリフォルニアのグラウンド整備員に支払うべき金額から400万ドル(約4憶円)を削減しようとするモンサントの試みを却下した。(訳注1:モンサント・ラウンドアップ裁判関連情報

 同控訴裁判所はまた、この件の再審理を求める同社の要請も拒否した。 裁判所の判決は、先月の判決に続き、グリホサート・ベースの除草剤ががんを引き起こすという強力な証拠を否定したとしてモンサントを非難した。 その 7月の判決で、裁判所は原告のドウェイン・ジョンソン氏がモンサントの除草剤により彼のがんが引き起こされたという "豊富な"証拠を提示したと述べた。 ”専門家は次々と、ラウンドアップ製品が非ホジキンリンパ腫を引き起こす可能性があること、及び、特にジョンソン氏のがんを引き起こしたことの両方の証拠を提供した”と、控訴裁判所は 7月の判決で述べた。

 しかし、先月の判決では、控訴裁判所はジョンソン氏に与えられた損害賠償の減額を行ない、予審判事による 7,800万ドル(約82億円)及び、2018年8月のジョンソン裁判の陪審団による 2億8,900万ドル(約303億円)より安い裁定を行ない、モンサントに対して 2,050万ドル(約21億5,000万円)を支払うよう命じた。

 ジョンソン氏への支払い 2,050万ドル(約21億5,000万円)に加えて、モンサントは 519,000ドル(5,450万円)の費用の支払いを命令されている。

 2018年にバイエルが買収したモンサントは、ジョンソン氏への賠償額を 1,650万ドル(17億3,000万円)に削減するよう裁判所に要請していた。

ジカンバ禁止裁定もまた有効訳注2:ジカンバ裁判関連情報

 火曜日(8月17日)の裁判所の決定は、モンサントから受け継がれたバイエルのジカンバ・ベースの除草製品の承認を無効にするという裁判所の 6月の決定の再審理を却下する米国第9巡回控訴裁判所の月曜日(8月17日)の判決に続くものである。その 6月の判決は、BASFとコルテバ・アグリサイエンスが製造したジカンバ・ベースの除草剤も効果的に禁止した。

 両社は、第9巡回区の裁判官からなる広範な裁判官らに裁判の再審理を要請し、製品の規制当局による承認を取り消す決定は不公平であると主張していた。 しかし、裁判所はその再審理の要請をきっぱりと拒否した。

 裁判所は、EPA がジカンバ除草剤の”リスクを実質的に過小評価”し、”他のリスクを完全に認めることをしなかった”と認定し、EPA に対して会社の各ジカンバ製品の使用を直ちに禁止するよう命じた。

 3社により製造されたジカンバ製品で雑草を処理することを意図して多くの大豆及び綿花栽培農民がモンサントにより開発された遺伝子組み換えジカンバ耐性作物を数百エーカーにわたり栽培していたので、ジカンバ製品を禁止するという裁判所の決定は、農業地帯に大騒動を引き起こした。グリホサート耐性作物ラウンドアップ・レディと同様に、ジカンバ耐性作物は、農民がジカンバを彼らの農地に散布しても彼らの作物を害することなく雑草を処理することを可能とする。

 モンサント、BASF、デュポン/コルテバが数年前にジカンバ除草剤を発売したとき、古いバージョンのジカンバ除草製品は揮発し近隣に流れ込む(ドリフトする)ことが知られていたが、新しい製品はその様なことがないと主張した。 しかし、ジカンバのドリフトによる被害に関する苦情が広範にわたり、これらの保証は虚偽であることが判明した。

 連邦裁判所は 6月の判決で、ジカンバ耐性のために遺伝子操作はされていない100万エーカー以上の作物が昨年、18の州で被害を受けたと報告されたと連邦裁判所は述べた。


訳注1:モンサント・ラウンドアップ裁判関連情報
訳注2:ジカンバ裁判関連情報


化学物質問題市民研究会
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