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紹介したい資料(一部未収集のものがあります)

題名 神はわが友


小池辰雄訳
出版社:新教出版社 66頁 発行日:1946/04/20 昭和21(敗戦の翌年) 価格:2円50銭

説明(参考・画像) (参考・翻訳)
ハイジ以外で、もっとも早く日本に紹介されたスピリ作品。また、ドイツ語原典から最初に翻訳されたスピリ作品でもある。
原題「神さまだけを友だちにするものは,至る処で助けられる」「お正月の豆歌手(スピリ全集題名)」
新教出版社の戦後最初の出版。
戦争中の日本国内ではキリスト教が弾圧されていたが、戦後、進駐軍の後押しもあってブームとなる。
また戦争の反動から平和なスイスへのあこがれもあって、この時期、かなり宗教色の強いスピリ作品も紹介されている。


題名 コルネリの幸福

訳 野上彌生子
出版社:愛宕書房 240頁 発行日:1946/09/15 価格:16円

説明(参考画像)
旧かなづかい。英語からの重訳。コルネリの幸福はハイジについで多く出版されたが、それでも現在まで8回にとどまる。(ハイジは絵本やマンガなどをのぞいて120回以上、出版されている)
裕福だが母のいない少女コルネリは父や乳母とのびのびと暮らしていた。しかし父の留守をまかされた叔母たちにより無理解なしつけをうけてゆがんだ性格になりかかる。そこへ町からやってきて乳母のところで病気療養している少年と知り合い、その家庭に一時ひきとられて、温かくされることで本来の明るさをとりもどす。
後期スピリ作品の代表作で、前期の最高傑作ハイジを意識して書かれた作品。
しかし野上弥生子自身は、この作品をさほど評価しておらず、1943年の日記では「コルネリを訳了。(中略)うれしくもなんともない」とある。いっぽう1945年の日記では「子供のものとしてはスピリらしい良さの十分発揮された作品である。(中略)どうしたのか、よんでゐるうち涙が出てしまつた」ともある。


題名 山羊飼ひのモニ スウィス童話集1


遠藤正子訳
出版社:日新書院 153頁 発行日:1946/12/25昭和21 価格:10円(のちに20円に書き換え)

説明(参考・画像) 
佐々木陽子絵 「山羊飼ひのモニ」(参考・翻訳) 「ばら娘」(参考・翻訳) (紹介) 「巻き毛の仔羊」
(スピリ全集題名「羊のゆくえ」)収録
「推薦のことば」山室民子5-7頁、「発行者のことば」山谷太郎152-153頁
旧漢字、旧かなづかい。収録作品はいずれも日本初訳と思われる。2巻目は「アルプスの学校」で、それ以降は不明。
1948/11/30 昭和23に「アルプスの少女」と改題して再販。「発行者のことば」を削除。価格は90円となり、2年で価格が9倍となるハイパーインフレが発生していることがわかる。
この作品集はのちに素村暁子訳として素村書店より発行されたスウィス童話集全三巻と内容、イラストが重複しており、文章はここから一部修正されて使用された。


題名 アルプスの学校 スウヰス童話集2

遠藤正子訳  
出版社:日新書院  170頁 発行日:1948/02/20昭和23  価格:100円

説明(参考・画像)
佐々木陽子絵 推薦の言葉・羽仁説子
「アルプスの学校」「ばつた嬢ちゃん」「サミは小鳥といっしょにどんな歌をうたつたか」所収
2版5/15,3版11/30,4版49/8/15(収集品)
アルプスの学校」(「フランチスカ先生とみなし子」(スピリ全集題名)は、シンプロン峠に近い深い山の学校に女性の先生がやってきて、子供たちに慕われ、やっかいものあつかいだった少年に優しい心と絵の才能を見出して、可能性を引き出す物語。

