被団協新聞

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「被団協」新聞2019年11月号(490号)

2019年11月号 主な内容
1面 将来展望…「最後の1人まで頑張る」
 全国都道府県代表者会議

ヒバクシャ国際署名1051万余 国連に提出
被爆者運動の灯はなくさない
 全国被爆二世交流会
2面 座標 つづく戦争被害受忍政策
 核も戦争もない世界のために

中央相談所講習会始まる
会の再結成 新たな決意で
自治体首長・各党からのメッセージ
 追悼慰霊祭 兵庫

厚労省と各党に要請
アピール(要旨)
非核水夫の海上通信 183
3面 被爆=「こころの被害」をめぐって
 中澤正夫医師が問題提起

「平和ライブラリー」開設
押しかけ証言で交流 愛媛
若い世代に語りつぐ
 未来につなぐ被爆の記憶プロジェクト 体験会

「未来の平和を創るために」講演会
ヒバクシャ国際署名10万達成「おりづるのつどい」
4面 相談のまど
 死亡後献体した場合も葬祭料は支給されます

日本被団協のバッジ2種

 

将来展望…「最後の1人まで頑張る」
全国都道府県代表者会議

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 日本被団協は10月8~9日、全国都道府県代表者会議を東京・お茶の水のホテルジュラクで開催しました。全国から約90人が参加しました。
 田中煕巳代表委員が開会挨拶で「17年に核兵器禁止条約が採択され、批准国が増えている。来年には核兵器禁止条約を発効させたい。そして、かつて平和首長会議が条約を成立させてから10年間で核兵器をゼロにするというビジョン(2020ビジョン)をたてたように、2030年には完全に核兵器ゼロを実現させたい」と述べました。
 続いて、原水爆禁止日本協議会の佐竹博康事務局次長から、募金百万円が田中代表委員に手渡されました。
 会議初日の主なテーマは、組織・情宣部会から代表理事会に出された「日本被団協の将来展望に関わる提言」についての議論でした。あらかじめ各県で検討してきたこともあり、16人が発言しました。「最後の一人まで要求実現に向け頑張る」「よりどころとなる日本被団協の継続を望む」という声が多く出されました。一方で、高齢化、減少化していく被爆者と二世、三世、支援者との取り組み、建物を持つ会の財政的な課題も出されました。
 また、被爆者組織がない奈良県で、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会と連携し、県内支援者と生協の協力で県内の被爆者運動を伝える「ならコープ平和ライブラリー」が開設されたことも報告されました。

 二日目は、現行の「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」成立直後の「日本被団協1994・12・23緊急全国代表者会議」の映像をみて学習会を行ないました。濱谷正晴一橋大学名誉教授が記録・編集したものです。会議の発言記録、基調報告など資料も配布されました。
 「先人たちのたたかいを再認識できた」「先人に感謝と敬意を表したい」「被爆者運動の原点を思い出して取り組んでいく時ではないか」「この時にさかのぼり、結成宣言の精神を私たちの中に取り込んで、これからどう進めるかが大事」「署名連絡会で結ばれた様々な人の手を放さず、ともに運動を進めたい」「国家補償を求めることの意味を確認して運動の組み立てを考えたい」「1995年に行なわれた日本被団協の被爆50年調査の資料を読み込んでいる若い人たちがいる。彼らは被爆者の言葉を深く受け止めている。自分の問題だと受け止められる、学べる場所が各地にほしい」などの発言がありました。
 この後「全国被爆二世実態調査中間報告」が愛媛大学の八木良弘さんから行なわれました。今回は調査票の選択肢の回答による分析で、自由記述を含めて分析は来年夏ごろを予定しています。
1万7500枚余の調査表配布で3400人余が回答。有効回答数は3417でした。被爆二世として意識することがある=78・8%、被爆二世としての不安や悩みを感じることがある=60%、二世健診は受診している 47・5%、受診していない51・3%など。
 最後に「アピール」(要旨2面)を確認して会議を閉じました。


