Environmental Health News (EHN) 2020年6月22日
ヨーロッパにおける内分泌かく乱物質:
19人の”専門家”が議論を汚染している

薄っぺらな専門性と隠された利益相反をもつ毒性学者のグループが
非常に低用量で有害な合成物質に関する
ヨーロッパの規制の実施を妨げようと働いている

ステファン・ホーレル及びステファン・フカール (ル・モンド)
情報源:Environmental Health News, June 22, 2020
Endocrine disruptors in Europe: Nineteen "experts" are polluting the debate
A group of toxicologists with tenuous expertise and veiled conflicts of interest
are working to derail the implementation of European regulations
on synthetic substances that are toxic at very low doses.
By Stephane Horel and Stephane Foucart
https://www.ehn.org/european-parliament-endocrine-disruptors-2646227143.html

訳:安間 武(化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2020年7月1日
このページへのリンク
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/edc/EU/ehn_200622_
Endocrine_disruptors_in_Europe_Nineteen_experts_are_polluting_the_debate.html

編者(EHN)注:この記事はもともと ル・モンドにより発表された(訳注:仏語)が、許可を得て EHN により、ここに再掲載されている。


 彼らは彼ら自身を卓越した(prominent)専門家と呼んでいるが、そうではない。

 彼らは、利益相反がないことを厳粛に宣言する。 しかし、彼らの半分は、過去3年間にわたり化学、農薬、食品、又は化粧品の業界と連携してきた。ブリュッセルで重要な意思決定プロセスが進行している中、ヨーロッパの内分泌かく乱物質のどのような規制にも徹底的に反対してきた 19人の科学者らは、意見を表明することを選択した。

 2020年4月上旬に発表されたひとつの論説訳注1)で、彼らは環境中や生物中(赤ちゃんから巻貝まで)のいたるところに存在する内分泌かく乱化学物質(EDCs)の影響の潜在的な重大性を最小限に抑えている。

 ”合成内分泌かく乱化学物質(synthetic endocrine-disrupting chemicals)への人間の暴露は一般に無視できる”と彼らは言う。そして、”さらなる研究と規制上の結果は正当化されないであろう”。

 2013年、同じ毒物学者の中核グループによる同様のイニシアチブは、進行中の EU 立法プロセスの妨害に貢献し、EDC 規制の詳細検討を数年間遅らせた。


訳注/参考


 毒物学を専門とする 6つの学術誌に同時に出版されたこの新しい論説は、”欧州委員会の招待に応じる”と主張している。

 論説の”責任著者(corresponding author)”であり、ミュンヘン工科大学(ドイツ)の毒物学の引退した教授であるヘルムート・グライムは、ル・モンドに、この招待は、2019年11月8日に欧州委員会が”内分泌かく乱物質に関する最初の年次フォーラム”をブリュッセルで開催したときに来たと述べた。

 ”欧州委員会の代表は、出席者に書面によるコメントの提示を奨励した”。そして彼らはそのようにした[訳注:この論説を発表した]。

 この論説のタイミングは政治色が濃いように見える。EU の幹部は、化学物質と EDC の規制に、この数か月疑問を投げかけている。 EDC は、農薬および殺生物剤(家庭用殺虫剤)法でのみ扱われ、2018年から対策が実施されている。環境及び広範な消費財(プラスチック、おもちゃ、化粧品、食品包装、 病院の装置など)中での EDCs の存在は、まだ規制されていない。

 2019年と2020年にいくつかの手順が開始された。これらの「適合性チェック」と「利害関係者」との協議により、欧州委員会は規制を適切に評価することができる。 改善の余地はあるか? 規定を強化すべきか?