トリッテンのハイジの続編「それからのハイジ」の中の後半の主要エピソードはこの物語から流用されている。


題名 さすらひの子

秋山淳訳
出版社:宝雲舎 159頁 発行日:1948/01/15昭和23 価格:50円

説明(参考・画像)
うちで,そしてまた外で」「はんの木屋敷の少女(スピリ全集の題名)」として原著欄で紹介
捨て子で農場で働くレンツと、隣の農場の娘マルグリットは仲良しで毎日楽しく一緒に牛の番をしていた。しかしレンツはふとしたことで他の農場にまわされてしまう。レンツは優しかった前の家とマルグリットが忘れられず仕事中にしばしば抜け出してしまう。評判の悪くなったレンツは村中からやっかいもの扱いされ転落していきそうになるが、マルグリットのはげましによりたちなおる。そして元の農場にレンツは帰ることができるのだった。
大人のささいな無理解が誠実な少年を非行においやる過程を描いている。


題名 コルネリの悦び わかくさ文庫

訳 永田義直  
出版社:嫩草書房(わかくさしょぼう)  285頁 発行日:1948/10/20昭和23  価格:130円

説明(参考・画像) 
前年にハイジを手がけた訳者の次作。ハイジが好評だったようである。


題名 アルプスの少年 ヒナタ社少年少女名作文庫

訳 白木茂(1910-1977)  
出版社:ヒナタ社  154頁 発行日:1948/11/01昭和23  価格:95円

説明(参考・画像) (参考・翻訳)
芳賀まさを絵 「アルプスの少年(やぎ飼いのモニ)」「コルネリの秘密(コルネリの幸福)」所収
白木茂はスピリ作品翻訳の代表者のひとり。簡略訳。


題名 アルプスの風の中に

勝見勝訳(1909-1983) 石川滋彦絵
出版社:桐書房 207頁 発行日:1948/11/25昭和23 価格:100円

説明 (参考画像)
ヴィーゼリの道はどうして見つかるか」 「ヴィーゼリの幸福(スピリ全集の題名)」として原著欄で紹介
気弱な貧しい少女ヴィーゼリは孤児となり、別の家庭に引き取られて多くの家事をさせられ辛い生活をおくる。やがて村の中で強盗殺人未遂事件が発生し、ヴィーゼリは被害者の誠実な中年男性の看病をすることになる。それまで働いたおかげでヴィーゼリはすべての家事をてきぱきとこなせるようになっていた。この男は大変良い人で少女の母親に恋していたが、思いは通じずその後村のすべての人々から好かれつつも一人でくらしていた。やがて事件は解決し、ヴィーゼリは看病した男に、養女として引き取られ幸せになる。
この作品は、スピリの少女時代のフローニとの思い出などが反映していると思われる。当時の村社会や治安維持の様子なども興味深い。作中に引用されている詩はハイジにも使用されている「Befiehl du deine Wege」で、ヴィーゼリはこの詩を心の支えとして、毎日の苦労をのりこえていく。


題名 アルプスに立つ虹  雑誌「小学6年生」12月号別冊付録3


白木茂 訳 沢田重隆 絵
出版社:小学館 36頁 発行日:1949/12/01昭和24 価格:65円(本誌とも) 68円(地方 本誌とも)

説明 (参考画像)
前記の「はんの木屋敷の少女(スピリ全集の題名)」の短縮版。小学生雑誌の付録。
「美しい自然にかこまれて、ふたりは、またむかしのように、すくすくとそだていくことでしょう。」と巻末で紹介


題名 バラの乙女

小池辰雄訳
出版社:新教出版社 発行者 長崎次郎 173頁 発行日:1950/06/15昭和25 価格:120円

説明 (参考画像)
「原本 1910年 Carl Hirsch,Buch=Kunstverlag」より翻訳
「まえがき」1-2頁、「バラの乙女」(参考・翻訳)5-72頁、「神は我が友」73-146頁(原著から各挿絵2枚あり)、「スピーリの生涯」(作者伝記・訳者執筆)147-168頁
「神はわが友」はこの欄冒頭の本の再録。
巻末にスピリ伝記が収録されている。前年に雑誌に発表された内容が基になっている。スピリの伝記は日本では数少ないがその中で最初の紹介と思われる。参考