ヒバクシャ国際署名1051万余 国連に提出

33カ国が核兵器禁止条約を批准・加入
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 日本被団協の藤森俊希事務局次長は、鈴木慧南さんらヒバクシャ国際署名連絡会のメンバーと10月11日午後、ニューヨークの国連本部で、軍縮担当の国連総会第1委員会のヨレンティ議長(ボリビア国連大使)及び中満泉国連軍縮担当上級代表(事務局次長)と面会し、核兵器禁止・廃絶を求める1051万7872人分の署名目録を手渡しました(写真上)。
 藤森次長が「世界と協力し、核兵器をなくす努力をつづけていく」と表明。ヨレンティ議長は核兵器について「人類の存亡にかかわる脅威」とのべ核兵器の全廃を訴え、藤森次長が差し出した署名用紙に快くサインしました(写真下)。
 核兵器禁止条約は2017年7月7日、国連で122か国が賛成、反対1、保留1の賛成多数で採択しました。
 2017年9月に署名が始まり、以来、批准書等を提出した国は2017年3カ国、2018年16カ国、2019年14カ国(10月18日現在)で合計33カ国に前進してきました。条約は50カ国が批准書等を提出した90日後に効力を発揮します。


被爆者運動の灯はなくさない
全国被爆二世交流会

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 10月9日午後、5回目となる全国被爆二世交流会を開催しました。全国から23人の二世のほか被爆者など全体で40人の参加で「被爆二世として考える被爆者運動と被爆者団体のこれから」をテーマに意見交換しました。地元の被爆者団体の現状を踏まえつつ、二世が二世として何ができるのか、何をしたいのか、様々な思いが出されました。
 各県被団協の中心的役割を担っている二世も多く、また慰霊祭、慰霊碑の管理、語り部などの活動にかかわっています。必ずやってくる「被爆者ゼロ」の日。それまでの方向性が見いだせたわけではありませんが、被爆者の子どもとして「組織のことはまだわからないが、被爆者の皆さんが訴え続けた運動の灯は絶対になくしてはいけない」というのが、多くの参加者の思いではなかったでしょうか。このような思いを継続させるため、ヒバクシャ国際署名でつながった人々とのネットワークを活用しよう、との発言もありました。
 医療問題・健康問題が二世の運動の柱、二世独自の厚労省との交渉の場が必要ではないか、との発言もありました。
 「二世検診の受診者が少ない。検診内容は乏しいが今ある唯一の国の施策である。何年も交渉を続けた結果多発性骨髄腫検査が加わった。健診を受けるようまわりの二世に勧めて欲しい」など被爆者からの訴えもあり、充実した時間を共有できました。(大山正一)


座標 つづく戦争被害受忍政策
核も戦争もない世界のために

 今年は、「原爆被害者の基本要求」策定35年、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(現行法)制定25年という、日本被団協の運動にとって節目となる年でした。
 日本被団協は結成以来今日まで、被爆者を二度とつくらせないため、核兵器の廃絶、原爆被害への国家補償を実現する運動をつづけてきました。
 核兵器廃絶への道は、2017年の核兵器禁止条約の採択で大きく前進しました。10月末現在、条約への批准・加入国が33カ国となり、発効に必要な50カ国まであと17。発効が現実味を増しています。しかし唯一の戦争被爆国の日本政府は条約に反対し、被爆者の願いと世界の流れに背を向けています。
 日本政府は、「国民がその生命・身体・財産等について、その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、…戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民がひとしく受忍しなければならない」(1980年「基本懇」答申)と国民に対し戦争被害の受忍を押し付けてきました。
 これに抗して日本被団協は84年「原爆被害者の基本要求」を策定し、「『ふたたび被爆者をつくらない』誓いを、国として高らかに宣言」し、「人類が二度とあの“あやまちをくり返さない”ためのとりでをきずく」ものとして国家補償に基づく原爆被害者援護法の制定を求めてきました。
 ところが国は94年、現行法を制定し、改めて原爆被害への国家補償を拒否し、その政策は続いています。
 私たち被爆者には、今、被爆75年を前に、日本被団協の63年にわたる運動を受け継ぎ、現行法制定から25年の運動を問い直し、日本国民と世界の人々とともに核兵器と戦争のない世界を実現するため、力を尽くす使命が課せられています。


