被団協新聞

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「被団協」新聞2019年3月号(482号)

2019年3月号 主な内容
1面 広島・名古屋高裁で勝訴の2氏 最高裁に上告不受理を要請
核兵器禁止条約 署名し未批准の国に手紙
米ロINF全廃条約離脱 田中熙巳代表委員が談話
運動の拡大と飛躍を あと2年の活動を新体制で ヒバクシャ国際署名連絡会
2面 茅野市の会結成 ヒバクシャ国際署名
【熊本】署名新春行動
【千葉】中学生、高校生も次々に ヒバクシャ国際署名
3月末に集約 NPT再検討会議準備委員会に提出 ヒバクシャ国際署名
機関紙新年号コンクールで「被団協」が最高賞
非核水夫の海上通信 175
3面 結成60周年祝う新春のつどい 埼玉・しらさぎ会
被爆者のねがい ― 宗教団体の扉をたたく ヒバクシャ国際署名協力を依頼
リニューアルオープン間近 都立第五福竜丸展示館
4面 相談のまど 特別養護老人ホームの利用料
 被爆者手帳所持者には、介護保険利用料の自己負担分が公費負担に

 

広島・名古屋高裁で勝訴の2氏 最高裁に上告不受理を要請

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最高裁への要請団
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院内集会(2月1日 参議院議員会館)
(白内障・慢性甲状腺炎)
ノーモア訴訟 広島・愛知
高裁敗訴の厚労相が上告申立

 ノーモア・ヒバクシャ訴訟原告団と同弁護団、日本被団協は2月1日、最高裁判所に対し要請行動を行ないました。
 昨年2月9日に広島高裁勝訴(白内障)の内藤淑子さん、同年3月7日に名古屋高裁勝訴(慢性甲状腺炎)の高井ツタエさんに対し、国(厚生労働大臣)が原爆症認定に必要な要医療性を満たしていないとして上告受理の申立をしたことに対し、その不当性を訴え、速やかに上告不受理の決定を行なうように要請したものです。

参院議員会館で集会

 最高裁への要請に先立ち参議院議員会館で、広島・愛知の原告、支援者、弁護団、長崎被災協、東友会などから41人が参加して院内集会を開きました。田中重光日本被団協代表委員、宮原哲朗弁護士があいさつし、要請団を紹介したあと、最高裁の西門前で送り出し集会を行ないました。

要請文最高裁書記官に

 最高裁へは、内藤さんと高井さんも参加し、原告団、弁護団、日本被団協、各地の支援者の17人が、全国で集めた署名を提出(今回2982人分を提出、前回との累計6490人分)し、参加者が次々に発言して要請。原爆症認定訴訟自体が、核兵器の非人道性を明らかにし、被爆者の核兵器禁止・廃絶への思いを体現するものであると強く訴えました。話を聞きとった書記官は、裁判自体の構成員ではありませんが、内容を裁判所に伝えることを約束しました。

議員会館で学習・交流

 議員会館に残留したメンバーは、中川重徳弁護士を講師に、争点の「要医療性」を中心に最高裁でのたたかいの意義についての学習と交流を行ないました。要請を終えた要請団が再度合流し、最後に内藤さんと高井さんが、「みなさまのおかげでここまでくることができました。みなさまのご尽力に感謝します。頑張っていきたい」と決意を述べました。


核兵器禁止条約 署名し未批准の国に手紙

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※クック諸島は、同条約に署名せずに
 加入書を国連に寄託しました。
 加入は批准と同じ法的効力を持ちます。
日本被団協

 日本被団協は2月1日、核兵器禁止条約に署名し批准していない国の元首宛に、批准を促す手紙を送付しました。
 署名国はすべて条約採択のときに賛成した国です。手紙ではまずそのことに心からの感謝を述べています。そして、「地球上の生きとし生けるもののために、被爆者は核兵器の廃絶を訴え、一日も早い条約の発効を願っています。とくに唯一の被爆国である日本政府には条約への署名と批准を強く要請しています。貴国は条約に既に署名されました。更に貴国の批准により発効に大きな前進を得ることができます。貴国の批准を重ねてお願い申し上げます」と結んでいます。(ホームページに手紙日英全文掲載)
 核兵器禁止条約は、50番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が国連事務総長に寄託されてから90日後に発効します。2月25日現在70カ国が署名し、22カ国が批准または加入しています。


米ロINF全廃条約離脱 田中熙巳代表委員が談話

 日本被団協の田中熙巳代表委員が2月13日、米ロ両政府のINF全廃条約からの離脱表明をうけ談話「INF全廃条約の米ロ離脱を乗り越え核兵器禁止条約の発効を1日も早く」を発表しました。

