1面 |
国家補償の焦点/死者が最大の被爆者 イギリスBBCテレビが「二重被爆」を笑いの種に |
2面 |
私が求める「原爆」への償い 英BBCの番組に対する、日本被団協代表委員の談話 原爆症訴訟/札幌地裁で勝訴 「90歳の被爆者が…」と話題に/埼玉 意見書採択 |
3面 |
被爆者の話、伝えよう 座り込みや要請の先頭に/東友会(東京都) ヒロシマ・ナガサキをつたえる(2) |
4面 |
相談のまど 声のひろば 本の紹介 |
田中熙巳現行法改正検討委員会委員長に聞く
「基本懇」答申直後の「被団協」新聞(1981年1月6日号)
動画サイト「ユーチューブ」に投稿されたBBCの番組映像
坪井直代表委員
谷口稜嘩代表委員
原爆被害の恐ろしさについて、あまりに無知なことに驚く。番組の背景に写真を掲げていたというあのきのこ雲の下で、人間がどんな目に遭い、殺され、残ったものがどんな思いで生きてきたのか。それを笑いにするとは、怒りでいっぱいだ。
被爆者の声をさらに世界に広め、浸透させなければいけないと、思いを新たにした。我々はもっと頑張らねばならない。ネバー ギブ アップ!
核兵器の被害を笑いの種にするとは、被爆者の痛みを理解しようとしない、核保有国の姿勢の表れだ。原爆によって傷つけられた被爆者が、今度は核抑止論によって踏みつけられた思いだ。決して許すことはできない。
しかし今世界は、数多くの非核国や心ある人たちの力で、核兵器廃絶に向けて動き始めている。被爆者の声を聞き、その痛みを理解しようとする人々を、私たちの力でもっともっと多数にしていかなければならない。
記者会見で話す原告の浜田元治さん
非核三原則法制化求める地方議会意見書採択運動
非核三原則の法制化を求める地方議会の意見書採択を求める運動で、埼玉県では8市3町で採択されています。
鴻巣市在住の被爆者堀田シズヱさん(90歳)は昨年、地元の鴻巣市をはじめ北本市、上尾市、桶川市の4市の意見書採択に貢献しました。
堀田さんは、埼玉県原爆被害者協議会(しらさぎ会)事務局に請願書類(各市様式が異なる)、請願のお願い文、すでに採択した他市の意見書コピーの作成を依頼し、各会派のトップに書類一式を送付。各市議会事務局には、各議員の連絡先を確認し、書類到着を見計らって、議員に電話でお願いしました。「90歳の被爆者です。足腰が悪くて直接お願いには行けませんが、核兵器廃絶は被爆者の願いです」。電話で通じない場合は、議会事務局に議員の予定を聞き、議会まで出向いて議員を待ち、直接訴えることもありました。
「90歳の被爆者のおばあちゃんが来た」と各会派で話題となり、全会賛成の議会もありました。
堀田さんは、「今年は熊谷市、羽生市、行田市、本庄市などに働きかける」と張り切っています。
非核三原則の法制化を求める地方議会の意見書採択、11月22日以降1月25日までの報告分です。
北海道=剣淵町 安平町 愛別町 和寒町 津別町 日高町 赤井川村 青森=つがる市 平内町 外ヶ浜町 鰺ヶ沢町 大間町 三戸町 五戸町 東通村 風間浦村 佐井村 新郷村 埼玉=桶川市 上尾市 福岡=朝倉市
3月議会に向け、運動を強めましょう。
交代で被爆者と写真をとる学生ら
東友会(東京被団協)は、1968年に結成。参加する43の地区の会の協議体です。月刊「東友」を東京在住被爆者の過半数4千人近くに送り好評。都庁展望室で毎年原爆展を開き、慰霊祭と「追悼のつどい」も毎年開催。東京都援護条例をかちとり、被爆二世への施策をすすめています。
傷痕に触れてもらう
斉藤政一さん(岩手)
21歳の時、広島で被爆しました。証言を始めたのは、プレスコードがしかれていた1949年です。ペンネームを使わざるをえず、警察の尾行に耐えながらの活動でした。
兵舎の窓辺で被爆した私は、上半身に大やけどを負い、ガラスの破片が全身に刺さって、倒壊した兵舎の下敷きになりました。頭が割れ肋骨も折れて失神し、死体焼却場に運ばれましたが、焼かれる寸前に息を吹き返しました。
被爆証言をする時、聞く人に直接傷痕やケロイドを触ってもらいます。今でも体からガラス片が出てくることも話します。自作の紙芝居を見せながら、建物疎開の作業中に被爆した女学生のことをはじめ、かつて広島で見たことを話します。
昨年NPT再検討会議でニューヨークに行った際は、国連で開かれた原爆展での説明に力を注ぎました。そして核だけでなく、生物・化学兵器もなくして平和な世界をつくろうと訴えました。国や世代が違っても「お互いの力をあわせて、核のない世界・緑の地球を子孫に残そう」という祈りを込めて話をすると、深い共感が得られました。
核兵器廃絶に導く最高の薬は、被爆の体験を伝えることです。語り部のご用命があれば喜んで参上します。
◇健康管理手当の「更新」は必要ない?
