2023年3月の映画  戻る
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE すべてのものすべての場所が一気に
2023年 米国 139分
監督・脚本 ダニエル・クワン/ダニエル・シャイナート
キャスト ミシェル・ヨー(エヴリン・ワン)/キー・ホイ・クァン(エヴリンの夫ウェイモンド)/ステファニー・スー(娘ジョイ)/ジェームズ・ホン(父ゴンゴン)/ジェイミー・リー・カーティス(国税の職員)
メモ 2023.3.26(日)なんばパークスシネマ
あらすじ
アメリカに移住して夫と共にコインランドリーを経営するエヴリンは疲れていた。経営はうまくいってないし夫は優しいけれど頼りない、娘は思春期を過ぎても反抗的、中国から父を引き取りその世話も重い。その上その上国税から税申告のやり直しを命じられている。
感想
主人公は”世界を救う”ため「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」の様にマルチバース(多元宇宙)をぴょんぴょんジャンピングする。
マルチバースは連動しているらしく、主人公たちは同じ動きをする みたい。その映像も次から次へと挟まれるので、いまどこの世界にいるのか混乱してくるけど考える映画ではなく感じる映画なんやね。たぶん
「ベーグルの穴に飛び込む!」というのが面白い。「ドーナツの穴」やなくてベーグルなの。ベーグルの方が健康的やから? 固いから?
 
エヴリンも夫のウェイモンドも果敢に敵と戦うねん。これは新手のカンフー映画なんやろか と思っていたら主人公がスターになる世界があって、ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンがしっとりしていた。よかったよ
スターになる世界あたりから、春節とクリスマスの違いはあれど、このストーリーはフランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生! IT'S A WONDERFUL LIFE」へのオマージュなんやなあとわかってきた。
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逆転のトライアングル TRIANGLE OF SADNESS
第75回カンヌ国際映画祭パルムドール賞
2022年 スウェーデン/独/仏/英国 147分
監督・脚本 リューベン・オストルンド
チャールビ・ディーン(ヤヤ)/ハリス・ディキンソン(カール)/ドリー・デ・レオン(清掃係アビゲイル)/ウディ・ハレルソン(船長)/ヴィッキ・ベルリン(ポーラ)
メモ 2023.3.23(木)TOHOシネマズなんば
あらすじ
映画「フレンチアルプスで起きたこと」の監督さんのブラックな映画
3部構成になっていて第1部はインフルエンサーだったかユーチューバーだったかのモデルのヤヤとカールという美男美女の非日常の若さと美しさと脆さが描かれ(ヤヤ役の俳優さんは病気で亡くなられたらしい)
第2部はヤヤとカールが招かれたロシアの大富豪や兵器商人の初老夫妻たちが乗ったクルーズ船の中で、船のスタッフも船長をトップとした船員、厨房のコック、清掃係と層(カースト)からなっている。三角形△のヒエラルヒーだ。
第3部はセレブの気まぐれと酔いどれ船長の職場放棄に加えてテロにより船は座礁炎上し、生き残った乗客、乗員は島にうちあげられる
感想
日本国が乗っかっている南海トラフがずれ連鎖して富士山が噴火しついでに首都直下型地震が起きた時もこういう感じなんかな。手に技術の無いホワイトカラーはへのつっぱりにもならない。
本作では大金持ちと清掃係の立場は逆転するけど、地震が怖いのか税逃れなのか他の理由なのか海外在住の2ちゃんねる創始者とか旧村上ファンドで今も日本の企業を食い物にしているシンガポールが本拠地らしい金の亡者猛者たちは日本で稼ぎながら「日本」という船には乗っていないので日本国の災厄から逃げ切れるんやなあ と思って見ていた。
まあ海外の日本人が有事の際は助けてくれるってんならえーんやけど。
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死体の人 
2023年 日本 94分
監督 草苅勲
出演 奥野瑛太(俳優・吉田広志)/唐田えりか(カナ)/楽駆(カナの恋人ショータ)/烏丸せつこ(広志の母)/きたろう(広志の父)
メモ 2023.3.21(火)シネ・リーブル梅田
感想
「俳優 亀岡拓次」のようなお話やねんけど、こちらは役名もなく俳優名で呼ばれることもなく監督には「死体の人」と呼ばれる。
静かに浮かんでいること、静かにぶら下がっていること、血だらけで横たわっていることを求められるが、それでも広志の役者魂は熱く台本を読み込み死体に見えるよう研究に余念がない。
俳優・吉田広志もデリヘル嬢のカナ(唐田えりか)もそれほど人様に自慢できる仕事やないけど、プロとして一生懸命切磋琢磨している。カナはオプションの売り込み営業も上手。
「俳優 亀岡拓次」の麻生久美子はマドンナ風やったけど本作のカナはアイドル風
しかし俳優・吉田広志は死んだ経験が無いため、イマイチ演技にもどかしさも感じている。奥が深い。試行錯誤の毎日だ。
 