中央相談所講習会始まる

各県の活動交流も
東北ブロック・岩手
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東北ブロック

 9月25~26日、岩手県の八幡平ハイツを会場に東北ブロック被爆者相談事業講習会が開催され、青森、秋田、宮城、福島、岩手の5県から23人が宿泊して参加しました。
 1日目は、「相談事業の課題」のテーマで中央相談所の原玲子さんが講義し、出された質問に丁寧に答えてくれました。 後半には青森、宮城、秋田から県の活動報告が行なわれました。夜の懇親会は開催県岩手の菊池理事の歓迎日本舞踊で始まり、各県からの踊りや合唱など賑やかな交流の場となりました。
 2日目は日本被団協の木戸季市事務局長が「これからの被団協運動について」と題し、組織情宣部会の提言を紹介しながら被団協運動の現状・課題・展望を講義し、参加者と意見交換も行なわれました。後半、福島、岩手から活動報告が行なわれ、前日報告の3県と併せて交流し、学習も含め有意義な2日間でした。
 参加者17人から「長い間活動を続けられた力ですね」「ブロックとしての活動交流の大切さを感じた」「人数の少ない県のご苦労と心意気を感じた」などの感想が寄せられました。(下村次弘)

家庭訪問の提案も
北海道ブロック
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北海道ブロック

 10月6日、北海道ブロックの中央相談所講習会が札幌市内で開催されました。参加者は20人と少なめでしたが、中身の濃い集まりとなりました。
 午前中は原玲子さんが「被爆者相談の現場から」と題して、最近の特徴的な相談事例を紹介しながら、被爆者や家族が抱える問題を話されました。被爆者運動が勝ち取った介護手当の積極的な活用を、ケアマネ・介護事業所・かかりつけ医に事情をよく理解してもらうことが大事など、それぞれ貴重なお話でした。また、高齢化して様々な問題を抱えるようになった被爆者に対して、こちらから家庭訪問し、被爆体験を聞き取る、要望を聞き話し相手になるという取り組みが必要ではないかという指摘は、なるほどと思わせられました。
 午後は道原水協の嶋田事務局長による「私たちの行動で 被爆者とともに 核兵器のない世界を」の講演でした。今年の原水禁世界大会の成果、来年のNPT再検討会議をめぐる情勢と課題などを話されました。NPT再検討会議に向けたニューヨーク行動に参加を希望している二世も出席し、意義ある講習会となりました。(北明邦雄)


会の再結成 新たな決意で

広島・坂町原爆被害者の会
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 広島市の東部に位置する坂町にあった「坂原爆被害者の会」は、昨年役員の高齢化とともに豪雨災害にも見舞われ、解散しました。
 その後二世を中心にこのままでよいのかという議論が持ち上がり、9月29日、新たな結成総会にこぎつけました。二世8人、被爆者31人、主旨に賛同した一般の人4人、合わせて43人で立ちあげました(写真上)。
 いったん解散した団体が再びよみがえるまでには、役員さんの相当の決意と努力があったようでした。(箕牧智之)


自治体首長・各党からのメッセージ
追悼慰霊祭 兵庫

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 兵庫県原爆被害者団体協議会(兵庫県被団協)は10月11日、兵庫県原爆死没者追悼慰霊祭を行ないました(写真)。
 毎年この時期に行なっていますが、今年は36人が参列、献花しました。
 岡邊好子理事長の式辞、徳永來司さんの遺族のことばに続き、兵庫県疾病対策課長の山下輝夫さん、県原水協の梶本修史さん、共産党県会議員の庄本えつこさんが追悼の辞をささげました。
 今年は13の市長町長や、自民党、公明党・県民会議、ひょうご県民連合の各県議団など、23人の方から追悼のメッセージが寄せられたことも、今までになかったことでした。(副島圀義)


