岐路のパキスタン〜タクティバイ
 
Takht-i-Bahi
 
 
タクティバイ
 

 
イスラマバード
 


   
シャー・ファイサル・モスク
独立時からの首都であったカラチに代わり、1959年、新たに首都と定められたイスラマバード。その実態は、北部の中核都市ラワルピンディの郊外に建設された人工の計画都市です。平安京を巨大にしたような、数km四方の碁盤の目状に仕切られた区画の多くはいまだ開発途上で、完成の暁にはどれほどの人口を擁することになるのか想像もつきません。そんな将来を見越して、サウジアラビアの援助の下に建てられたのがこのモスク。建物だけで1万人以上、中庭を含めると10万人が収容可能という、世界最大級のモスクです。宇宙船のような外観と空に突き出た4本の鋭角的な尖塔が、近未来を感じさせます。
 

 
タクティバイ遺跡
 


       
 
僧院
雨上がりで濡れた足元を気にしながら石段が刻まれたジグザグの坂道を登ること数分、最初に出るのがここ。石壁の通路をくぐり抜けた先です。
 
塔院
メインストゥーパが置かれていた基壇を中心として、四方の壁に僧院跡が並んでいます。ひとつひとつ区切られた部屋の中で僧たちは瞑想に励んだそうです。
 
山岳仏教
タクティバイがあるのは、泥だらけの田舎道をバスに揺られて辿り着いた先の小高い山の上。さらに上の尾根からの眺めは素晴らしいそうですが、ここらでもう勘弁してくれ。
 

   
平石積み
この山岳寺院が珍しいのは立地だけではありません。建物がみな平石を積み重ねて造られているのです。間近で見るとなかなか面白い。木の年輪や地層みたいです。遺跡といえば巨石建造物と相場が決まっていますが、こんなに薄い石をこつこつと重ねるなんて、実はとても珍しい建築様式なのではないでしょうか。
     
ガンダーラ仏
本物なのか複製なのか確認を忘れましたが、僧院の部屋にガンダーラ仏が一体残っていました。仏像ですから当然お釈迦さまを表現しているわけですが、その顔や髪型はどこからどう見ても西洋人。百歩譲ってもインド人には決して見えません。東西文化の融合という言葉の意味がよくわかりました。
   

 
街角の風景から
 


   
砂糖工場
タクティバイへの途中、ちょっと道草をして砂糖工場にお邪魔してみました。畑で採れたさとうきびを搾り器で搾り、その汁を大きな釜で煮詰めて作ります。沖縄あたりの黒糖と同じですね。出来上がった欠片をいくつか貰って舐めてみました。自然の甘さが心地よく、なんだかホッとする味でした。
   

   
さとうきび畑
工場の外は一面のさとうきび畑。見渡す限り、地平線の彼方まで続いています。ちょうど雨上がりで、藁で葺いた作業小屋の屋根から滴り落ちる水滴が、キラキラと虹のように光っていました。左の写真が搾り器。見るからに原始的ですが、その素朴さがまた心を和ませます。
   


   

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