題名 マクサの子供たち

中村妙子訳
出版社:新教出版社 173頁 発行日:1950/07/15昭和25 価格:120円

説明 (参考画像)
桜井悦絵 序・植村慣一 「ヴィルデンシュタイン城」「ふしぎな城(スピリ全集題名)」として原著欄で紹介
スピリの後期代表作の一つ。抄訳。上記の「バラの乙女」と姉妹編として装丁されている。
父はないが裕福なマクサ家の5人の子供たちが、幽霊がでるという古城を探検するお話。不気味だった城は最後には明るく楽しい場所となり、みんなが幸せになる。スイスの貴族階級と村人との付き合い方など興味深い。


題名 少女コルネリ 雑誌 少女世界ふろく


堀寿子訳
出版社:少女世界社 132頁 発行日:1953/07/01 

説明 (参考画像)
さしえ日向房子 簡略訳 


題名 アルプスの山の少女  世界少年少女文学全集. 17(ドイツ編 4) 重複紹介


訳 : 植田敏郎
出版社 : 創元社  400頁 発行日:1953/11/30 価格: 380円

説明 (参考画像)
図版 朝倉摂絵 ハイジ7-354・ひつじ飼いの少年モニー355-392・解説393-400頁収録

ハイジの本としては、
はじめての堅牢な大型の本
ハイジの代表的紹介者・植田敏郎訳の最初と思われる。
「ひつじ飼い」というところは明らかな誤訳だが、スピリの短編代表作「モニ」の日本最初の翻訳と訳者が紹介している。
(正確にはモニの初紹介は1946年のスイス童話集1に収録されている遠藤正子訳である。)

河出書房で1962/05/10に再版されたものと同じ。河出書房の版は、活字の版形そのものを流用しているのは出版社の経営難が反映されている?。


題名 リンゴの木の下で  ロビンブックス26


高田爾郎訳
出版社:河出書房 179頁 発行日:1955/10/15 昭和30 価格:70円

説明(参考画像) (内容紹介)
東山紗智子絵 原題「ティトスおじさんの夏の転地」「星への祈り(スピリ全集)」「アルプスの白ゆり」「ドーラの五つ星」とさまざまな題名がつけられて紹介されている。
スピリの代表作の一つ。


題名 アルプスの少年 世界名作全集 123


植田敏郎訳
出版社:講談社 309頁 発行日:1955/12/20昭和30 (1956/昭和31 再版) 価格:200円

説明 (参考画像)
「グリトルの子どもたち」の日本初訳と思われる(抜訳) 2006/11内容確認
はじめと終わりにかなり詳細な説明がある。
「この物語について」植田敏郎1-3頁 「解説 原作者と作品について」那須辰造302-309頁 凾付・口絵あり 

高畠華宵(たかばたけかしょう)挿絵
 


題名 ドーラの五つ星


中村妙子訳
出版社:新教出版社 241頁 発行日:1956/10/01昭和31 価格:200円

説明(参考画像) 説明
川島はるよ絵 原題「ティトスおじさんの夏の転地」 「まえがき −お母さま方に−」1-2頁に訳者の作品紹介あり。


題名 アルプスの少年 世界少年少女名作選集


谷村まち子訳
出版社:同和春秋社 251頁 発行日:1957/昭和32 価格:283円

説明(参考画像)
外山えみ子・挿絵 詳細未確認


題名 アルプスの学校 世界名作絵物語 雑誌「小学三年生」(連載)


平井芳夫・文 藤井千秋・絵
出版社:小学館  発行日:1957/04-10 昭和32 価格:

説明(参考画像)
4月号はオールカラー。


題名 コルネリの幸福 角川文庫


野上弥生子訳
出版社:角川書店 206頁 発行日:1959/07/20 価格:70円

説明(参考画像)
愛宕書房の再版 新かなづかいに改定されている。角川文庫の中でもっとも手に入りにくい一冊らしい
(参考 絶版文庫三重奏)


題名 ヴィルデンシュタイン城 少年少女文庫


谷村まち子訳
出版社:中央出版社 251頁 発行日:1959/07/10 昭和34 価格:200円

説明(参考画像)
発行者 聖パウロ修道会 「ふしぎな城(スピリ全集題名)」として原著欄で紹介


題名 コルネリの幸福 世界少女名作全集 ; 8


富沢有為男編著  説明
出版社:偕成社  210頁 発行日:1959  価格:380円(1974年重版価格) 480円(1980年再販価格)

