船舶解体に関するNGOプラットフォーム
2008年11月20日 プレスリリース 船長は舵をしっかりとれ NGOsは、ヨーロッパが世界の船舶解体危機を解決するために 国際海事機関(IMO)の”何も変えない”アプローチを超える行動を 緊急に起こすよう求める 情報源:NGO Platform on Shipbreaking 20 November 2008 The Captain needs to take the wheel NGOs call for urgent action for Europe to move beyond “business as usual” approach of IMO to solve global shipbreaking crisis http://www.shipbreakingplatform.com/index.php?option=com_content&view=article&id=135: The%20Captain%20needs%20to%20take%20the%20wheel&catid=51:breaking%20news 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2008年12月11日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/shipbreaking/NGO_Platform_081120_press.html 廃船(end-of-life ships)の解体のための欧州委員会の新たな戦略は、もし欧州委員会環境委員スタブロス・ディマスがもっと踏み込んで強力に舵をとらないと危険な海域に漂流する恐れがあると、本日、船舶解体に関するNGOプラットフォームは警告した。人権と環境団体の国際的な連合である同プラットフォームは、国際海事機関(IMO)が作成中の国際条約草稿の中に見られる非常に弱い改善をはるかに超える欧州委員会独自の解決を緊急に見つける分別を求めた。欧州委員会の戦略に含まれる積極的な措置に留意しつつ、同プラットフォームは、もしヨーロッパがIMOの先導に従うなら、この10年間の無為の歴史が無限に引き延ばされ、南アジアの船舶解体現場における数千人の労働者の命が日々のリスクにさらされ続けることになるであろうと警告した。 南アジアの子どもたちを含む貧しく生活に困窮した人々の中から集められた労働者らによって現在行われている船舶解体は、国際労働機関(ILO)によって世界でもっとも危険な仕事のひとつとして宣言されている。有害廃棄物を含む欧州船籍の船は、バングラデシュ、インド、パキスタンのような国の海岸で手で解体されている。 ”船舶解体に関するNGOプラットフォーム”として知られる人権と環境の非政府組織の連合は、欧州委員会環境委員スタブロス・ディマスに対して世界の最貧国の人々の人権を脅かし、環境を著しく損なっている現在の解体方法をやめる特別の措置を約束するよう訴えた。 特に、同プラットフォームは、同委員会が船を干潟に座礁させて解体する”ビーチング”と呼ばれる方法を明示的に禁止することを支持するよう求めた。船舶産業界によって支配されている国際海事機関(IMO)によって認められているビーチングは、労働者の安全を確保することができず、さらに船の汚染物質からで海洋環境を守ることもできないので、世界的に非難されている。欧州連合がビーチング手法を完全に拒絶することが非常に重要である。 ”短期的な利益は最早、人の命と環境汚染に優先することはできない。我々は、欧州連合が世界のリーダーシップをとり船舶産業側の’何も変えない(business-as-usual)’アプローチを拒否することを期待している”とNGOプラットフォームのメンバーであるバングラデシュ環境弁護士協会(BELA)のリズワナ・ハッサンは述べた。“我々、バングラデシュは、不道徳で持続可能ではないビーチング手法を直ちにやめ、訓練を受けた大人による適切な技術を取り込む用意がある”。 同プラットフォームは、船舶解体現場の独立した検定と監査を確立するために必要とされる措置と、”汚染者負担原則”に基づく義務的な基金メカニズムの要求に対する欧州委員会の提案を歓迎する。同プラットフォームは、欧州委員会が実施可能性を調査すること以上の措置をとる方向に直ちに動き、それらの措置と原則を完全に約束する必要があることを強調した。