定義:ユークリッド空間Rnにおける直交補空間 orthogonal complement, orthogonal complementary space

舞台
設定

R 実数体R  
Rnn次元数ベクトル空間 
v1, v2n次元数ベクトル
   具体的に書くと、v11, v12, , v1nRとして、v1=( v11, v12, , v1n )n  
           
v21, v22, , v2nRとして、v2=( v21, v22, , v2n )n  
v1v2n次元数ベクトルv1,v2自然な内積
     これによって、
n計量実ベクトル空間となる。 
v‖:計量実ベクトル空間Rnにおけるユークリッドノルム
           (
自然な内積を用いて定義される) 
d (v1,v2)ユークリッドノルムから定められたユークリッド距離  
Rn,d):n次元ユークリッド空間  
W :n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間  

[文献]
佐武
線形代数学』V§3(p.101);
木村『線形代数3.5(p.66);
柳井竹内
射影行列・一般逆行列・特異値分解』§1.2(p.8);
佐和『回帰分析2.1.4(p.21);
久米『数理統計学1.9.(p.9)

定義

n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間W直交補空間とは、 
  すべての「
W属すn次元数ベクトル」と直交する「Rn属すn次元数ベクトル」の集合のこと。
n次元数ベクトル空間Rn部分ベクトル空間W直交補空間を記号Wで表す。 
すなわち、 
 
W={ xRn | すべてのyWRnにたいして、xy= }  

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  部分空間の正規直交系・正規直交基底の定義/部分空間における正規直交基底の存在と構成

線形代数目次総目次

(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目341ヒルベルト空間C.正規直交系(pp.1006-7)
線形代数のテキスト
ホフマン・クンツェ『
線形代数学I』培風館、1976年。
永田雅宜『
理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、19864.3(p.119);
佐武一郎『
線形代数学(44)』裳華房、1987年。
志賀浩二『数学
30講シリーズ:線形代数30』朝倉書店、1988年。
藤原毅夫『理工系の基礎数学
2線形代数』岩波書店、1996年。
斎藤正彦『
線形代数入門』東京大学出版会、1966年、4章§6計量線形空間(p.123)
砂田利一『現代数学への入門:
行列と行列式2003年、§7.1-(e)直交補空間 (pp.249-250).

数理統計学のテキスト
佐和隆光『
回帰分析 朝倉書店、1979年、。
久米均『
数理統計学』コロナ社、1984年、1.線形代数1.9.直交補空間(p.9)