【談話】
INF全廃条約の米ロ離脱を乗り越え
核兵器禁止条約の発効を1日も早く

2月13日 日本被団協代表委員 田中熙巳

 アメリカ政府の中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱の最後通告を受けてロシア政府は2月2日、条約の履行停止を宣言した。
 INF全廃条約は、1987年に当時のロナルド・レーガンアメリカ大統領とミハイル・ゴルバチョフソ連共産党書記長とによって2国間条約として結ばれた。レーガンとゴルバチョフの会談で核兵器の廃絶についての合意もなされたことは歴史的な画期的出来事として今日も語り継がれている。
 30年後の今日、INF全廃条約の破棄によって、万が一米ロを中心とした核軍拡競争により人類を滅ぼす核戦争に至れば、勝者も敗者もない。
 今日、核兵器を巡る世界の情勢が大きく変わっていることを重視する。
 第1に、1991年のソ連の崩壊により、当時の資本主義国の北大西洋条約機構(NATO)と社会主義国のワルシャワ条約機構(WTO)の軍事同盟間の対立構造は崩れている。
 第2に、1995年に無期延長された核兵器不拡散条約(NPT)を通して、核兵器廃絶に向けすべての参加国の合意が得られている。また5年ごとに開かれるNPT再検討会議で2000年と2010年に確認された「保有核兵器の完全破棄を達成するとの核兵器国による明確な約束」がある。
 第3に、何よりも大きな変化として、2017年7月に核兵器禁止条約(TPNW)が国連で122カ国の賛同を得て採択され、50カ国以上の国の批准での発効を待つばかりになっている。
 核兵器のすみやかな廃絶を求める非核保有国と市民社会が一体となって、多国間条約である核兵器禁止条約を速やかに発効させ、核保有国とその同盟国の参加を促す行動を強めたい。日本政府もその先頭に立ち、禁止から廃絶へ、世界の国々とともに歩を進めるよう求めたい。


運動の拡大と飛躍を あと2年の活動を新体制で ヒバクシャ国際署名連絡会

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第1回署名行動(2016年4月26日 渋谷駅前)

 2016年4月から始まったヒバクシャ国際署名は、昨年10月に国連第1委員会議長に累計830万403人分の署名目録を提出しました。47団体が連絡会に参加、26の地域連絡会が生まれており、署名は1000万達成が視野に入ってきました。2020年までに世界で数億の目標にむけ、丁度折り返し点の今、さらなる運動の拡大と飛躍が不可欠です。
 連絡会では昨年11~12月の会議でこれまでの各団体の取り組みや課題を出し合い、今後の体制について協議をしてきました。1月23日の連各会会議で、新体制と今後2年間のスケジュールなどについて協議を行ないました。新体制は、これまでの「事務局」を「運営委員会」に改め、組織、財政、広報、グローバル展開の4つのチームを置き、それぞれに複数の団体が任につき、役割分担をして進めて行くことになりました。
 当面、NPT再検討会議第3回準備委員会(4月29日~5月10日)へ署名を提出するため、3月末までに署名の集計を行ないます。広報ではホームページを更新して、オンラインでも署名を広げやすくしています。グローバル展開では、前広島平和文化センター理事長のスティーブン・リーパーさんをコーディネーターとして、米国東部キャンペーンが予定されています。


茅野市の会結成 ヒバクシャ国際署名

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 長野県茅野市の「ひと・まちプラザ」に1月27日、市民が集まり「ヒバクシャ国際署名推進茅野市の会」を結成しました。市の人口(5万5千7百人余)過半数の署名を目指します。これまでに5千人の署名をヒバクシャ国際署名推進長野県連絡会に届けています。
 結成総会では県連絡会事務局の丸山稔さんが、核兵器禁止条約の意義と今後の活動を講演。「茅野市の会」代表委員、事務局など確認しました。
 茅野市では1984年に「茅野市非核平和都市宣言」を議決し、宣言で「あらゆる国のあらゆる核兵器の廃絶を全世界に強く訴え、核兵器の全面廃棄と軍縮推進を促し、もって世界の恒久平和達成をめざす」と高らかに表明。毎年8月6日には、運動公園にある「原爆の火・平和の塔」と「非核都市宣言」碑前に市長や役員、市民が集まり平和を決意しています。
(茅野市の会)


【熊本】署名新春行動

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 1月6日12時30分から熊本市の繁華街パルコ前で、核兵器廃絶を呼びかける今年最初の街頭行動を行ないました。毎月の行動を取り組んで今年は23年目です。現在取り組んでいる「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」は、昨年末で4万2607筆となり、このうち被爆者が集めたのは3877筆になりました。
 新春の行動には被爆者など19人が参加し、30分の行動で259筆を集めました。(中山高光)


