岐路のパキスタン〜カラチ
 
Karachi
 
 
カラチ
 

  人口1200万、パキスタン最大の都市であるとともに、商業・工業・貿易と、ビジネスの中心地でもあるカラチ。高層ビルが林立し渋滞が頻発するこの大都会は、中東やアフリカへの中継点として、妙に洗練されたペルシャ湾岸諸国のような様相を呈しています。  

 
チョウカンディ遺跡
 


       
 
墓地
カラチ郊外の原野の中に奇妙な墓石が建ち並んでいます。故人にちなんだ彫刻を刻んだ砂岩を箱状に積み重ねた墓地は、16世紀頃までに造られたようです。
 
彫刻
ひとつひとつの墓には被埋葬者の生前の職業や属性を表わす彫刻が施されています。つまり、ひとりにひとつこの大きさの墓石があるわけです。ぜいたくですね。
 
新旧比較
手前の石を適当に集めてつくられたのが比較的最近の墓。奥に並ぶ立派な墓石を積み重ねたかつての墓と比べると、みすぼらしく見えてしまいます。貧乏になったのかな。
 

       
 
有力者
貧富の差はあったようで、有力者の墓には墓石を覆う天井やドームが造られています。墓石を重ねる段数も心なしか多いような気がします。これだから金持ちって嫌ですね。
 
一輪の花
基本的に不毛の砂漠地帯ですが、ところどころ木があったり赤い花が咲いていたり、なかなか美しい眺めでした。アクセントがあると風景が締まるんですよね。
 
現役
遠くにちらほらと白く見えるのは現在の墓。え? ということは、ここって現役の墓地なんですか。遺跡って聞いたからてっきり昔のものばかりと思ってました。
 

 
洗濯場
 


       
 
どうしてわかるの
インドのムンバイと同じように、カラチには河原を利用した青空洗濯場があります。でも、こんなに雑然としているのに、どこの家の洗濯物はどれ、とどうしてわかるのでしょう。
 
自然乾燥
洗い終わった洗濯物は広げて太陽の下で乾かします。機械化が進んだ現代にあって、なんとも素朴な、しかし理にかなったやり方です。エコにも貢献できるしね。
 
ゴミ捨て場
ではありません。集めてきた洗濯物をまとめて保管しているのです。でも地面に直置きだな。ま、いいか。どうせこれから洗うんだし。気にしないことにしよう。
 

       
 
石洗い
洗い方そのものは洗濯物を石に叩きつける昔懐かしいやり方です。日本でも昭和30年代まではこのやり方でしたね。って、まだ生まれてないから知らないんだけど。
 
絞り屋
洗濯場は一種の工場です。人それぞれ持ち場が決まっており、自動車工場のラインのように同じ仕事を延々と行うのです。ちなみにこの人は「絞り屋」。見たまんまですね。
 
清潔第一
なんとスチーム殺菌もするそうで、ムンバイのものと基本的には同じながら清潔さは全然違うようです。でも、河原でスチーム殺菌って、どうやってやるんだろう。
 

 
カーイデ・アーザム廟
 


   
建国の父
パキスタン建国の父、ムハンマド・アリ・ジンナーはここカラチに眠っています。パキスタンがインドから分離独立するさい、イスラム教徒とヒンドゥー教徒との間で多くの犠牲者を出す大規模な衝突があり、これが現在まで続く印パ関係悪化の遠因になっています。第二次世界大戦後のことです。
   

     
ジンナーの柩
建物の内部はとても広く、ドーム天井も見上げるほど高い。その真ん中の銀の柵で仕切られた一角にジンナーの柩がありました。四方の壁に開けられた明り取りの窓は幾何学模様の格子で縁取られ、射し込む光が描く影が床に美しく映えます。静けさともあいまって荘厳な印象があり、宗教的とも感じられる空間です。ムガール帝国の皇帝廟も素敵でしたが、こちらもまったく引けをとりません。何より、パキスタンの人々がジンナーのことを本当に大切に思っているのが伝わってきて、ジーンときました。
     

     
中国製シャンデリア
建国以来数度にわたりインドと戦火を交えたパキスタンは、「敵の敵は味方」との論理に基づき中国との関係を強化してきました。パキスタン航空の成田→イスラマバード線は北京経由となっています。このシャンデリアも中国から贈られたものです。そう思って見ると、どことなく中華風でしょ。ところで、警護のためにパキスタン軍の衛兵が柩の四方を固めています。一見仰々しく思えますが、別に敷居が高いわけではなく、この通り一緒に写真にも写ってくれます。さすがに笑ってはくれませんけどね。
     

 
街角の風景から
 


       
 
通勤ラッシュ
カラチと他の都市との最大の違いがこれでしょう。4車線ある道路をぎっしりと埋め尽くす車の群れは東京やニューヨークなどの大都会となんら変わるところがありません。
 
国立博物館
モヘンジョダロからの出土品が見もの。そうです、あの下手な動物像とか下手な人物像とかが楽しめるってことです。あ、思い出すだけで笑いがこみ上げてくる。
 
ギンギラバス
パキスタンきっての都会でありながら、ギンギラバスはカラチが一番派手。装飾用の塗料を売る店もカラチに集中しているのだそうです。競争が激しいんですね。
 

       
 
航空会社銀座
オマーン航空やカタール航空といった、日本ではなじみのない航空会社のオフィスが軒を連ねていました。こうした景色を見るのも海外旅行の楽しみのひとつです。
 
観光馬車
ホテルを出たところで「兄ちゃん、馬車で観光しないかい? 安くしとくよ」とオヤジさんからずいぶんと勧められました。時間に余裕があれば、これで市内一周も楽しそうだなあ。
 
コーラン
日本ではよくホテルの部屋に聖書が置いてありますが、パキスタンではもちろんコーラン。しかも対英語訳付き。面白いけど、一晩じゃ到底読み終わらないよ。
 


   

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