Basel Action Network 2019年5月12日
ノルウェー修正案:
リサイクル業者への影響 サマリー


情報源:Basel Action Network, May 12, 2019
The Norwegian Amendments / Summary of Implications for Recyclers
http://wiki.ban.org/images/3/3e/Norwegian_Implications.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年5月16日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/COP14/Basel_COP14_
The_Norwegian_Amendments_Summary_of_Implications_for_Recyclers.html


訳注:バーゼル条約及びその付属書については、下記を参照ください。
 ・有害廃棄物の国境を越える移動及びそ の処分の規制に関するバーゼル条約(本文及び付属書)
 ・何らかの理由でうまくアクセスできない場合には、環境省ウェブページ関係法令|(2)Basel法関係|ア 条約等|有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の(和文 [PDF 1.23MB])からアクセスしてください。

修正前

 現在、バーゼル条約付属書 VIII (推定される有害物質リスト A 表)には有害プラスチック廃棄物のリストはなく、付属書 II (特別の考慮を必要とする廃棄物)にプラスチック廃棄物のリストはない。付属書 IX (推定される非有害物質 B 表)にプラスチックに関する項目(B3010:固形状のプラスチックの廃棄物 )があるのみである。有害プラスチックのための B3010 に対応する項目がなければ、当該プラスチックを有害であると適用する国はほとんどないと信じて当たり前である。したがって誰かがそのプラスチック輸出の有害特性(付属書 III)を厳密に調べない限り、現在及び過去においてバーゼル条約の下にプラスチック廃棄物貿易の管理はなされていなかったということである。このことが今後変わるであろう。

発効後(2021年1月1日以降)
  1. 付属書 VIII 上の新たなリスト
     付属書 VIII (推定される有害物質)上に新たな項目(A3210)が作られる。そのような廃棄物は、バーゼル条約の全ての管理手続き及び義務の対象となり、またバーゼル禁止修正条項(Basel Ban Amendment)が発効した場合にはその対象となる(発効にはあと2か国の批准が必要である)。バーゼル禁止修正条項は、どのような理由があろうと先進国から開発途上国への有害廃棄物の全ての輸出を禁止する。

  2. 付属書 II 上の新たなリスト
     下記第3項のの4つのカテゴリー(a-d)を除いて、新たな有害廃棄物リスト A3210 の対象とならない全てのプラスチックは、付属書 II (特別の考慮を必要とする廃棄物)の新たな項目 (Y48) にリストされる。付属書 II は、通常、バーゼル締約国にとって事前通報・同意手続(PIC)の対象となる。しかしアメリカはバーゼル締約国ではなく、条約締約国だけがお互いに廃棄物を貿易できるので、締約国は合法的にはアメリカから廃棄物を受け入れることはできなくなる。同様に EU もまた異なる理由で開発途上国に輸出することができなくなる。EU の法律によれば、付属書 II 又は付属書 VIII に記載されているどのような廃棄物も開発途上国に輸出することができないからである。

  3. 免責
     付属書 VIII 及び II への免責の資格を得るために、したがって非有害であるとみなされ、付属書 IX (新 B3011)上にリストされるためには、その廃棄物は、非有害で、クリーンで、非混合で、汚染されていないプラスチック廃棄物でなくてはならず、付属書 IV (処分作業)の R3 (有機物化合物のリサイクル)利用(焼却又は埋め立てのようなエネルギー回収又は最終処分ではない)に向かうだけであり、下記4つのカテゴリのうちのひとつによって記述される廃棄物だけである。

    1. ほとんどひとつの非ハロゲン系ポリマーだけからなるプラスチック廃棄物
       これは、混合プラスチックは付属書 II 上にある PIC 手続きを回避するために輸出に先立ち分別されることが必要である。混合に対するひとつの例外は下記”d”中の廃棄物である。ポリ塩化ビニル(PVC)はハロゲン系なので、免責の対象となることはできない。

    2. ほとんどひとつの硬化樹脂又は縮合生成物だけからなるプラスチック廃棄物
       これらもまた分別されるか、さもなければ不適格であるとみなされるかである。この項は、今後数か月の間に締約国による更なる作業の対象になり、変更されるかもしれない。

    3. 6つの(リストされた)フッ素化ポリマー廃棄物のひとつからなるプラスチック廃棄物
       これらもまた分別されるか、さもなければ不適格であるとみなされるかである。この項は、今後数か月の間に締約国の更なる作業の対象になり、変更されるかもしれない。

    4. PP、PE 及び/又は PET だけからなる混合プラスチック廃棄物
       輸入国に到着次第、別にリサイクルされることになっているという条件が付いている。

  4. 締約国から非締約国への貿易
     関連国(輸出、輸入、又は通過)の少なくとも 1か国がバーゼル条約の締約国ではない(例えばアメリカ)、締約国間の貿易について、特別の拘束力のある多国間又は 2国間協定がなければ、そのような貿易は禁止となる。アメリカは OECD 諸国によるそのような協定の一部である。したがってアメリカは他の OECD 諸国と免責のない廃棄物についてだけ、そしてリサイクルのためだけ、貿易ができる。

  5. 国の法令
     関連国の少なくとも 1か国が国家ベースでプラスチック廃棄物を有害廃棄物としてリストしている諸国間の貿易について、バーゼル条約が適用される(例えば PIC 手続き)。1か国又は数か国のグループが付属書 II の廃棄物を禁止していれば、それが適用される。欧州連合のような場合である。

  6. ハロゲン系プラスチック
     ポリ塩化ビニル(PVC)のように上記 ”c” にリストされているフッ素化ポリマー以外のハロゲン系プラスチックについて、それらは付属書 II に属するものとして検討されようとしてしており、したがってバーゼル条約の下で管理されることになるかもしれない。

リサイクル業者のための情報
  1. 非締約国であるアメリカのリサイクル業者については、上記 a-d を除く全ての輸出に関し、バーゼル条約の締約国である非 OECD 諸国への輸出は禁止されるであろう。

  2. EU のリサイクル業者については、上記 a-d を除く全ての輸出に関し、非 OECD/EU 諸国への輸出は禁止されるであろう。

  3. 全てのリサイクル業者は、 PE、PP、PET の混合を除いて、輸出に先立ち、異なるポリマー(例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPs)、ABS樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC))を注意深く分別する必要があり、それらの全てのプラスチック輸出は、 R3 向け(最終処分でもなく、エネルギー回収でもない)だけであり、もし PIC 手続き、又は上記 1 及び 2 で述べられている禁止を回避したいなら、標的でない汚染物質(例えば、紙や金属)が除去されることを確実にする必要がある。

  4. ポリ塩化ビニル(PVC)のようなハロゲン系ポリマーは管理される(アメリカ及び EU における PIC、又は非 OECD 諸国への輸出禁止)であろう。

訳注:関連情報


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