音楽劇「まほうのたね」 |
合唱団この灯 |
リレートーク |
岩佐幹三さん横山照子さん |
藤森俊希さん吉田一人さん |
被爆70年のつどい「広島・長崎は、なんだったのか?― 今を戦前にしないために」が10月17日午後、東京の日比谷公会堂で開かれました。構成劇など多様な舞台で、今何をなすべきか考えました。団体、個人の実行委員会主催、広島、長崎両市後援。全国から700人が参加しました。
音楽劇「まほうのたね」
フランスの心理学者F・パブロフが1998年に著した「茶色の朝」を原案に物語を展開しました。茶色はナチス初期の制服の色、欧州ではファシズムの象徴とされています。ネコも犬も馬も本も茶色でなければ罰せられる。新聞、ラジオも「茶色」以外は追放される。そのうち、誰かがドアをたたき「茶色の朝」を迎える…。戦後70年この国が、再びくり返すことのない未来をとメッセージを発信しました。
構成劇「広島・長崎はなんだったのか ― 今を戦前にしないために」
戦後生まれの若者が、被爆者と、被爆者と共に歩む人と対話しながら、考え方を明確にしていく構成です。3人は、「太平洋戦争に入った頃の戦前に似ている」といわれる今、歴史から何を学ぶか語り合いました。
満州事変が起こった1931年に生まれた「被爆者」は、世の中の大きな動きと自分の身の周りの世界が関係ないと思っているところが似ていると話します。45年8月15日、国体護持のために終戦した戦争の終わらせ方、終わった後の処理の仕方に日本という国の国家的無責任の状況があると指摘します。
民主主義を学ぶ
「被爆者と共に歩む人」は、被爆者から民主主義を学んだと言います。被爆者は自ら立ち上がり、日本被団協を作った。原爆がもたらした苦しみや被害を調査し、証言を集め、何度も会議で議論をして要求項目をまとめ、これに基づく援護法案を全野党共同で国会に提出させた。「被爆者の憲法」といわれる「原爆被害者の基本要求」を作るときも何度も議論を重ねた。そうした過程こそが、民主主義的な行為だと。民主的な議論こそが、民主的な内容を作る。「被爆者の運動は、誰かが教えてくれたわけではなく、自分たちで考えながらつくりだしてきた。民主主義には特効薬のようなものはない。被爆者の経験は、私たちが考える材料を提供してくれる」
合 唱
結成24年の混声合唱団「合唱団この灯」は、空襲体験をうたった「命を生きる」、カンタータ「この灯を永久に」など命と平和の尊さを歌いあげました。
リレートーク
若い世代を中心に10人が発言。空襲や沖縄、南洋諸島での民間戦争被害者の国家補償に取り組んでいる弁護士の瑞慶山茂さんは、オール戦争被害者として、ともに国の償い運動に取り組むことを強調しました。空襲被害者、青年団、画学生、平和公園ガイド、教師、研究者、大学生、高校生それぞれが継承に関わり取り組んでいることを発言、集会参加者に勇気を与えました。
閉会にあたって日本被団協の田中煕巳事務局長は、参加者、出演者に謝意をのべ、「日本は軍事大国として世界に出ようとしています。絶対に許してはなりません。かつての戦争を反省して憲法9条ができています。戦争をしないという誓いを守って日本の国の方向を見定めていきましょう」としめくくりました。
議長を勤めた大岩、松浦両代表理事 |
発言する石川の西本多美子さん |
◆被爆70年の諸運動
ニューヨークの国連本部を中心とした核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議要請団の活動、8月5日・広島のつどい、同6日・韓国追悼式、オスロでの核兵器禁止のためのコンサートを中心とした活動、10月17日の日比谷公会堂でのつどい、全国各地で取り組まれた行動について、それぞれの担当者、各ブロックの県代表が報告しました。
◆日本被団協結成60年に向けての活動
日本被団協は来年、結成60周年を迎えます。田中煕巳事務局長が結成総会が開かれた長崎での祝賀会、東京で記念集会を開くことを提起しました。各県代表者からは、核兵器の非人道性についての国際シンポジウムや被爆者運動のDVD制作、メディアとの共同企画、国民法廷など多方面の企画が提起され、田中事務局長が責任者の被団協結成60周年事業企画委員会で企画の可否を含めて検討し、推進することになりました。
◆諸運動の推進交流
国の償い実現運動の経過と今後について木戸季市事務局次長、ノーモア・ヒバクシャ訴訟について山本英典原告団長、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会の資料収集と継承活動について原明範事務局次長がそれぞれ報告し活動を交流しました。
◆アピール採択
代表者会議は最後に、「被爆70年、不戦・核兵器廃絶の決意を新たに」と題するアピールを採択しました。
日本被団協全国都道府県代表者会議 2015年10月18日
被爆70年の今年、世界で唯一の戦争被爆国である日本で、決してあってはならないことが起きました。昨年、自民・公明の安倍政権は、集団的自衛権を容認する閣議決定を行ないました。戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認をうたう憲法9条を国民に可否を仰ぐこともなく踏みにじり、この9月、世界で唯一の戦争核使用国である米国の始める戦争に日本が加担することを可能にする安保関連法を強行可決したことです。