訳注/参考


 ゆったりとした雰囲気ではない。 欧州委員会は、2017年に EDCs に関する包括的な”新しい戦略”を準備すると発表したとき、”EU市民の農薬や殺生物剤以外の内分泌かく乱物質への暴露を最小限に抑える”と約束した


訳注/参考


 その後、2019年の終わりに、自身が医師である欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・デア・ライエンは、”大気と水質、有害な化学物質、産業排出物、農薬、及び内分泌かく乱物質に対応しつつ、環境の悪化と汚染から市民の健康を保護する”ことを彼女の政策ガイドラインの中で約束した。

 6月25日、欧州議会の環境委員会は、7月の本会議での投票の前に、この議論に貢献することになっている。 9月に予定されている委員会の発表は、2050年までにヨーロッパの気候中立を実現することを目的とする一連の政策イニシアチブであるグリーンディールの一部となる。


訳注/参考


時代遅れで一方的

 EDCとその広範な有害性に関する科学的証拠は、ほぼ 30年間蓄積されてきた。 しかし、2020年4月の論説の署名者らは、”この分野の卓越した専門家および科学的指導者”と自称しており、合成 EDC は”大豆ベースの食事、緑茶、スイートマスタードに含まれる”自然”の EDC よりも危険ではないと考えている”。

 彼らの主張を支持する科学的文献などないのに、彼らは”合成” EDC への曝露は”過去 50年間にわたって継続的に減少しているが、”自然” EDC への曝露は主に菜食主義のライフスタイルの増加に伴って増加した”と主張している。

 著者らはまた、低用量の EDC への暴露によって引き起こされる影響の存在に異議を唱えている。 しかし、これは、これらの物質の特徴である。それらは自然ホルモンのそれと同じくらい少ない用量で体の回路に侵入する。

 結論として、著者らは、実験動物に対する EDCs の影響に関するすべての研究を中止し、それらを生体外(in vitro)試験、つまり完全な生物ではなく、培養細胞に限定することを提案している。

 彼らの発言を実証するために、毒物学者らは古い研究を参照している。 多くの研究は、EDC に関するほとんどの研究が実施された時期より前の 2000年代初頭にさかのぼっている。 2009年以降、EU によって採用された規制措置についての言及はない。著者は自己引用を実践し、彼等自身の出版物、そのほとんどは 学術誌に送られた類似の論説又は手紙から議論を構築している。 最後に、リファレンスには、業界のためにコンサルタントが作成した記事が多数含まれている。

 科学的内容は”時代遅れで一方的なもの”であると、40 年間米国で政府の科学者として働き、そのうちのひとつは国立環境保健科学研究所(NIEHS)の所長であった毒物学者のリンダ・バーンバウムは述べた。

 これらの著者の研究が EDC 分野で重要かどうかを問われたとき、彼女は”公平な研究者ではない”と答えた。

 この論説は、18,000人の医師と研究者で構成されるこの分野の主要な学会である内分泌学会によって厳しく批判された。 同協会の内分泌かく乱化学物質諮問グループの議長であるバーバラ・デメニックスは、”論説は、内分泌かく乱化学物質の公衆衛生への影響に関連する多数の証拠を無視している”と述べた。

 2015年に参考文献を精査するために内分泌学会によって召集された専門家グループは、1,500件以上の研究をレビューし、” EDC 暴露と健康への影響との強い関連を確立するための、肥満、糖尿病、ホルモン感受性のがんから、神経発達、生殖に関する健康、甲状腺への悪影響まで、動物、人間、機械的及び疫学的研究からの確固たる科学的証拠”があると結論付けた。


訳注/参考


 しかし、ルモンドへの電子メールで、ヘルムート・グレイムは、”いわゆる合成 EDC の非常に低い曝露と効力によって、問題を引き起こす可能性はないと主張した。単一の個人の声明は常に疑問視されるので、 高名で(renown)(原文のまま)独立した科学者らによる論説は…最も説得力がある”と彼は書いた。

