グリーンピース フィリピン プレスリリース 2016年9月7日
環境団体 カナダからのゴミの
返送決定に喝采


情報源:Greenpeace Philippines Press release - September 7, 2016
Green groups cheer impending return of Canada garbage to its origin
http://www.greenpeace.org/seasia/ph/press/releases/
Green-Groups-Cheer-Impending-Return-of-Canada-Garbage-to-Its-Origin/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年9月12日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/news/
160907_GP_return_of_Canada_garbage_to_its_origin_from_Philippines.html


【2016年9月7日 ケソン市】 環境団体は、政府機関間委員会によってなされたカナダからが不法に輸出されたゴミの積み荷をカナダに送り返すという決定は国家の尊厳と環境正義の勝利であるとして称賛した。

 先の月曜日に、関税局、環境天然資源省、外務省及び司法省からなる委員会はマニラ行政長官ティタ・ブガオ=アリスアグによる、廃棄物を内容物とする50個の40フィートコンテナーを輸入業者であるクロニック・プラスチック社のコスト負担でカナダに送り返すことを命じた判決を執行することに合意した。

 共和国法 6969 (有害物質並びに有害及び核廃棄物規制法)違反の刑事事件 14-311191 の参加人(intervenor)の一人アイリーン・ルセロは6月30日の裁判所の判決と、それを実施するための9月5日の政府機関間委員会の決定を称賛した。

 ”その不法なゴミを送り返すための飽くことのないキャンペーンの後、我々はついに我々の共同行動の果実を手に入れ始めている。裁判所の命令を実施するという政府の決定は国家の尊厳と環境正義の勝利である。これは公正のためなので、我々はそれを支持し、全てのフィリピン人にその下に結束するよう要請する”と、エコウェイスト連合の化学物質安全・ゼロ廃棄物グループの全国コーディネータでもあるルセロは述べた。

 ”これは、我々の司法制度がまだ、国家の主権の砦であることを示している。これは、我々の司法制度が守る国の環境法はもちろん我々の憲法を侵害することから利益を得ようとする腐敗した公務員と民間人に、願わくは強い警告になってほしい”と、もう一人の参加人である環境活動家ラファエル・ロペスは述べた。

 他の参加人(団体)は下記を含む。 Ang Nars Party List, EcoWaste Coalition, Global Alliance for Incinerator Alternatives, Public Services Labor Independent Confederation, Sentro ng mga Nagkakaisa at Progresibong Manggagawa and Arjohn Queral.

 ルセロは、裁判所の命令はガラクタや危険なゴミが詰まった103個の船積みコンテナーのうちわずか50個だけを対象としていると言及しつつ、”まだ終わっていない。我々は最後のゴミ・コンテナーがカナダに送り返されるまで、油断なく戦い続けることを誓う”と、ルセロは強調した。”我が国が裁判所の命令を満たすことに成功すれば、あくどい廃棄物業者に対して、フィリピンは世界のゴミ捨て場ではないというメッセージを伝えることになる”と彼女は付け加えた。

 2013年と2014年に、リサイクル用の廃プラスチックと偽って申告された主に家庭ゴミからなる合計103個の船積みコンテナーがカナダからフィリピンに違法に送られた。2015年にこれらのコンテナーのうち26個から家庭ごみがタルラックにある私有埋め立て場に違法に投棄されて州の役人や住民を激怒させた。

 ”廃棄物処理施設を運営する地方当局及び自治体は悪臭を放つ家庭ゴミは地域で処分するのではなく、カナダに送り返さなければならないという裁判所の命令で、やっとで一息つくことができる”と、先の6月28日にカナダ大使館の周囲でカナダのゴミ投棄に反対して平和的な抗議を主催した Buklod Tao の代表ノリ・アビネレスは述べた。

 ゼロウェイストグループは、”地域の埋め立て場、セメント工場、そして廃棄物発電所でのカナダのゴミの処分は全く間違っており許すことはできない”と強調した。

 ”政府機関間の決定は我々すべてが待ち望んでいたことである。しかし、我々は、この命令には含まれていない 53の有蓋貨車があり、さらに5以上のまだ不明のものがあるということを忘れるべきではない。これは疑いなくフィリピンの人々の勝利であるが、戦いはまだ終わっていない。フィリピン政府がバーゼル条約禁止令(Basel Ban Amendment)を批准しないなら、同じような事件が今後も起き、我が国は、リサイクルという名の下に、カナダのような富める国からの有害廃棄物の受取人になり続けるであろう。我々が避けなくてなくてはならない厄介な前例である”と、グリーンピースの Dedtox キャンペーン責任者アビゲイル・アグイラーは述べた。

 ”BAN Toxics は、政府機関間の決定は、我が国の主権を維持し、フィリピン人と我々の環境を保護するという正しい方向への一段階であるとして、それを歓迎する。しかし、それはよい決定であるが、もっと多くのことがなされる必要がある。決定は送り込まれた合計 103のコンテナーのうち、わずか50だけを対象としており、政府はそのガラクタを送り返すことを決めるのに約3年かかった”と、”BAN Toxics のキャンペーン責任者であり、活動専門家のアンナ・カプナンは述べた。

 ”政府は残りの全てのコンテナーを送り返すための緊急の措置をとるべきであり、数年もかからないメカニズムと地方裁判所を通じて更なるゴミ輸入からフィリピンを守ることを確実にすべきである。我々は、カナダのような国が廃棄物を貧しい国に送り込むのを止めさせるために、国際的メカニズムを通じて我が国を守るために上院がバーゼル条約禁止令を批准することを強く主張する。我々はまた、フィリピンの人々が注意深く観察し、裁判所の命令が実施され、残りのゴミが送り返され、フィリピンの納税者は廃棄物の送り返しのコストを支払わないことを確実にするよう促す”と、彼女は述べた。


訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
トップページに戻る