みずからの被爆体験をとおして、70年前に広島と長崎で起きた生き地獄を絶対に再現してはならない、ふたたび被爆者をつくるなと訴え続けてきた被爆者は、安倍政権が、多数の国民の意思に反して安保関連法を強行可決した暴挙を決して許すことはできません。
核兵器という最悪の暴力によって、命を奪われ、心と体を無残に傷つけられ、被爆の後遺によって死ぬまで苦しめられ続けている被爆者は、いかなる暴力にも反対します。安倍政権の暴挙は、政治の暴力以外の何物でもありません。
わたしたちは、来年、日本被団協結成60年を迎えます。安倍政権の暴挙を阻止し、憲法に従って国政を運営する立憲主義を貫く国会と政府がつくられることを強く希望します。刷新された国会と政府によって、違憲の閣議決定および安保関連法を廃止し、戦争も核兵器もない世界の実現へ世界の先頭に立つことを強く願います。希望と願いの実現へ、安保関連法に反対するすべての人々と手をつなぎ、それぞれができることに力をつくすことを被爆者として呼びかけます。
厚労省交渉 |
政党要請 |
署名提出 |
厚労省交渉
参議院議員会館101会議室で、代表者会議の報告、要請行動の内容確認後、11時から同会議室で厚生労働省交渉を行ないました。
厚労省からは伊沢知法被爆者援護対策室長ほか7人が出席。清水弘士代表理事が厚生労働大臣宛て要請書を読み上げ、参加者も次々に発言しました。原爆被害への国の謝罪と償い、被爆二世の実態調査と具体的施策の実施、申請被爆者の実態に沿った原爆症認定などを訴えました。伊沢室長は、原爆症の認定方針は長年かけて検討してきた結果でありそれに基づいて対応する、などほぼこれまで通りの回答・説明を繰り返しました。
政党要請・署名提出
正午から1時間、現行法を改正して国の償いを実現することを政党に求める「院内集会」を開きました。
各党を代表して、寺田稔(衆・自民)、樋口尚也(衆・公明)、森本真治(参・民主)、小池晃(参・共産)、玉城デニ-(衆・生活)、福島瑞穂(参・社民)各議員のほか共産党から4議員が参加。要請書を大下克典事務局次長が読み上げた後、各ブロック代表が要請書と現行法改正を求める国会請願署名を各党代表に手渡しました。署名数は今回13万4788。前回提出分と合わせて総計32万4513になりました。
各政党の代表が挨拶。被爆者のこれまでの苦しみ、不安、たたかいに敬意と理解を示し、原爆症に苦しむ被爆者の救済を一日も早く実現しなければならないなどと述べました。憲法9条は押しつけられたものではなく、世界に誇るもの、核廃絶をすみやかに実現しなければならない、いまだに原爆症で裁判しなければならないのはおかしいという発言(寺田議員)もありました。被爆者援護に関する各政党の取り組み、超党派で解決にあたりたいという決意が表明され被爆二世議員からは、二世としての思いと活動が語られました。
院内集会の後、参加者はそれぞれの地元選出議員を訪ね、賛同署名を訴えました。
新たな賛同議員
今回の中央行動後、日本被団協事務所に、現行法改正を求める国会議員の賛同署名が届けられました。ご紹介します(10月28日現在、敬称略)。
大野基裕(参・民主・埼玉)、真島省三(衆・共産・九州比例)、島津幸広(衆・共産・東海比例)、池内さおり(衆・共産・東京比例)、大平喜信(衆・共産・中国比例)
国連大学ビルで集会 核兵器廃絶日本NGO連絡会
パネル討論で発言する藤森さん
国連核兵器廃絶国際デーの9月26日、東京では銀座マリオン前で東友会が日本原水協とともに「ヒバクシャの声を聞こう なくそう核兵器! 戦争法は廃止を!」のスローガンを掲げて、街頭行動をおこないました。参加者は28人。東京の被爆者は青いタスキをかけて、一人ずつ名前や被爆体験、核兵器廃絶への思いを訴えました。
9月21日〜26日の間、甲府駅北口ペテストリアンデッキにおいて、国連核兵器廃絶デー山梨県実行委員会主催「ヒロシマ・ナガサキ被爆70年原爆と人間パネル展」が開催され、1000人近い来場者を数え成功裏に終了しました。
9月26日10時30分より1時間、平和祈念像前で「9・26核兵器廃絶国際デー2015年ナガサキの集い」を行ないました。長崎被災協と長崎県原水協の共催で約50人が参加。平和のうたごえ合唱団による歌で始まり、被爆者6人のリレートークのあと、11時2分に黙とうを行ないました。
長崎被災協では、20年以上休眠状態だった大村支部に再始動してもらおうと、昨年6月から数カ月に1回のペースで、大村市で被爆者の集いを開催してきました。「被団協」新聞の読者が23人いるので、被爆者健診で配布するなど、集いの案内を出して呼びかけてきました。
10月11日、おりづるの子(東京被爆二世の会)が、「東京都在住被爆二世実態調査」についての学習交流会を開催しました。この調査は2013年に東友会が結成55周年事業として実施し、愛媛大学の八木良広氏らの研究者グループが集計と解析をまとめ、今年7月に発表したものです。
【問】生活保護を受けておられる被爆者から、「今年から住宅扶助費が引き下げられることになったようだが、自分は大丈夫なのか」という相談がありました。
この被爆者は、現在80歳の女性で一人暮らしです。どのように対応したらよいでしょうか。(被爆者の会役員)
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【答】今年の7月から生活保護の住宅扶助費の限度額が引き下げられ、転居を強いられることも起こっています。