専門性の欠如

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タフツ大学の生物学者アナ・ソト。 彼らは”専門知識のない自称専門家”であると彼女は新しい論説の著者らについて述べた。
(Credit: Antoine Doyen/Tufts.edu)
 ボストンの近くにあるタフツ大学で、生物学者のアナ・ソトは EDC 問題について他の先駆者たちと早くも 1991年にこの問題を突き止めており、その妥当性についての絶え間ない尋問に業を煮やしている。”これにはうんざり”とため息をついて言った。

 ソトは彼女のチームの研究者を Le Mondeのために動員し、彼らは EDCs のテーマでこれらの 20人ほどの科学者の実際の科学研究を調査した。

 研究者のビクトリア・ブッファードは科学文献における彼らの出版物を分析した。 彼女の予備的な結果は、”内分泌”、”エストロゲン”、”アンドロゲン”、”甲状腺”、または”ビスフェノールA”という用語が記事にほとんど現れないことを示している。 そして多くの人について、研究記事やレビューではなく、解説、手紙または論説でのみであった。

 ”論説を投稿するのに、多くの仕事は必要ない”とアナ・ソトは言った。

 近年ブリュッセルに頻繁に招聘されているダニエル・ディートリッヒ(ドイツ、コンスタンツ大学)には、例えば、これらの用語を含む 45 の出版物のうち 12しかなく、 EDC 専門家として十分ではないとソトは述べた。過去3年間で、ヴォルフガング・デカント(ドイツ、ヴュルツブルク大学)には 12の出版物しかなかった。それらは、3つの論説及び3つの業界から資金提供を受けた研究であり、残りの 6つは 6回出版された4月の論説である。フィンランドのナノテクノロジーの専門家であるカイ・サボライネンには、何もない。

 彼らは、”専門知識のない自称専門家”であるとソトは結論付けた。

 本格的な EDC 専門家は、専門的なエンバイロンメンタル・ヘルス・パースペクティブ(EHP)や有名なランセット(Lancet)など、広く尊敬を集めている学術誌に発表するが、全員が男性のこの小さな戦闘部隊は、マイナーな毒物学学術誌に投稿される著作物を攻撃しており、そのほとんどは彼等自身によって編集されているものである。

 ”率直に言って、同じ論説が異なる[6つの]学術誌に掲載されるなど、もってのほかである。論説の著者は問題の各学術誌の編集者だと思う”とリンダ・バーンバウムは語った。

利益相反

 化学物質の毒性に一生涯取り組み、化学物質の影響をまさしく否定して、人々にさらなる保護を提供しないよう当局に要請した科学者らの動機は何であろうか?

 おそらく、その根源は彼らの利益相反にある。 この点は、内分泌学会を代表して、”すべての関連する可能性のある競合(矛盾)を読者が把握することを確実にするために、著者の開示に関する詳細情報を知ることに関心があるであろうバーバラ・デメニクスにとって特に懸念されることがらである。

 論説の最後に、著者らは”この論文で報告された研究に影響を与えるように見えるかもしれない競合する金銭的利害関係や個人的な関係について承知していない”と厳粛に宣言している。ル・モンドが過去 3年間に行った、EDC の規制により製品が脅かされている業界との連携に関する体系的な調査は、彼らが宣言したことは事実から程遠いことを示している。

 2002年に退職したヘルムート・グレイムは、日本の化学会社(住友)の従業員と共同執筆した農薬に関する記事の利益相反開示宣言に示されているように、2019年に住友のコンサルタントを務めた。 同年、彼はアメリカの化学業界のロビー組織であるアメリカ化学工業協会の委員会に参加した。 2001年以来、彼は化学産業のヨーロッパの科学シンクタンクである Ecetoc の科学委員会のメンバーである。

 また注目すべき点としてグレイムは、2015年に物議を醸している除草剤グリホサートを擁護するためにモンサントによって設立された専門家委員会のメンバーになり、ゴーストライティングの訴訟に関与した。 「モンサントペーパー」の調査中にルモンドにより明らかにされたように、彼は、そのほとんどがモンサントの毒物学者らによって書かれた科学記事に署名していた。