いやーこのひと、ほんまはカッコいいんちゃうという奥野瑛太という俳優さんが気弱で優しい役を好演。ちょっと風変わりな話で役者さんがみんないい。
作中劇はどんな話を撮っているのかな、コメディかそれともロマンスかさてはミステリかなーホラーかなーという想像も楽しい。
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別れる決心 
2022年 韓国 138分
監督 パク・チャヌク(「お嬢さん」「親切なクムジャさん」「オールド・ボーイ」「JSA」
キャスト タン・ウェイ(ソン・ソレ「ブラックハット」「捜査官X」「ラスト・コーション」)/パク・ヘイル(刑事チャン・ヘジュン)
メモ 2023.3.10(金)大阪ステーションシティシネマ
あらすじ
入管だったかの仕事を退職した初老の男が趣味の山登りで転落死する。事故に見える。が、刑事のチャンは残された中国人妻ソン・ソレのたんたんとした姿に不審を持ちかつその謎めいた所作とまだたどたどしい韓国語に惹かれはじめる。幼い子供の様でちょっとかわいいし、まくしたてる人々ばかりの中で異色だ
感想
合理的な刑事の奥さんに笑ってしまうところもあるんやけど なんというか、様々と残酷 やった
ひとが垂直に移動する固い山で始まり、水平に広がる柔らかそうでひとを誘い込む海で終わる。男と女を表わしているのかもしれない。
 
未亡人のソン・ソレが取調室で刑事のチャンとお寿司を食べた後、お手拭で机を拭きそのお手拭をポィっと投げ捨てるねんね。
ウチも家では「ストライク」とか言ってするけど、中学生やあるまいし外でするんは行儀悪いなあと思うのは日本人やから?
なんとなくこのシーンでこの女の人が育ってきた境遇がわかる様な気がする。
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最後まで行く 
2014年 韓国 111分
監督 キム・ソンフン
キャスト イ・ソンギュン(小悪党コ・ゴンス「パラサイト 半地下の家族」)/チョ・ジヌン(大悪党パク・チャンミン「権力に告ぐ」)/チョン・マンシク(チェ・サンホ)
メモ 2023.3.9(木)レンタルDVD
感想
先日映画館で予告編を見ていたら岡田准一が交通事故を起こしていた。ふーんと思って家に帰って映画館の情報をあさっていたら、シネマート心斎橋で「最後まで行く」という韓国映画をキャッチ。岡田准一の映画はこの韓国映画のリメイクらしい。
シネマートに見に行こうかなとちらっと思てんけど、もうDVD出てるらしいし借りたらええか と思ってレンタルする。
 
映画館に見に行ってもよかったかな。ひさびさに小難しくない映画を見た!
しのいでもしのいでも主人公に降りかかる危機また危機! 映像も上から横から斜めからと面白い。
 
若い警官が『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』の囲碁棋士テク役のひとやったり(パク・ボゴム)、主人公の妹が『がんばれ!プンサン』の長男のお嫁さん役のひとやったり(シン・ドンミ)で注目のひとも出ている。
妹が兄に「親戚の前でいいかっこしたら?」というのもよくわかる。亡くなった母親の面倒はこのひとが見てたのね。
妹のいる兄ってこまごましたところはお前にまかすけど、大事なところは俺が立つみたいなとこあるもんなあ。
一方妹は妹気質で甘えているところもある。この妹役のひとはうだつの上がらない亭主のお尻を叩く役がうまい。
 
日本は火葬やけど、岡田准一版はどうなっているのかちょっと興味がある。ちょっとだけ。
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ベネデッタ BENEDETTA
2021年 フランス / オランダ 131分
監督 ポール・ヴァーホーヴェン
原案 ジュディス・C・ブラウン 『ルネサンス修道女物語 聖と性のミクロストリア』
キャスト ヴィルジニー・エフィラ(ベネデッタ)/シャーロット・ランプリング(修道院長)/ダフネ・パタキア(修道女見習い・バルトロメア)/ルイーズ・シュヴィヨット(修道院長の娘)/ランベール・ウィルソン
メモ 2023.3.3(水)なんばパークスシネマ
あらすじ
17世紀に同性愛者として裁判にかけられた修道女がいてはったらしく、その話を元に作られているそうです。
感想
映画冒頭6才のベネデッタが修道院に入る際、金持ちの商人風の父が持参金を払う。そういうきまりになっているらしい。
そうして、両親は天国へのチケットを手に入れる。金持ちは天国に行ける。つまり「地獄の沙汰も金次第」
臨終のときの聖職者による秘跡も大事らしい。
そういう懺悔を聞いたり、許しを与えたりと大事なことを行う人々が、修道女ベネデッタの手、足、わき腹に聖痕が現われても彼女にキリストが降臨しても、実のところ修道院長も神父も教皇の大使も誰も奇跡を信じていないのに驚く。
もともと神がいるなど思ってもいないらしい。
なぜ信じているふりをしているかと言うと、食べるためそして権力を持つため。宗教と言う名のもとに利権のシステムが作られている。
振り返れば前例踏襲、既得権益を守るという現代の政治家の世襲も同じやねー 一般ピープルが食べるに困る事はなくなったというのが違うけど。
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