「架空の庭」の入り口へ 

Comics1

漫画の中のジャズ

漫画の中に使われたジャズ等のご紹介をしています。漫画の中のクラシックはこちらへ。「詩・小説」はこちらへ。

 

時の過ぎゆくまま/As Time Goes By(ハーマン・フプフェルド作詞・作曲)

主人公の歌手ノムラ・アサコは、玉の輿に乗った友人に招待され遊びに行くのだが、そこで事件に巻き込まれ……。作中ではピアノの伴奏で、主人公の友人が歌っている。映画『カサブランカ』に使用されたことで有名な曲。ジャズアレンジでの演奏も多い。

曲をお聴きになりたい方は、「PAYA'S WEBSITE」(管理人・payaさま)のmidiのお部屋へ。

(森川久美 『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』 角川書店 収録の同名短編)

ブルームーン/Blue Moon(ロレンツ・ハート作詞 リチャード・ロジャース作曲)

売れないロックバンドをやっている三人は、飲み屋での代金を毎回ごまかしてツケにしている。そのツケが三万を超えたころ、飲み屋のママさんに頼みごとをされるのだが、それは、彼らにママさんの唄の演奏をしてほしいというものだった。小さなライヴハウスで行われたコンサートに集まってきたのは、招待客のみ。そして、演奏されるのは、ジャズのスタンダードナンバー。他に「四月の思い出」「ベルベット・フォグ」「ダイナ」「マイプレイヤー」も登場。

(大友克洋 『さよならにっぽん』 双葉社 収録「East of The Sun,West of The Moon」)

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン/Fly Me To The Moon(B・ハワード作詞・作曲)

原タイトルは「イン・アザー・ワーズ(言いかえると)」。「私を月まで飛ばして、星たちの間で遊ばせて。……言いかえると、私の手を取って、キスしてほしいの」というラブ・ソング。竹宮恵子氏のアシスタントが、この歌の歌詞を「私を月まで連れてって!」と訳したのがこの作品のはじまりらしい。作中で主人公(宇宙飛行士)がこの曲を口ずさむシーンがある。

(竹宮恵子 『私を月まで連れてって!』 中央公論社)

スイングしなけりゃ意味ないね/It Don't A Thing(A・ミルズ作詞 エリントン作曲)

萠子は「ふけてる。」と言われる17歳。クラスメートの由季が気になるが、友達の距離を保ったままだ。由樹は「フツー」の家の子。遅くなるときには、家に電話を入れるような。
そして、それが萠子には苦しくてたまらない。会社を大きくすることばかり考えている父親。外に恋人がいる母親。高3になっても進路の決まらない自分。だから、どうしても由季との距離を縮めることにためらってしまう……。
「スイングしなけりゃ意味ないね」は、デューク・エリントンの最もポピュラーといえる代表作。

(宮川匡代 『エチュード』 集英社)

ペイパー・ムーン/It's Only A Paper Moon(ビリー・ローズら作詞 H・アーレン作曲)

「絵に描かれた海を渡る紙の月もあなたが信じてくれれば、本物になる」といった歌詞がついている。この作品では、直接歌詞は出てこないが、さまざまなところにモチーフとして登場する。

主人公は小説家で、彼の小説「紙細工の街」が映画化されることになるのだが、その主役となったのは、ひどくわがままな天才少女だった。彼女が好きな映画が「ペイパームーン」。

(川原由美子 『ペイパー・ムーンにおやすみ』 講談社)

茶色の小瓶/Little Brown Jug(ジョセフ・E・ウイナー作曲)

題名の「茶色の小瓶」は、ミネソタ大学とミシガン大学の間に行われるフットボールの対校試合のときに、勝利チームに送られるトロフィーのことらしい。グレン・ミラー楽団による演奏が有名。

染視病という奇病がはびこる近未来社会。響(ひびき)はある日、海(カイ)という不思議な少年に出会う。彼は染視病への特効薬を持っており、響にWETを探していると告げた……。
「空中庭園」は、海が響と出会う前の物語。

(江ノ本瞳 『セシリア・ドアーズ』 新書館 収録「空中庭園」)

ミスティ/Misty(ジョニー・バーク作詞 エロール・ガーナー作曲)

主人公の人気D・J、ドナルドの番組に何度もリクエストされる曲「メロディ」。そのことを知ったドナルドの友人たちは、クリント・イーストウッドの「恐怖のメロディ」を思い出す。映画の中で、D・J役のイーストウッドが熱狂的なファンの女性からリクエストされる曲が「ミスティ」。

曲をお聴きになりたい方は、「PAYA'S WEBSITE」(管理人・payaさま)のmidiのお部屋へ。

(山下友美 『モンスターD・J』 白泉社 収録「追憶のメロディ」)

ムーン・リバー/Moon River

東京の美大に入学した竹本は、現在2年生。築25年のアパートに住み、友人やおかしな先輩たちとそれなりにうまくやっている。

ある日、美大の教授のいとこの娘・はぐみと出会い、彼女に一目ぼれする竹本だが、彼女を見ているうちに自分の将来が宙ぶらりんなことに気づいて……。

この曲は登場人物のケータイの着メロとして登場。なぜその曲を設定したのかは、実際に読んでご確認を。 他に「マイ・ウェイ」も登場する。

原詩は、こちらへ。

(羽海野チカ 『ハチミツとクローバー』 集英社)

サマータイム/Summertime(D・ヘイワード作詞 G・ガーシュウィン作曲)

長野で開催される夏の音楽祭のセミナーに参加することになった主人公たち。そこへの車中で、ティンパニー奏者が歌った曲。曲の詳細はこちらから。作中に「ラプソディ・イン・ブルー」も登場する。

(二ノ宮知子 『のだめカンタービレ』 講談社)

星に願いを/When You Wish Upon a Star(Ned Washington作詞 Leigh Harline作曲)

ある事情があって時の隙間に入り込んでしまった初音。そこでは「時のないホテル」が彼女を待っていた。そのホテルから過去や未来に行けることを聴いた彼女は、自分の過去を変えにいこうとするのだが……。連作短編集。

曲をお聴きになりたい方は、「poco a poco」(管理人・なごみさま)のMIDI→ディズニーへ。

(山口美由紀 『踊り場ホテル』 白泉社)

You're Just an Old Antidisestablishmentarianismist(Duke Ellington)

仕事を辞め、兄の家に居候になることになったダドリー。ある計画を実行しつつ、そこで暮らすうちに兄の家族が抱えるさまざまな問題を目の当たりにすることになる。すれ違いの続く夫婦、セラピストのところに通う娘、夜中家を抜け出して仲間と遊ぶ少年……。そして、同じ時期に兄の家に預けられている子どもも、問題を抱えていた。

デューク・エリントンのこの曲は、ダドリーが酒を飲みに行った際、友人の一人がピアニストに酒と交換にリクエストした曲。

原詩はこちらから。曲の冒頭をお聴きになりたい方は、「Sony Music Store」

(三原順 『X Day』 白泉社)