説明(参考画像)
武部本一郎絵 解説富沢有為男 小学3-5年向 カラー口絵8頁

このシリーズは他に、「ハイジ」と「アルプスの白ゆり」を収録している。
後に構成を変えて、1980年頃まで、数回再版された。画像は1980年版


題名 天使の歌 世界児童文学全集 ; 20


高橋健二訳編
出版社:あかね書房 301頁 発行日:1960/07/15 価格:350円

説明 (参考画像) (参考説明)
(原題・グリトルの子どもたち)辰巳まさ江絵 短縮版

ハイジに次ぐスピリの代表作。ここに登場する少女ノラは、クララよりもさらに病弱。
スピリの子供向け作品の中で、もっとも悲劇的色彩が強い作品。


題名 巻き毛の小羊 スウィス童話集. 1 (全三巻)


素村暁子訳
出版社:素村書店 156頁 発行日:1961/11/11 価格:210円

説明(参考画像)  佐々木陽子絵 
「巻き毛の小羊」「みなし子ティス」「小さな苺娘」の三作を収録。
いずれもスピリらしい好作品。巻末に「スウィスの歴史」あり。

2巻収録作品 「アルプスの学校」「バラ娘」
巻末に
(1・教育制度について 2・アルプスの学校、大都市と村の学校 3.村の生活と小学生のことを中心に 4・アルプスの花花)
3巻収録作品 「山羊飼いのモニ」「ばった嬢ちゃん」「サミは小鳥といっしょに、どんな歌をうたったか」
巻末に(小さいけれど変化に富んだ国 原作者について・スウィスに関する本)

単なる童話集ではなく多方面から見たスイスを紹介している特徴あるシリーズ。


題名 ぼくたちの仲間 スピリ少年少女文学全集2 (全十二巻)


大畑末吉訳 岡本喜久司絵
出版社:白水社 281頁 発行日:1961/12/20 価格:350円

説明 シリーズ説明
「グリトルの子供たち第1・2部」の合本。
ドイツ原典からの完訳。
この全集は「子供と子供を愛する人のための物語」全16冊と青年向け代表作「ドリ」を網羅的に紹介したもの。
スピリに関する作品紹介としては決定版に近い。(青年向け作品はまだ9冊15作品が日本未紹介)
早々に絶版となって入手が極めて困難なのが惜しまれる。
題名が独自につけられていて作品を混同しやすいため右記リストを参照ください(スピリ全原著)


題名 やぎかいのもに


谷村まち子訳編
出版社:女子パウロ会 79頁 発行日:1973/04/20昭和48 価格:350円

説明(参考画像)
小坂しげる絵 「このお話をよんで」(解説・みよし・さとる)
ひらがなだけの幼児むけの本。文字が主体で絵本ではない。


題名 リサちゃんとこひつじ


宮下健三訳
出版社:女子パウロ会 142頁 発行日:1973/07/20昭和48 価格:550円

説明(参考画像)
矢野滋子絵 再販1974/07/
20 あとがき・宮下健三 おとなのかたへ・編集部

この作品の他訳の題名は「巻き毛の仔羊」「羊のゆくえ」(スピリ全集題名)


題名 ドリ−の幸福 マ−ガレット文庫世界の名作 ; 23


中川芳子,上崎美恵子作
出版社:集英社 180頁 発行日:1976/02/05 価格:580円

説明(参考画像)
監修:石坂洋次郎他
「ドリ」として、原著欄に記載。スビリの代表作の一つ。
もともと青年向けの作品。翻訳紹介されているスピリ作品では珍しく、結婚問題を扱っている。

他にこのシリーズで、「コルネリの幸せ」塩谷太郎著 も収録されている。


題名 バラのレ−スリ ドイツ名作対訳叢書XV


星野慎一
出版社:第三書房 63頁 発行日:1979/07/30 価格:500円

説明(参考画像)
記載データは第五版の内容(初版不明) 
1988/01発行と国会図書館データに記載。
おそらく消費税の導入による価格改定により、出版日付データが混乱したものと思われる。
典型的なスピリ作品で、現在でも入手可能 説明


