何 を 話 そ う か

8月号


天の川地の川

 天の川が「銀河」と呼ばれる星の大集団であることはよく知られています。『北上夜曲』の歌詞には「銀河の流れ 仰ぎつつ/星を数えた 君と僕」とあります。でも最近は、街の中では街灯やネオンが明るすぎて、その姿を望むことができません。星そのものが見えにくくなっています。
 普通、私たちが棲む太陽系を含む銀河を「銀河系」、その他のものを「系外銀河」または単に「銀河」と呼びます。銀河系は直径が10万光年、厚みが1.5万光年の渦巻構造をしています。ちょうど、クモヒトデを回転させたような格好ですね。そこには二千億個の恒星と多量の星間物質が含まれています。そして、われわれの太陽系はその銀河の中心から約28万光年離れたところに位置します。
宮沢賢治研究家の斎藤文一氏によると、8月15日頃の午後8時に北上川の河畔に立って南天をのぞみますと、天の川が北上川にまっすぐに流れ落ちるそうです。『銀河鉄道の夜』の列車はこの幻想領域を北十字(白鳥座)から南十字まで駈抜けたのです。
ちなみに最後のほうでこの列車に乗り込んできた青年と小さな姉弟は、話題になった映画のタイタニック号に乗合わせていて事故にあった人たちです。