IPEN 2019年5月10日
新たな世界基準が
無制限のプラスチック廃棄物輸出を抑制する


情報源:IPEN, May 10, 2019
New Global Rules Curb Unrestricted Plastic Waste Exports
UN meeting gives countries the right to refuse unrecyclable, polluting plastics
https://ipen.org/news/new-global-rules-
curb-unrestricted-plastic-waste-exports


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2019年5月15日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/COP14/Basel_COP14_
New_Global_Rules_Curb_Unrestricted_Plastic_Waste_Exports.html


【ジュネーブ、スイス】 バーゼル条約第14回締約国会合(COP14)の参加国政府は、輸出国に対して汚染又は混合プスチック廃棄物を輸出する際に事前通報同意を入手することを求めることにより、横行するプラスチック廃棄物輸出を抑制する行動をとった。2018年に中国が廃棄物輸入へのドアを閉めた後、先進国からのプラスチック廃棄物の洪水は東南アジアの発展途上国を汚染している。環境健康、科学、公共利益の団体の世界的ネットワークであり、プラスチック廃棄物の発展途上国への輸出の環境的影響を明らかにしてきた IPEN は、プラスチック廃棄物の有害な潮流を止める重要なステップとしてのその動きを称賛した。

 ノルウェーは、同会合でその新たな制限を提案し、圧倒的な支持を受けた。その決議に反対したのはアルゼンチン、ブラジル、アメリカ、及び化学物質/プラスチック産業であった。前回の会合でロビーイング活動をした攻撃的な産業側とアメリカはプラスチック廃棄物問題に関する進捗を一時的に遅らせたが、今回の会合では、締約国政府は劇的に前進させた。その決議は、海洋ゴミとマイクロプラスチックと戦うことに関する国連環境計画(UNEP)の報告書、及び国連環境総会の第3回及び第4回会合におけるこの話題に関する同決議意を背景のもとになされた。

 この新たな国連決議は、アメリカのようなバーセル条約を批准していない諸国からのリストされている廃棄物の輸出を同条約は禁止しているので、アメリカに最大の影響を及ぼすであろう。2018年、アメリカは、既にプラスチック汚染で溢れている発展途上国に混合プラスチックを大型船積みコンテナー 157,000個で輸出した。この新たな国連決議は、アメリカに対して自身のプラスチック廃棄物を今後は自国で処理することを強いることになる。

 ”この修正により、多くの発展途上国は初めて、自国に入ってくるプラスチック廃棄物についての情報を持ち、プラスチック廃棄物の投棄を拒絶する権限を与えられる”と、IPEN の科学顧問、サラ・ブローチ博士は述べた。”あまりにも長い間、アメリカやカナダのような先進国は、受け入れ国でリサイクルされるはずと言い張って、アジアの発展途上国に混合有害プラスチック廃棄物を輸出してきた。しかし実際には、この汚染混合廃棄物の多くはリサイクルすることはできず、投棄されたり、焼却されたり、あるいは海洋に流れ込んでいる”。

 参加国政府は、プラスチックは有害物質を含有していることがあり、プラスチック汚染は”地球規模で深刻な環境問題である”と述べた。消費者製品についての以前の調査は、プラスチック中の有害物質がリサイクルされると、新たな製品中に持ち込まれることを示している。

 諸国は、海洋プラスチック・ゴミ及びマイクロプラスチックの急速な増大、並びに海の多様性、生態系、漁業、ツーリズム、及び地域社会に及ぼしている影響を認めた。会合で、ストックホルム条約地域センターはプラスチック中に存在する有害な化学物質についての懸念を報告した。

 プラスチック廃棄物に関して満場一致で採択された行動は下記を含む。
  • プラスチック製造、及びその後のライフサイクルのどのような段階でにおいても、有害化学物質の使用を止めるか又は低減すること。
  • 具体的な収集目標とプラスチック製造者が廃棄物管理と浄化のコストを負担する責任を設定すること。
  • プラスチック製品の耐久性、再使用性、及びリサイクル性を高めることを含んで、プラスチック廃棄物の生成を防止し、最小にすること。
  • 使い捨てプラスチック製品を大幅に削減すること。
 残念ながら、硬化樹脂とフッ素化ポリマーのグループは事前通知同意の要求に含まれていなかったが、そのことはそれらは通知なしに自由に取り引きできることを意味する。これらの樹脂とポリマーのあるものは、分解中に有害なフッ素系化学物質になり得るフッ素ポリマーを含んで、有害化学物質を放出する。しかし、代表者らは 2021年に開催される次回会合でこれらの手加減をレビューすることに同意した。

 ”この歴史的決議は、プラスチック・ゴミの輸出国の国境での投棄を止めることになる”と IPEN の上席顧問、マリアン・ロイド−スミス博士は述べた。


訳注:関連情報

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