岐路のパキスタン〜タキシラ
 
Taxila
 
 
タキシラ
 

  「文明の十字路」として有名なガンダーラ地方は、インド世界の西端であると同時に、オリエント世界の東端でもありました。その事実を象徴するのが仏像です。仏教思想とギリシャ・ローマの造形美術が高い次元で融合し、時代を超えて感銘を与える芸術作品が生まれたのです。  

 
タキシラ博物館
 


   
予習すべし
煉瓦造りの壁一面を覆うツタ。情緒たっぷりの外観もさることながら、収められたガンダーラ美術の数々が見事です。世界史、なかでも古代インド史を勉強してから行くと、楽しめること請け合いです。歴史は苦手というあなた、この博物館のためだけにでも再トライする価値はありますよ。
   

   
ロバの隊列
よく見るとロバの背中には荷物と一緒に子羊が何頭も載せられていました。動物が動物に運ばれていくなんて、あまりに微笑ましい。一方、パキスタンではしごく一般的な乗合いミニバス。入口や屋根の上など、とにかく乗れるだけ乗るのが常識。でも、軽トラックでしょ、これ。車の方も根性要りますよね。
   

 
ジョーリアン
 


 

       

 
 
呼び込み
地元民らしき人が「ダンナ、良いシロモノがありますぜ」としつこく誘うので、怪しいと思いつつ行ってみたら倉庫でした。博物館に入りきらない出土品をしまってあるのか。
 
宗教抗争
倉庫には美しい石仏が大量に保存されています。中でも頭部が残っている石仏は大変珍しいのだそうです。異教徒支配の時代に破壊されてしまったんでしょうね。
 
兵どもが夢の跡
急な岩坂道をのぼりつめた丘の上に僧院跡が拡がっています。風に揺れる木々の緑がそこはかとない感傷を呼び覚まします。理由はわからないんですが。
 

 
シルカップ
 


 

       

 
 
東西文化の融合
双頭の鷲のレリーフは、インド・ペルシャ・ギリシャそれぞれの文明に特徴的な造形を巧みに組み合わせて構成されています。これぞガンダーラの面目躍如。
 
懐かしい道
住宅や商店街、さらには王宮までをも備えたタキシラきっての広大な都市遺跡も、今では石積みの基壇を残すのみ。けれども幅6mのメインストリートは当時のまま健在です。
 
修学旅行
女子高生とおぼしき集団がやってきました。観光中も移動のバスにも護衛の警官がついていて、なにやらものものしい修学旅行です。こんな田舎道なのに。
 

 
インダス河
 


   
文明のふるさと
イスラマバードからタキシラを経由してペシャワールへ向かう途中、バスはインダス河を渡ります。世界最古のひとつであるインダス文明を育んだ大河が今この目の前にある! 冷静に考えればちょっと大きいだけの普通の川なのですが、この時はひたすら感動の嵐で、さかんにシャッターを切っていました。
   

   
合流地点
ちょうどアフガニスタンから流れてくるカブール河と合流する近くで、青いインダスの水とカブール河の黒い水は、しばらく混じりあうことなく並行して流れていきます。まるで、異なる文明が時間とともに融合していくさまを表しているようです。タキシラを見た後では特にそう感じます。
   


   

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