1996年

立証責任

スコット・トゥロー作 文春文庫
あらすじ
出張から帰宅した敏腕弁護士サンディは、妻が排ガス自殺しているのを発見する。夫婦仲も円満で、子供たちも医者、弁護士と立派に自立したのに何故自殺を?本当に自殺なのか。
感想
「推定無罪」「有罪答弁」につづく、スコット・トゥロー3作目。これが一番ドラマティックでした。「推定無罪」でラウル・ジュリアが演じた弁護士サンディ・スターンが主人公です。
ついでにビデオもみました。TV版のようです。サンディ役は、へクター・エリゾンド(「プリティ・ウーマン」のホテルの支配人)でした。ブライアン・デネヒー、ステファニー・パワーズ(今でもロバート・ワーグナーの奥さんなんでしょうか?)が出演
おすすめ度:★★★★★
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人格転移の殺人

西澤保彦 講談社ノベルズ
あらすじ
アメリカ・カルフォルニアのハンバーガーショップにいた老若男女多国籍の6人が地震にあい、わけのわからない封印された場所に逃げ込む。なにかの装置が作動してしまい、6人の間でグルグルとたえず人格が入れ替わる事になってしまったマスカレード(仮面舞踏会)。
感想
弓月光さんの某漫画から思いついたそうです。傑作ハチャメチャSFでした。今、誰の体に誰の人格が入っているのかわかんなくなるので、書き留めながら読みました。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のクリストファー・ロイドのような博士が愉快です。
追記:6人の内のひとり、ガラの悪そーなおじちゃんは、アメリカ人なのに何故か大阪弁!なんで?大阪もんて、こんなに品がええのに。(ねえ、NOBODYさん) くやしいけど、また大阪弁がおじちゃんのキャラとミョーに合っているのだ。
おすすめ度:★★★★★
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七回死んだ男

西澤保彦 講談社ノベルズ
あらすじ
主人公の16才の高校生「大庭久太郎」通称オバQには特異体質がある。”時間の反復落とし穴”にはまり込むと、同じ日を9回繰り返すのだ。そう、あの「恋はデジャ・ブ」を観て思いついたそうです。
遺産がらみでおじいちゃんが殺されてしまった日が、繰り返される事になってしまった。おじいちゃんを助けるべく孤軍奮闘、涙ぐましい努力を繰り返すが何故か毎回殺されちゃう・・。
感想
親族入り乱れての”座布団投げ大バトル”には爆笑。電車の中で体を震わせて笑っていた私は、さぞ見物だったと思う。
おすすめ度:★★★★★
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ファンレター

折原 一(おりはらいち) 講談社 277ページ

あらすじ
売れっ子覆面作家に次々と届くファンレター。次々起こる事件。覆面作家の正体は?
感想
おもしろいです。ストーカー物の異色作です。個性的な作家で読むのが骨の時もありますが、好きです。


おすすめ度:★★★1/2
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ぼくのじしんえにっき

作 八起正道 絵 伊東寛 1989年 いわさき創作童話 第六回福島正美記念SF童話賞大賞
あらすじ
大地震にあった小学生の和之の絵日記
感想
子供の目から見た、地震とその後の様子がユーモアを交えて淡々と描かれています。
おすすめ度:★★★1/2
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カルト映画館*SF

永田よしのり編 1996年 教養文庫
感想
5人のSF映画にはまった人たちによる100作品の紹介です。文章もうまいし、全編SF好きが感じられ好感がもてます。「シンドバッド7回目の航海」では、大事にしていた宝物をとられた一つ目巨人のサイクロプスにいたく同情し、シンドバッドの事を「自分さえよければいいのか」とマジに言っているのがおかしい。
おすすめ度:★★★★
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湖畔の四人

ジェレマイア・ヒーリイ(「つながれた山羊」で1987年アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞受賞)作 1996年 ハヤカワポケットミステリ 356ページ
あらすじ
私立探偵ジョン・カディシリーズ第8作。湖畔の別荘地で2組の夫婦の内、3人が矢で射殺された。残された一人が容疑をかけられ、ジョンに捜査を依頼する。
感想
最初の3人が矢で射殺されるシーンの怖さと、美しくて哀しいラストが印象的。「豊かな国アメリカ」と「病める国アメリカ」のお話でした。ローティーン不良少女グループは哀しい、救いがない。
おすすめ度:★★1/2
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過ぎゆく夏の別れ(Get What's Coming 身から出た錆)

サム・リーヴズ作 1995年 ハヤカワ文庫 493ページ
あらすじ
舞台はシカゴ。クーパー・マクリーシュ・シリーズ4作目。タクシーの運転者をやめ、第3作「春までの深い闇」で助けた不動産業界の大物のお抱え運転手となっている。
シカゴのダウンタウンで、2人組が麻薬組織の金百万ドルを強奪する。麻薬組織は取り返すため殺し屋を差し向ける。
感想
執拗に殺し屋に狙われる雇い主を守るクーパー。殺し屋は、「ナイトホークス」のウルフガー(ルドガー・ハウアー)風で悪いヤツながらも魅力的です。
おすすめ度:★★★1/2
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木曜クラブの秘密(The Thursday Club)

ヴィンセント・ムラーノ + リチャード・ハマー作 1994年 扶桑社ミステリー 462ページ
あらすじ
ゴミ捨て場で20年以上経過した銃弾を撃ち込まれた死体が発見される。その銃弾を調査した弾道研究所の調査官は自殺。担当の刑事は何者かに射殺される。
感想
過去の秘密+ハードボイルド+警察小説+ロマンス+マフィア物という盛り沢山の、いかにもペーパーバックといった小説です。主人公のベン・ロジャーズN.Y市警の刑事は、若くて一途ですんごくいい男です。
おすすめ度:★★★★
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エレナのために(For the Sake of Elena)

エリザベス・ジョージ作 1995年 ハヤカワ文庫 653ページ
あらすじ
ケンブリッジ大学教授の美しい娘エレナがジョギング中殺害された。エレナは耳が不自由だったが、明るく男子学生から人気があった。捜査が進むにつれて、秘密の恋人がいた事があきらかになる。
感想
スコットランド・ヤードのトマス・リンリー物5作目。重厚な英国ミステリです。だんだんエレナがどんな人物だったかが浮かびあがってきます。うまいです。貴族の警部リンリーと労働者階級の部長刑事バーバラの辛辣な会話がストーリをひっぱります。実にシビアです。バーバラが痴呆症の母親の介護と仕事のいたばさみで苦労するのは、身につまされました。リンリーが思いをよせるレディ・ヘレンはつかみ所がありません。「血ぬられた愛情」「ふさわしき復讐」と続けて読みましたがますます謎です。(いったいどこに、そんなにほれてるんやらさっぱりわからん)
追記:この本は、アンドリュウ・ガーヴの「ヒルダよ眠れ」を思い出させました。
おすすめ度:★★★★1/2
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