訳注/参考


 グレイムはまた、2018年にマスコミから”モンキーゲートドクター”と呼ばれたことで、一種の世界的な有名人になった。 彼はドイツの自動車メーカー協会の顧問であり、サルがディーゼル排気にさらされる実験の許可を与えた。 この種の活動に加えて、彼はまた、ほぼ 30年間、さまざまなヨーロッパの公式科学委員会で重要な責任を負った。

 しかし、彼らの論説は”単に科学に基づいているだけだ”とグレイムは述べた。 ”ルモンドの記事で、あなたは著者の誰かが産業界で働いたことがあるかどうかではく、科学について議論してほしい”。

 この文書は委託されたものなのか? 彼自身を含む著者の半数が利益相反を宣言していないという事実について、何かコメントするか?  という問いに、ヘルムート・グレイムは何も答えなかった。

 過去 3年間に業界とのつながりを持つ 9人の署名者の中で、アラン・ブービスは規制毒物学コミュニティでよく知られている。 最近インペリアル・カレッジ・ロンドン を退職した彼は、3か月前に”いくつかの科学諮問委員会のメンバー”であったと宣言したが、”これらの共同活動で報酬を受けていないし、受けたこともない”と述べた。

 ル・モンドの要請により、彼は委員会のリストを提供した。 これには、成分安全研究センター(CRIS、特にバイエル、ハーシー、ペプシコから資金提供)、化粧品ヨーロッパの長期科学戦略(LRSS)、化粧品セクターのヨーロッパロビー組織、及び医療機器メーカーのオールストン・メディカル(Owlstone Medical)が含まれる。

また、無料奉仕ベースで、ブービスは長年にわたり、農薬、バイオテクノロジー、食品業界向けの主要な科学的ロビー活動組織である ILSI の理事会のメンバーを務めた。 これらの立場のいずれも無報酬であるため、”論文の研究に影響を与える競合はなく、したがって宣言も必要ないと考えた”とアラン・ブービスは説明した。

 上記の住友研究をヘルムート・グレイムと共同執筆したコリン・ベリーは、英国科学メディア・センターの Web サイトで、 BASFバイエルデュポンモンサント、及び”多くの製薬会社”のコンサルタントであり、 欧州リスクフォーラムのアドバイザーであると述べた。

 BASF、バイエル、シェブロンなどの企業が資金を提供するこのブリュッセルのシンクタンクは、ヨーロッパの公式文書懸念から予防原則を抽出することを目的としている。 また、退役してから長年のベリーは、シンジェンタの「倫理委員会」の議長を務め、通常は「時給」で彼に支払われていたと語った

 少なくとも2013年以来、カナダのサム・カシュー(オタワ大学)は、アメリカ化学工業協会の下部組織である北米難燃剤連合(Nafra)の科学諮問委員会の常任メンバーであり、 脳と生殖系に有毒なこれらの化学物質を支持している。 この使命のために彼は過去 3年間、謝礼金を受けたと述べた。 ベリーとカシューはル・モンドからの質問には答えなかった。

 クリストファー・ボーガートの産業界との関係はより直接的である。 自営業のコンサルタントである彼の顧客には 2018年以来、モンサントクロップライフ・アメリカ(農薬)アメリカ化学工業協会エンドクリン・ポリシー・フォーラム、およびベンゼンを擁護する業界コンソーシアムが含まれている。

 ル・モンドは過去 3年間しか調査していないが、これらの科学者の一部は業界と非常に長年の関係がある。 たとえば、89 歳のジオ・バッタ・ゴリは、この小さな世界に溶け込んで目立たない。元タバコ業界のコンサルタントであった彼は、長年にわたり、業界によって遠隔管理されている学術誌である規制毒物学及び薬理学(Regulatory Toxicology and Pharmacology)の編集者であり、有害製品に従順な記事を発表していた。