厚労省と各党に要請
日本被団協中央行動

 日本被団協は10月10日、全国の被爆者、被爆二世ほか約80人が参加して中央行動を行ないました。午前10時から参議院議員会館会議室を会場に開会集会。11時から厚生労働省担当者を迎えて交渉を行ないました。
 厚労省は、小野雄大被爆者援護対策室長ほかが対応しました。回答はほとんどの要求について、今年6月の交渉時と変わらないものでしたが、被爆者の証言活動への財政確保については前向きな回答がありました。木戸事務局長は、すべての回答を文書で届けるよう要請しました。
 12時10分からの政党代表を迎えての集会には、自民、公明、立民、国民、共産、社民の各党から衆参国会議員が参加。映像作品「声が世界を動かした」を鑑賞後、要請書を手渡しました。つづく挨拶では口々に、映像作品とそこに描かれた被団協運動への賛辞を述べました。また、核兵器禁止条約には日本こそが参加しなければならない、などと述べました。


アピール(要旨)

 日本被団協は、結成宣言での「自らを救い、人類の危機を救おう」という誓いを貫き「核戦争起こすな、核兵器なくせ」、「原爆被害への国家補償」を求め奮闘してきました。
 核兵器廃絶は、核兵器禁止条約の採択で大きく前進しました。9月26日現在、署名79カ国、批准・加入が32カ国に達し、条約発効に必要な50カ国へあと18カ国となり、2020年の条約発効は現実味を増しました。
 しかし、日本政府は条約に署名も批准もしない態度をとりつづけています。戦争被害を国民に押し付け、「原爆被害への国家補償」も拒否しています。唯一の戦争被爆国として許されない態度です。核兵器禁止条約への速やかな署名・批准と、原爆被害への国家補償の実現を求めます。
 世界は今、人類の生存そのものにかかわる大きな二つの危機を迎えています。一つは1万数千個に及ぶ核弾頭の存在、もう一つは、気候変動をもたらしている、人間による環境破壊です。
 核兵器禁止条約の発効を勝ち取り、原爆被害への国家補償に向けた運動を強め、若者のエネルギーに応えて、気候変動による地球環境破壊にも目を向け、被団協運動と組織を受け継ぎ発展させましょう。
  2019年10月9日 日本被団協全国都道府県代表者会議


被爆=「こころの被害」をめぐって
中澤正夫医師が問題提起

第14回被爆者運動に学び合う学習懇談会
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中澤正夫さん

 10月26日、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会の第14回「被爆者運動に学び合う学習懇談会」が開かれました。
 今回のテーマは「被爆=こころの被害」。会場の東京・池袋の立教大学の教室に集まった被爆者、二世、研究者、学生ら35人が「今日はパワーポイントを使わず、じっくり議論したい」という精神科医の中澤正夫さんのお話に耳を傾けました。
 従来、原爆被害はからだ・こころ・せいかつに3分割し、心の被害は精神に異常をきたした状態としてとらえられてきたが、それは正しかったか?―問題を投げかけた中澤さんは、ヒトは独自の自分と自分をとりまく世界・環境をもった「現存在」として生きている。原爆は築いてきた世界やこれからの夢も含む現存在を根こそぎ破壊した。その意味で、すべて「心の被害」として括ることができると語りました。
 後半は、時間を延長しての熱心な議論になりました。つらい記憶と向き合い語ることの難しさ。にもかかわらず、時間をかけてだんだん心の中の本当のことを語れるようになってきた経験。被爆者が核兵器廃絶を求めるのは、原爆をのりこえたからではなく、今なお「あの日」の地獄の体験に苦しんでいるからだ、という指摘など。被爆者の経験が非被爆者にとってどんな意味をもっているかを考え合う貴重な機会になりました。


