IPEN 2019年5月29日
フィリピン環境 NGOs が祝う:
カナダ不法輸出の大量ゴミ 最終的に本国に送還

”フィリピンは世界のゴミ捨て場ではない”

情報源:IPEN, 29 May 2019
Groups Celebrate as Tons of Canada's Illegal Waste Shipments Finally Return Home
"We are not the world’s dumpsite."
https://ipen.org/news/Illegal-Waste-Shipments-Return-Home"

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年6月8日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/news/190529_IPEN_Groups_
Celebrate_as_Tons_of_Canadas_Illegal_Waste_Shipments_Finally_Return_Home

【マニラ/フィリピン、バンクーバー/カナダ、ヨーテボリ/スウェーデン】69個のコンテナーでフィリピンに違法に輸出されたカナダのゴミは、カナダにバーゼル条約を順守させるための 6年間の戦いの後、本日本国に向けて出港した。共同声明の中で、エコウェイスト連合(フィリピン)、ライト・オン・カナダ(カナダ)、及び IPEN(本拠地スウェーデン)は、マニラの北部サビック港からの悪臭を放つゴミの歴史的な出港を、法規則、道義、そして環境の勝利であると述べた。

 ”我々は、カナダの汚いゴミを混載した 69個のコンテナーが今、長い間ここに立ち往生した後、本国に向けて出港したことに歓喜を感じる”と、エコウェイスト連合の国内コーディネータであるアイリーン・ルセロは述べた。”フィリピンは世界のゴミ捨て場ではない。我々は、他の国が再び、我々の尊厳、健康、そして環境を脅かすことを決して許さない”。

 ”これは環境の勝利であり、法規則の勝利である”と、ライト・オン・カナダのキャスリーン・ラフは述べた。”カナダ政府は今、ついにバーゼル条約を順守し、自国の廃棄物に責任を持とうとしている。このことが環境的責任の意味することである”。

 2013年〜2014年に、2,400トン以上のゴミを収納する103個のコンテナーがリサイクル用の廃プラスチックであると偽りの申告の下にカナダからフィリピンに送り込まれたが、実際には分別されていないプラスチック、家庭ゴミ、使用済みの大人のオムツ、そして電子廃棄物が混在していることが発見された。

 バーゼル条約の規則の下では、カナダはその廃棄物を30日以内に引き取らなくてはならなかったのに、カナダ政府はその不法な輸出を現地で処理するようフィリピン政府に圧力をかけた。当時のカナダ首相ピエール・トルドーは、2015年及び2017年のフィリピンへの不法輸出問題に留意したが、それらのゴミを持ち帰ると約束することを拒否した。

 カナダを拠点とする環境法・訴訟太平洋センターの 2019年の法的見解は、カナダのゴミ引き取り拒否はバーゼル条約違反であるとした。4月23日、フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテは、カナダは」その不法に送り込まれたゴミを持ち帰るよう要求したが、カナダは 5月15日の期限に応じなかったので、フィリピンは大使を召還した。

 ”カナダはバーゼル条約を順守し、数年前に不法輸出したゴミを引き取るべきであった”と、IPEN のジョー・ディガンギは述べた。”カナダに対しても、又はその他のどのような国に対しても、バーゼル条約に従わせるために大統領の脅しを利用すべきではない。カナダもフィリピンも、この苛立たしい経験から決してこのようなことを繰り返さないよう学ぶ必要がある”。

  ゴミの不法投棄(輸出)の再発を防止するために、NGOs は、リサイクル目的を含んで、どのような理由があっても先進国から発展途上国への有害廃棄物及びその他の廃棄物の輸出を禁止するバーゼル禁止令(禁止修正条項)(訳注1)をカナダとフィリピンは早急に批准すべきであるということに、同意した。

 最近のバーゼル条約締約国会議(COP14)で採択された新たな世界的規則(訳注2)は、制限のないプラスチック廃棄物輸出を止めるであろう。しかし、フィリピンの法律の強化もまた、将来の投棄(貿易)を止めるために重要であると同 NGOs は言う。

 ”この厳しい試練は、廃棄物をリサイクルという名目で輸入することを許す時代遅れの規則を修正することの緊急性を我々教えてくれた。我々は、本来はそのような廃棄物は生成された国でリサイクルされ、処理され、処分されるべき(訳注:すなわち国内処理原則に基づくべき)プラスチック廃棄物、電子機器廃棄物、及び有害廃棄物の不法な廃棄物貿易を容易にし、我が国をそれらの投棄場所にするひどい抜け穴をふさぐ必要がある”と、エコウェイスト連合の国内コーディネータであるアイリーン・ルセロは述べた。


訳注1バーゼル禁止令
 バーゼル禁止令は、経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国が全ての非OECD諸国に最終処分を目的とした又はリサイクリング又はリカバリーを目的とした、いかなる有害廃棄物も輸出することを禁止するという、バーゼル条約の改正案(amendment)である。

訳注2
Basel Action Network 2019年5月12日 ノルウェー修正案:リサイクル業者への影響 サマリー
IPEN 2019年5月10日 新たな世界基準が無制限のプラスチック廃棄物輸出を抑制する

訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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