 1938年に生まれたハンス・マーカートは、タバコ会社の秘密のアーカイブである”シガレットペーパー”中の契約と通信から明らかなように、2000年代初頭のフィリップモリスの”外部調査プログラム”の科学諮問委員会のメンバーであった。

 合計すると、これら 19人の科学者のうち少なくとも 15人は、彼らの経歴の中で、化学、農薬、化石燃料、またはタバコの各産業と関係があった。

EU の意思決定者に耳を傾けさせる

 彼ら著者のうち何人かは、初めてのことではない。 2013年6月には、そのうちの 7人が既に短い論説に署名し、その後 14の学術誌に掲載された。 その主導は、ドイツ人のヘルムート・グレイム、ヴォルフガング・デカント、ダニエル・ディートリッヒによるものであった。

 欧州委員会の最高位の科学当局に向けられた介入とともに、その論説は EDC 規制に関する意思決定プロセスを妨げることにおいて主要な役割を果たしたが、後にそれは(EDC 規制に関する意思決定プロセスは)精査された 。当時 EU から精査の要請を受けた毒性学者のアンドレアス・コルテンカンプ(ブルネル大学、ロンドン)は既視感(deja vu)を隠さない。


訳注/参考


 コルテンカンプには、彼らの目的が”あまり明確ではない”ように見えても、過去と同様に今日でも、これらの著者らは”主題に精通していない政治家に影響を与える可能性がある”とル・モンドに述べた。 彼にとって、このイニシアチブは”悪い政治的決定につながる疑似科学的アドバイス(pseudo-scientific advice)”を意味する。

 この問題に関する彼らの無能と、世界中の化学物質規制の進展によって脅かされている業界との既知のつながりにもかかわらず、これらの科学者の中核は、EU の意思決定者の注意を何とか引くことに成功している。 2016年5月には、科学的助言よりもむしろロビー活動に近い会議で、保健委員会のヴィテニス・アンドリウカチスによって受け入れられた。

 これらの会議、論説、記事を通じて、この小さなグループは、ブリュッセルや他の場所で、EDC の問題に関する深い科学的不一致という錯覚を何とか作り出すことに成功した。

 ”論争”は、内分泌かく乱の科学において実際の経験がほとんどないほんの一握りの個人によって不自然に膨張させられている。 2013年以降、この中核グループの 8人のメンバーが編集した毒物学学術誌に少なくとも 6つの論説を掲載している。それらの全ては EDCs の問題を最小化するが、彼等自身の利益相反を決して宣言しない。それらのほとんどは中継され、さらにはオープンにロビーグループによって支持されている。

 2016年だけでも、彼らは EDC 研究の”疑似科学(pseudo-science)”を 2回攻撃した。”自由な社会は、大規模な経済的誤配分と蔓延する公衆の不安を引き起こす規制を容認することは難しいだろう”と別の論説を非難した。ダニエル・ディートリッヒは最後に、ジークムント・フロイト(訳注:精神科医〈1856〜1939〉)に男性生殖器への影響に取り組むよう呼びかける記事の中で EDC を”都市伝説”と呼んだ。(訳注:ディートリッヒの論説の原文では、”EDC の問題全体には毒性学よりフロイト博士の方が適格ではないか One may wonder whether the entire issue of EDC is more within the competence of Dr. Sigmund Freud than that of toxicology.”と書れている。)

 肝臓のスペシャリストであるヤン・ヘンクストラ(ドイツ、ドルトムント工科大学)は、彼の側に利益相反はない。 これらの論説の 4つに署名した彼は、2019年7月に EDC の主題に関するパロディメモ著者であると主張した

 ”ぶざまな医学部”の”I. M. Portant と R. E. Sults(重要と結果)”に署名し、EDC の低用量効果に関する 20年間の研究をあざけった。”ヒポコンドリゾール(hypochondriazole)”と呼ばれる架空の内分泌かく乱物質の”ゼロ以下”の影響を報告して、本当の著者らは”あらゆる種類の化学物質の即時禁止”を勧告した。