【千葉】中学生、高校生も次々に ヒバクシャ国際署名

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 千葉県ヒバクシャ国際署名推進連絡会は、12回目の統一署名行動をJR柏駅東口デッキで2月16日13時30分から1時間行ないました。
 寒さが続く中、横断幕と原爆パネルを掲げ、被爆者はタスキをかけ、各団体代表がマイクを持ちリレートークで署名を訴えました。
 署名を呼びかける様子をじっと見ていた女の子が近づき「中学生ですが署名してもいいですか」と話しかけてきて、是非にとペンを渡すと、にっこりほほ笑んで署名して行きました。
 韓国からの旅行者は「核廃絶は大事なこと」と日本語で話しサインしました。
 路上でウクレレと口笛の演奏をしていた2人組が署名に応じ、1曲演奏し終わると行き交う人に「署名しましょう」と呼びかけました。
 また、被爆者が説明するパネルをじっと見ていた男子高校生5人全員が署名しました。路上であっても被爆の実相を話し伝えることの大事さを改めて感じました。
 9団体44人(内被爆者10人)の参加で、1時間の行動で署名201筆、募金1万5233円が寄せられました。
(千葉県推進連絡会)


3月末に集約 NPT再検討会議準備委員会に提出 ヒバクシャ国際署名

 ヒバクシャ国際署名連絡会は、来年のNPT再検討会議に向けて今年4月末にニューヨークで開かれる第3回準備委員会に署名提出するため、3月末の署名集約を呼びかけています。手元に署名をお持ちの方は3月末までに、それぞれの所属団体または日本被団協事務所にお届けください。
 毎年10月の国連総会第1委員会への署名提出を基本にしていますが、昨年4月にジュネーブで開かれた第2回準備委員会開催中に、日本被団協の代表と懇談したマレーシア大使(第3回準備委員会議長)から「次回準備委員会に署名を持ってきませんか」と依頼されていました。
 4月29日から開かれる準備委員会での提出にむけ、連絡会では木戸季市日本被団協事務局長と濱住治郎同事務局次長を派遣します。


機関紙新年号コンクールで「被団協」が最高賞

 「被団協」新聞の印刷をお願いしている株式会社「きかんし」の顧客の親睦団体である「あたごくらぶ」が毎年行なっている新年号機関紙コンクールで、「被団協」新年号が「あたごくらぶ賞」を受賞しました。
 同コンクールで「企画と編集技術が評価され優良紙に選ばれ」ての受賞は、近年では2010年と15年から4年連続で「特別賞」でしたが、今年はさらに高く評価され本賞の受賞となりました。


結成60周年祝う新春のつどい 埼玉・しらさぎ会

『60年のあゆみ』発行

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 埼玉県原爆被害者協議会(しらさぎ会)は今年6月に結成60周年を迎えます。1月27日さいたま市内で、会員31人、友好団体から23人が参加し結成60周年記念式典・祝賀会、新春のつどいを開催しました。
 主催者あいさつで田中熙巳会長は、草創期のエピソード、平和・市民5団体懇談会の活動、原爆死没者慰霊碑の建立、慰霊式の実施、被爆者健康診断への民主医療機関・反核医師の会の協力、海外への証言活動に積極的に取り組んだこと等を紹介し、今後も市民社会の人々と共に運動を進めたいと述べました。
 上田清司埼玉県知事代理の芦村達哉疾病対策課長、清水勇人さいたま市長代理の穂刈浩総務課長が、それぞれメッセージを代読。さいたま市では市内在住被爆者の証言を映像に撮り、市内の学校、公民館で活用しているとの紹介もありました。
 60年の運動の中で、被爆者運動に尽力いただいた平和・市民4団体、一般2団体、個人2人に感謝状を贈呈しました。またしらさぎ会役員功労者38人を代表して、99歳の堀田シヅヱ元会長に表彰状を贈呈しました。
 祝賀会・新春のつどいでは、参加友好団体代表が60年にわたるしらさぎ会との活動をそれぞれ紹介し、和やかに懇談・交流をしました。
 この日発行のしらさぎ会「60年のあゆみ」を出席者全員にお渡ししました。(原明範)


被爆者のねがい ― 宗教団体の扉をたたく ヒバクシャ国際署名協力を依頼

 ヒバクシャ国際署名活動は、国連における核兵器禁止条約採択に大きな影響を与えましたが、更にこれからが正念場であり、新たな取り組みが種々に始まっています。
 その一つが宗教団体への協力依頼です。署名活動に尽力している宗教関係者も多くいますが、日本の宗教団体・信徒の総数から考えれば、まだまだわずかです。宗教者各位へ、今後積極的な呼びかけが必要となります。