「平和ライブラリー」開設
記念講演会に55人 奈良

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 10月6日、奈良市のコープふれあいセンター六条2階に被爆戦争体験を次世代に継承する「平和ライブラリー」を開設しました。県内の個人や諸団体が持っている被爆・戦争体験資料を掘り起こし、記録し、その体験を将来にわたって継承するための活動の拠点とします。具体化として、1985年に結成され、現在は解散している「奈良県原爆被害者の会(わかくさの会)」をはじめとする奈良県内被爆者の活動の記録に取り組む入谷方直氏と協力し、命の尊さ、戦争の悲惨さや残酷さなど平和について考える場としていきます。
 同日、開設記念講演会を「核兵器廃絶へ向けて被爆体験を学び、次世代へつなげよう」をテーマに開催(写真)、55人が参加しました。日本被団協の濱住治郎事務局次長に「胎内被爆者としての体験、核兵器をめぐる情勢、被爆者運動のこれまでとこれから」についてお話しいただきました。
 ならコープの中野素子理事長は「平和ライブラリーで何ができるかを考え、交流を大切にしながら継承活動を進めたい」と話しました。(ならコープ・岡英幸)


押しかけ証言で交流 愛媛

「原爆の絵」展主催者に連絡
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 10月21日、愛媛県松山市に隣接する東温市の中央公民館で「高校生が描いた『原爆の絵』展」が始まりました。この催しを知った県原爆被害者の会では、主催団体の「新日本婦人の会東温支部」に「会場で被爆証言を」と持ち掛けました。
 当日、7歳被爆の田中英子副会長と松浦秀人事務局長の2人が参加。設営に携わっていた方など10人余りの方の前で、被爆証言を行ないました。
 田中さんは「記憶のある中では最年少組」と切り出し、広島での被爆状況を語りました。少人数のため気軽に質問も出され、和やかなやりとりの1時間余りを過ごし、「押しかけ」にもかかわらずとても感謝されながら帰路につきました。
 この催しは平和をテーマに毎年取り組まれていて、今年で10回目のロビー展とのこと。会場には広島市立基町高校の生徒が描いた「原爆の絵」とともに、会員さんがつくったクラフト作品や絵手紙(それぞれ見事な出来栄)も展示されていました。(松浦秀人)


若い世代に語りつぐ
未来につなぐ被爆の記憶プロジェクト 体験会

京都で開く
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 9月15日、京都市のコープ御所南ビルで、「未来につなぐ被爆の記憶体験会―被爆者とともに語り継ぐ」の会が開かれました。ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会主催、日本被団協と日本生協連が共催。
 「未来につなぐ被爆の記憶プロジェクト」は、被爆の実相を後世に伝えるために広く発信することを目的に、インターネットでの公開を活用した継承・発信の取り組みです。被爆者を中心に、学生や市民の参加者が交流し、被爆体験の要約や参加者の感想などをインターネットの専用サイトに登録します。
 今回はお二人の長崎被爆の方にお話をしていただきました。長い間被爆体験を話すことができなかったが、高齢になり若い世代に伝えないといけないと思うようになったというお話が印象的でした。若いボランティアスタッフが中心になって会を進め、対話形式でお話を伺い、その後参加者が感想を出し合いました。
 体験を語り継ぐ貴重な会になりました。(継承する会理事・山根和代)


「未来の平和を創るために」講演会

兵庫県ユニセフ協会
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 兵庫県ユニセフ協会は10月13日神戸市内で、日本被団協事務局長の木戸季市さん(写真)をお迎えし、講演会「未来の平和を創るために」を開催、39人が参加しました。
 木戸さんの「私は3度被爆者になった」という言葉に言い知れぬ理不尽さ、決意の大きさを痛感しました。1度目は原爆が長崎に投下された1945年8月9日。2度目は原爆報道が解禁された1952年、ご自分が被爆者であると自覚した日。3度目は1991年、被爆者として生きることを選択し、被爆者運動に関わるようになってからとのこと。
 私は、戦争の歴史など知っているつもりでいましたが、原爆報道が禁止されていたことも、被団協についても知らないことばかりでした。無関心ではなかったのですが、知る機会も少なく、どこかに他人事感があったのかもしれません。
 核兵器廃絶は誰もが望むことであり、核を使った戦争は私たちの時代だけでなく将来にも起こるかもしれません。今こそ、私たちに何ができるか考える必要があると強く思いました。
 木戸さん、これからもお元気でご活躍ください。(ユニセフボランティア・山屋満津江)


