ゾンダーメタルプラント

   高純度のゾンダーメタルを精製すべく機界四天王およびパスダー機界31原種が、幾度か創り出した樹木様の巨大な物体で、これまでに北海道苫小牧の粒子加速器イゾルデ東京都臨海工場区域に出現したグランドノヴァ、機界四天王最終作戦時のコントラフォールなどでその存在が確認されている。また機界31原種は自らの体内にゾンダーメタルプラントと同様の機能を備えており、ZX−05は体内で精製したゾンダーメタルを観光客と融合させてGGG機動部隊を苦しめた。
   熱エネルギィ、運動エネルギィなどを無尽蔵に吸収し、そのすべてをゾンダーメタルの精製に費やしている。そのため、基本的にゾンダーメタルプラントは一度ゾンダーメタルが完成するとその精製機能を失うようだ。活動時にはゾンダーメタルと同様に大量の素粒子Z0を放出する。
   ゾンダーメタルが精製される過程は、地球の樹木が花を咲かせ、実を付ける過程と良く似ており、実際ゾンダーメタルの完成が近づくと、ゾンダーメタルプラントに一斉に花が咲いたとの報告もなされている。また地球の樹木が果実を付けるまでに多少の時間を要するように、ゾンダーメタルプラントも膨大なエネルギィと時間をかけてゆっくりとゾンダーメタルを精製していく。このときエネルギィ量と精製に要する時間は反比例の関係にあり、エネルギィ量が多ければ多いほど、精製時間は短くなっていく。機界四天王最終作戦時にはプリマーダとポロネズの加速エネルギィを用いて24時間足らずのうちにゾンダーメタルの精製に成功しているが、パスダーは地球に落下した際、その存在を気取られぬように、低いエネルギィレベルでゾンダーメタルを精製したため、24個のゾンダーメタルを精製するのに、実に2年あまりの歳月をかけている。
   ゾンダーメタルは特に機界四天王らにとっては、銀河の辺境である太陽系への遠征軍である彼らの貴重な戦力である。地球という惑星にあって、思うままに戦力を編成できない機界文明にとってゾンダーメタルの確保と精製はGGG殲滅と同等に重要な課題であった。
   ゾンダーメタルの確保と素体の獲得は多くの場合、別個の作戦として遂行されてきたが、東京における機界四天王最終作戦においては、その両作戦の同時遂行を謀っている。即ち一千万都民を素体として拘束しつつ、東京タワーを中心にゾンダーメタルプラントを建造することで、ゾンダーメタルの完成と同時に一千万のゾンダーを誕生させようとしたのだが、これは全てのゾンダーメタルを失った機界四天王が瀬戸際に追いつめられていた結果でもある。ゾンダー胞子を生み出せない機界四天王にとって、ゾンダーメタルを失うことは、それ即ち地球侵攻作戦の失敗である。マスタープログラムのコマンドを完遂すべく存在する彼らにとって、作戦の失敗は彼らの存在そのものの意義を喪失することに他ならない。最後の作戦に臨んだ機界四天王の胸中は如何ばかりのものであったか。我々には知る由も無いが、彼らの執念がGGG機動部隊に空前絶後の苦戦を強いたのは疑い得ない事実であろう。