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全日本仏教会で訴える
(右から)田中さん、川崎さん、森さん
〈写真=佛教タイムス社〉
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広島県被団協の
箕牧さん(中央)と前田さん(右端)
東京で

 2月1日、ヒバクシャ国際署名連絡会の田中熙巳代表(日本被団協代表委員)、同連絡会の川崎哲さん(ピースボート共同代表)、そしてこの訪問企画を提案した筆者との3人が、東京で全日本仏教会、立正佼成会、増上寺を訪問しました。
 田中さんの語り口は穏やかですが、「廃絶を必ず見とどける」という覇気に満ちています。川崎さんは署名活動の重要性と現状を丁寧に説明。訪問先の方々も真剣にお聴きくださいました。(浄土宗正明寺住職・森俊英)

広島で

 広島では2月6日、連絡会の川崎哲さんと大阪の浄土宗僧侶・森俊英さんとともに、広島市内の宗教団体にヒバクシャ国際署名への協力をお願いして回りました。地元広島から浄土真宗僧侶・吉川徹忍さん、県被団協から箕牧智之理事長代行、前田耕一郎事務局長が参加しました。
 最初の立正佼成会では高山渉外部長ほか多くの会員のみなさまの出迎えのなかお願いしました。すでに私たちの活動にご理解を示され、署名活動をしておられました。
 次に浄土真宗安楽寺を訪問しました。登世岡住職が対応してくださり、署名もカンパも門徒の皆さんにお願いしてくださるとのお言葉をいただきました。
 浄土宗妙慶院では、ご老院ご夫妻、現住職とご家族が出迎えてくださいました。ご住職から、カンパのお礼にバッジなどを作られては、との提案などをいただきました。
(広島県被団協)


リニューアルオープン間近 都立第五福竜丸展示館

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 ビキニ水爆実験(1954年3月)で被ばくした第五福竜丸を保存・展示する都立第五福竜丸展示館(江東区夢の島公園)は9カ月に及ぶ建物改修工事が終了しました。
 第五福竜丸の保存が実現し展示館に収められて40年余。建物の大規模改修工事で、天井からの船への雨漏り、床の段差、内壁の断熱材の剥離・落下などが全面的に取り換えられ、船体の保存のためにより良い環境が整えられました。
 展示館は、二枚貝を合わせたような曲線で構成される独特な「シェル構造」の建物です。今回の工事では、内壁断熱材の交換と既存の屋根を新しく作る工事が組まれました。建物が曲線を描いているため難しい施工となりましたが、予定の工期で完了し、4月2日にリニューアル・オープンします。
 現在(2~3月)は、館内の常設展示の設置作業、館内備品・収納品の搬入などが、ボランティアの方々の協力で進められています。新たな映像展示も準備しており、常設展示パネルの一部も新しくなります。
 ビキニ被ばく65年の今年最初の企画展は、4月下旬からリニューアル工事の工夫と技術を紹介する展示となります。


相談のまど
特別養護老人ホームの利用料
被爆者手帳所持者には、介護保険利用料の自己負担分が公費負担に

 【問】特別養護老人ホームの職員です。利用者の家族の方が被爆者の会から送られてきたというピンク色の「被爆者のしおり」を持参し、相談にこられました。「しおり」によれば、特別養護老人ホームの利用料は被爆者健康手帳で自己負担がないとのこと。施設ではそのことを知らず、入所された平成26年から利用料を請求していました。「しおり」に書かれているように利用料は被爆者健康手帳で助成されるのでしょうか。

*  *  *

 【答】特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の利用料の自己負担分について被爆者は、介護保険の福祉系サービスとして公費で助成されています。ただし、居住費や食費、その他雑費は助成の対象になりません。
 施設としては今月分から公費併用で保険請求していただくと助かります。請求コードがあるので自治体の介護保険課に確認してください。
 これまで支払われた利用料については、利用者本人が償還払いで県に請求できます。償還払い請求の時効は5年です。平成26年入所ということであれば今年が5年になります。県庁の担当課または住所地の保健所で書類をもらい、領収書を添付します。遡っての領収書を処分してしまっていることもあるかと思いますが、その場合は領収したという証明書を作成してご家族に渡していただければ助かります。

 岐阜県原爆被爆者の会が、「生活・健康相談会」開催を知らせる手紙と共に「被爆者のしおり」を、県の協力を得て県内の被爆者健康手帳所持者全員に送りました。届いた「しおり」をみてご家族が、施設に相談に行かれたようです。