題名 アルプスの白ゆり 少女名作シリーズ23


訳 白木茂  説明
出版社:偕成社  154頁 発行日:1973  価格:480円(1979年重版価格)

説明(参考画像)  説明
石田武雄絵 原題「ティトスおじさんの夏の転地」 小学3-5年向 収集品は1979の重版。最初の出版は1959年。
この版以降、ハイジ以外の一般向けのスピリ作品は出版されていない。
(岩波書店の野上弥生子全集を除く)



総 評


 スピリ作品は数多いのですが、ハイジ以外の作品は、現在、日本ではほとんど市販されていません。
 そのため接するのはとても困難ですが、古本や、図書館に収蔵されているもので内容確認してみました。
 
 とりあえず、翻訳されているもののうち、約半数の作品(全作品の1/4)を一読してみました。
 やはり、ハイジがスピリの最高傑作のようですが、どの作品も作者の人柄をしのばせるものであることは間違いありません。(その後、スピリ全集がすべて参照できました。2004)
 

 しかし、長短編あわせて46あるスピリ全作品のうち、一度も日本に紹介されていないものが15作あります。
(ハイジ・グリトル・ドリの初版は上下巻、別々に出版されているが、合わせて一作と計算)

 あまりにも、ハイジただ一冊のみが突出しているのは、ハイジという物語を理解する上で、逆に障害とはならないでしょうか?
 
 またハイジ以外の作品の絵本などは出版されていないようです。

2003/02

 「コルネリの幸福」でマンガ作品が確認できました。
 おそらく絵本かマンガがあるとすると、この作品の可能性が強いと思われてましたが、ようやく見つかりました。チョナンさま情報提供ありがとうございました。

2006/2/3


題名 りんごのねがい −世界名作 雑誌「なかよし」ふろく

マンガ・オオトモヨシヤス 
出版社:講談社  64頁 発行日:1957/06/01昭和32  価格:雑誌付録

説明 (参考画像)
「コルネリの幸福」のマンガ作品。
ハイジ以外のスピリ作品で確認できた唯一のマンガ作品。
翌月の付録は「ふたりのロッテ」を予定している。

「りんごのねがい」とは「すずなりになった、りんごは、なにをねがっているのでしょう。それは、みんなに、おいしくたべてもらうことなのです。」と最終章にある。




題名 フローニの墓に一言  「Kindle版」

訳 田中久三(ペンネーム) イラスト 江ノ島ナミ
出版社:Amazon  66頁(推定) 発行日:2014/0
1/25  価格:250円

説明 (参考)
スピリのデビュー作「フローニの墓の上の一葉」の日本初訳。
2016/03現在は、配信が停止され購入できない。
ペンネームは違うが、同じ訳者による下記の短編集に、大幅に加筆訂正して収録されている。

訳者による内容説明では「ヨハンナの初期の作品はあまりにも説教臭くて一般読者向きではない。(中略)こんな辛気臭い話がヨハンナの処女作と知れたら、絵本も映画もアニメも売れなくなってしまう!だから自然と放置され、そのまま忘れられていたのだ。」とある。
また、訳者のブログによると、ドイツ語は専門家ではなく、その実力は「フローニを訳した頃はほんとひどかった。」そうである。小額とはいえ商品として購入した方は、お気の毒でした。


題名 ヨハンナ・シュピリ初期作品集

訳 田中紀峰(ペンネーム)
出版社:夏目書房新社  292頁 発行日:2016/03/24  価格:1800円

説明
1873年の初期作品5作をまとめた「迷って、見いだされて」を訳出し、かなり長文の解説がつけられている。情報的価値はあるが、残念ながら、おすすめしません。

訳者の自己紹介によると「歌人」で「該博な知識」も持たれているそうです。「歌人・詩人」とは、作品に感銘をうけた第三者が贈る賞賛です。自称すると「自画自賛」になりかねない危険な言葉なのです。