【問】 現在、白内障で健康管理手当を受給しています。4月には「更新」手続きをするようにとの連絡がありました。知人の被爆者は「更新」の必要はないと言っています。これはどういうことでしょうか。私はどうしたらよいでしょうか。
* * *
【答】 健康管理手当にはもともと、それぞれの疾病について、3年または5年という最高支給期間がありました。2003年8月から、ほとんどの疾病についての支給期間が撤廃され、現在は鉄欠乏性貧血、潰瘍による消化器機能障害が3年、白内障、甲状腺機能亢進症が5年という支給期間があるだけです。これらの疾病は、治る可能性があるため期限が設けられていて、「更新」の手続きが必要です。
白内障は、「水晶体混濁による視機能障害」となっています。白内障を手術すると、混濁した水晶体が摘出されて白内障が治った、ということになります。したがって手術後一定期間過ぎると、健康管理手当は受給できなくなります。
4月に「更新」するときは、白内障ではなく、今後「更新」する必要のない疾病で申請をすることを検討してください。
健康管理手当用の診断書には、医師の意見として、疾病が「1.固定している」、「2.固定していない」を示す欄があります。申請疾病を「更新」の必要のないものにしたうえで、「固定している」を選択してもらえば、今後「更新」する必要がなくなります。
そのための「紹介状」が必要であれば、お送りします。返信用封筒を同封して、日本被団協に申し込んでください。
◆新年号の記事を読んで考えさせられました。政府が主張する「受忍論」は、多数の被害者を出した戦争の責任をはっきりさせず、国が責任を取らない根拠になっていると思います。この暴論を否定することは、これからは戦争を起こさせないという決意につながるはずです。被爆者をはじめ、空襲の被害者や、補償の対象になっていない多くの被害者、その家族が声を上げ続けることの大切さを思いました。(兵庫・56歳・男)
◆昨年末、「黒い雨」指定地域見直しを求める声に押されて開かれた厚生労働省の検討会を傍聴しました。厚労省の局長は冒頭の挨拶で「科学的・合理的根拠」を強調しました。「黒い雨」の降雨地域は広範囲に及び、雨をあびた人の中には、被爆者手帳を取得した人と同じように、原爆放射線の影響だと思われる病気になった人がたくさんいます。しかし、これまでは放射線の影響はないとされてきました。厚労省は「科学的根拠」と言いながら、いまだに住民の健康調査を行なっていません。核兵器が広範囲の人類を苦しめることを知らせるためにも、「黒い雨」に降られた住民の実体を知らせ、広めなければ…。(広島・男)
◆新聞、楽しみに読んでいます。被爆者手帳取得のための「証人探し」は知った人だったら力になってあげたいと思い、手帳を取得されたと載っていると、よかったなあと嬉しくなります。(広島・81歳・女)
『社史で読む長崎原爆』
社史で読む長崎原爆編集委員会編
長崎にある会社の社史が原爆をどう記述しているか、それを編集した本です。三菱重工(兵器製作所を含む)、三菱電機、三菱製鋼など三菱各社、九州電力、西部ガス、国鉄、銀行、百貨店、商店会、長崎新聞、NHKなど17編を採録。社史によって原爆関係の記述に濃淡はありますが、まとめたこの本は貴重な原爆証言記録です。(電話095‐849‐5733 定価600円)
類書に「しんぶん赤旗」中国四国総局編の『社史が語る原爆・ヒロシマ』(新日本出版社・1300円)。
「社史版太平洋戦争」である井上ひさし編『欲シガリマセン欲しがります』(新潮社・1000円)には、毎日新聞「原子爆弾はどう報道されたか」、東洋工業(マツダ)「原爆の打撃」が入っています。