ヒバクシャ国際署名10万達成「おりづるのつどい」

青森県連絡会
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 ヒバクシャ国際署名をすすめる青森県連絡会が結成されて3年が経ちました。県内で署名が10万筆を超え、10月20日には「おりづるのつどい」を開催。県内各地から80人が参加しました。
 記念講演の講師にヒバクシャ国際署名連絡会事務局スタッフの鈴木慧南さんを迎え、「繋いでいく事―わたしからあなたへ」と題し、NGOピースボートの「ヒバクシャ地球一周証言の航海」(おりづるプロジェクト)にユースメンバーとして参加した体験をリアルに話して頂きました。世界22カ国32都市で被爆者と共にどのように被爆体験を伝えるか工夫したことや、若い世代の率直な考えを聞くことができて新鮮でした。
 来春のNPT再検討会議に青森から代表派遣される生協の3人のうち2人が参加し、鈴木さんと懇談しました。
 県連絡会報告では、県内全自治体に要請している「核兵器禁止条約に日本の参加を求める」自治体決議が青森市をはじめ14自治体に達したことで、改選された県議会に再度請願することを確認しました。(辻村泰子)


相談のまど
死亡後献体した場合も葬祭料は支給されます

【問】先日亡くなった被爆者のご家族から葬祭料の申請の件で相談がありました。
 生前、献体の手続きをしていて、死亡確認後、遺体は大学病院に移送したそうです。葬祭料支給申請書と死亡診断書を添えて、娘さんが申請者として保健所に手続きをしたところ、「葬儀をしていないので葬祭料は支給しない」と言われたとのことです。
 献体した場合は葬祭料が支給されないのでしょうか。(県被爆者の会)

*  *  *

【答】死後献体をする人が多くなり、通夜や葬儀をしないで火葬にする直葬も増えています。葬祭料について、あらためて厚労省に問い合わせてみました。
 回答は、「葬祭料の支給は、葬儀をしたかどうかは問うていない。被爆者のうけた精神的なこと対して支給するものである」とのことでした。葬祭料に関する通知(昭四四衛発五四三号)では、次のように規定されています。「特別被爆者は放射能を多量に浴び、その影響により、負傷し又は疾病にかかり易く、また、負傷又は疾病が治ゆしにくい等の事情があり、日ごろから死に対する特別な不安感をいだいている。(略)今なお、このような不安な日常生活を余儀なくされている特別被爆者への国家的な関心の表明として、(略)その葬祭を行なう者に対し、葬祭料を支給することにより、これらの特別の状態にある被爆者の精神的不安をやわらげ、もってその福祉を図ることとしたものである」。(1969年当時の「特別被爆者」制度は現在はありません。「被爆者」と読み替えてください)。
 ここでは支給対象者は「葬祭を行なう者」としか書かれていません。
 自治体の葬祭料申請についての説明では、申請者が葬祭を行なったことがわかる書類(会葬御礼のはがき・葬儀社からの領収書)となっていて、私たちは、お金をかけて葬儀を行なった人が申請できる、と思い込んでいました。厚労省は、葬祭料申請の手続きは①申請書 ②死亡および死因を確認出来る書類等 ③葬祭を行なう(行なった)人を確認できるもの、を提出する、③の書類については都道府県の判断による、との回答でした。
 お問い合わせの方については、亡くなった被爆者と申請者との関係が分かる物を提出すれば、葬祭料は支給されるとのことです。


日本被団協のバッジ2種

 日本被団協は、シンボルマーク(1面題字の右)のバッジ2種類を頒布しています。
①つるバッジ
 横幅25ミリの楕円形。透明ビニール袋に説明書(日本語英語両面刷り)とともに封入。赤、黄、青、紺、緑の5色で1個300円+送料。
②結成60周年記念バッジ
 横幅30ミリの楕円形。七宝焼きで、赤、紺、セルリアンブルーの3色。透明プラスチックケースに入って1個500円+送料。
 日本被団協事務局までお申し込みください。