 そして、彼らはこれらの言葉でしめている。”著者らは相反はあるが、利益はないと宣言する”。

 スペシャリストのためのユーモア、それは全くスペシャリストの趣味ではない。

 ”低用量効果は本当である”とリンダ・バーンバウムは述べた。 風刺的と思われる論説の多くは、彼らの無知のレベルを示しているだけだ”。

 バーバラ・デメニークスによれば、2020年4月の論説はひどい。彼は”EDCsへの暴露を減らす緊急の必要性を正当化する確立された科学的証拠を反映していない”と述べた。科学に基づく規制管理が遅れれば、現在および将来の世代と生態系に地球規模で影響する。

 ステファン・ホレルとステファン・フーカートは、ルモンドのジャーナリストである。


訳注1:2020年4月30日にウェブで公開された論説及び著者/所属

(出版)
ScienceDirect / Toxicology in Vitro Available online 30 April 2020
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0887233320303209?via%3Dihub

(タイトル)
Human exposure to synthetic endocrine disrupting chemicals (S-EDCs) is generally negligible as compared to natural compounds with higher or comparable endocrine activity. How to evaluate the risk of the S-EDCs?

(合成内分泌かく乱化学物質(S-EDC)への人間の曝露は、内分泌活性が高いまたは同等の自然化合物と比較して、一般に無視できる。 どのように S-EDCのリスクを評価するか?)

(著者/所属:19名)
  1. Herman Autrup a: Institute of Public Health, University of Aarhus, Aarhus, Denmark
  2. Frank A. Barile b: College of Pharmacy and Health Sciences, St John's University, Queens, New York, USA
  3. Sir Colin Berry c: Queen Mary University of London, UK
  4. Bas J. Blaauboer d: Division of Toxicology, Institute for Risk Assessment Sciences, Utrecht University, Utrecht, the Netherlands
  5. Alan Boobis e: National Heart & Lung Institute, Imperial College, London, UK
  6. Herrmann Bolt f: Leibniz Research Centre for Working Environment and Human Factors (IfADo), TU Dortmund, Dortmund, Germany
  7. Christopher J. Borgert g: Applied Pharmacology and Toxicology, Inc., Gainesville, FL, USA
  8. Wolfgang Dekant h: Department of Toxicology, University of Wuerzburg, Wuerzburg, Germany
  9. Daniel Dietrich i: Human and Environmental Toxicology, University of Konstanz, Konstanz, Germany
  10. Jose L. Domingo j: Laboratory of Toxicology and Environmental Health, School of Medicine, IISPV, Universitat ‘Rovira i Virgili', Reus, Spain
  11. Gio Batta Gori k: The Health Policy Center, Bethesda, MD, USA
  12. Helmut Greim l: McLaughlin Centre for Risk Assessment, University of Ottawa, Ottawa, Canada
  13. Jan Hengstler f: Leibniz Research Centre for Working Environment and Human Factors (IfADo), TU Dortmund, Dortmund, Germany
  14. Sam Kacew l: McLaughlin Centre for Risk Assessment, University of Ottawa, Ottawa, Canada
  15. Hans Marquardt m: Toxicology, Hamburg, Germany
  16. Olavi Pelkonen n: Department of Pharmacology and Toxicology, University of Oulu, Oulu, Finland
  17. Kai Savolainen o: Nanosafety Research Centre, Finnish Institute of Occupational Health, Helsinki, Finland
  18. Pat Heslop-Harrison p: Department of Genetics and Genome Biology, University of Leicester, Leicester, UK
  19. Nico P. Vermeulen q: Department of Chemistry & Pharmaceutical Sciences, Vrije Universiteit, Amsterdam, the Netherlands


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