義務的な基金寄与は、港湾手数料又は義務的な保険スキームを通じて船舶のIMO登録又は船舶の全ライフタイムを通じての操業に関連付けることができ、現在は開発途上国の環境と貧しい人々の健康の犠牲によって支払われている船舶産業側のコストを内部化するために非常に重要である。同プラットフォームはそのような基金を長年IMO内で主張してきたが、そのような考えはノルウェー、ギリシャ、そして日本のような主要海運国の力によって完全に拒否されてきた。 欧州委員会の『より安全な船舶の解体のための欧州戦略に関する欧州委員会のコミュニケーション』は、船舶解体産業のための国際標準を確立することを目的とするIMOの船舶リサイクルに関する国際条約に先立つものである。欧州委員会は昨日、IMOの改善努力は余りにも少なすぎ、余りにも遅すぎることを示しているかも知れないことを認めた。NGOプラットフォームを含む多くのオブザーバーによれば、IMO提案の抜け穴だらけの条約では、現在の状況を変更することはできないように見える。しかし、欧州委員会内のある部門やいくつかの加盟国は、活動家らが非常に危険であるとみなすこの”世界”の取り組みにEUが従うよう圧力をかけている。 ”IMO条約は、’グリーンウォッシング’(訳注:環境配慮をしているように装い誤魔化すこと)の実践である”とプラットフォームのメンバーであるバーゼル・アクション・ネットワークのジム・パケットは述べた。”それは、基本的な環境権と人権の原則が国連の名の下に、産業側の特別な権益グループによってハイジャックされた政治的な海賊行為である。EUはこのプロセスをこれ以上認めず、知られているメカニズムと製造者責任の原則を通じてこの問題を実際に解決するために、新たに独立独歩の道を歩むことが極めて重要である”。 同プラットフォームは、ヨーロッパの強いリーサーシップなしには南アジアにおける許容することのできない船舶解体の実施はさらに悪くなり、はるかに離れたアフリカ諸国にまで拡大することを恐れている。一重殻(シングルハル)石油タンカーの世界的な廃止のために今後数年間で廃船となる船の数を考え、さらに現在はまだ使用されているが、いずれスクラップとなる老朽船の数を加えると、決定的な規制の必要性は緊急である。 ”世界のリーダーたちはこれ以上は譲れないと一線を画し、先進国からの世界で最も貧しい国々の海岸に有害船を投棄するのはやめるべき時である。欧州連合は、ヨーロッパの船、又は人の健康と環境を保護するためのコストを回避しようとする船主によって貧しい国と人々に押し付けられているリスクに対して、もっと高い基準を設定する必要がある”と同プラットフォームのコーディネータであるイングビルド・ジェンセンは述べた。 備考: NGOプラットフォームは2007年5月に欧州委員会が発表した『よりよい船舶解体のための緑書』を歓迎し、その時に、今年の5月に欧州議会が行ったように、提案された事項のうち下記のような項目について早急に実施するよう要求した。
バングラデシュは現在、最大の船舶解体大国である。プラットフォームのメンバーであるFIDHとYPSAによる最近の調査は、バングラデシュの海岸で船舶解体に携わる労働者の推定20%は15歳以下の子どもであると推定している。 報告書は下記からダウンロードできる。 Childbreaking Yards / Child Labour in the Ship Recycling Industry in Bangladesh (児童解体現場:バングラデシュの船舶リサイクル産業における児童労働) http://www.shipbreakingplatform.com/dmdocuments/reports/Report_Childbreaking_Yards_2008.pdf 欧州連合のコミュニケーション Brussels, 19.11.2008 COM(2008) 767 final COMMUNICATION FROM THE COMMISSION TO THE EUROPEAN PARLIAMENT, THE COUNCIL, THE EUROPEAN ECONOMIC AND SOCIAL COMMITTEE AND THE COMMITTEE OF THE REGIONS An EU strategy for better ship dismantling (より安全な船舶の解体のための欧州戦略に関する欧州委員会のコミュニケーション) http://ec.europa.eu/environment/waste/ships/pdf/com_2008_767.pdf 訳注:関連情報
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