Web-Suopei  生きているうちに 謝罪と賠償を!

平頂山事件・解決への提言

平頂山事件の最終解決をめざして

 平頂山事件の裁判は、残念ながら上告棄却で終わりました。しかし、この10年間の訴訟の中で獲得した貴重な成果があります。一つは、旧日本軍による住民虐殺の事実が認められたこと、二つめは、日中間の市民レベルでの信頼関係が構築されてきたことです。
 私たちは、これらの成果をもとに、日本政府に対して、平頂山事件の事実を認めさせ謝罪をさせること、その謝罪の証しとして虐殺の現場に謝罪の碑と陵園をつくらせること、平頂山事件の教訓を次の世代に伝えていくことを求めていく決意です。
 私たちには、平頂山事件を学ぶ会を開いていただければ、全国各地にビデオ・資料等を持参して弁護士等が出向きます。二度と同じ過ちを繰り返さないために も、平頂山事件の事実を広め、日本政府が責任を認める声をより一層強めていこうではありませんか。

 

 2006年5月

 (弁護士 川上 詩朗)

平頂山事件訴訟解決へ向けた要求書

日本政府は、

平頂山事件の事実と責任を認め、幸存者及びその遺族に対して公式に謝罪を行うこと。
謝罪の証として、
日本政府の費用で、謝罪の碑を建てること。
日本政府の費用で、平頂山事件被害者の供養のための陵園を設置・整備すること。
平頂山事件の悲劇を再び繰り返さないために、事実を究明しその教訓を後世に伝えること。

2005年

楊宝山
莫徳勝
方素栄

 

ロシア軍によるウクライナの民間人虐殺報道を受けての緊急声明

 ロシア軍によるウクライナへの侵攻が続く中、ウクライナの首都キーウ(旧称キエフ)周辺に展開したロシア軍が、ウクライナの民間人を多数殺害していたという報道がなされている。現在ロシア政府は民間人虐殺を否定しているものの、現時点で公表されている報道写真や証言などから、戦闘員とは思われない、移動中ないし無防備の民間人が、ロシア軍の侵攻後、多数殺害されていることは紛れもない事実と判断することができる。
 ロシアによるウクライナへの侵攻は、ロシア政府によって、NATOの東方拡大への対抗措置や東部の親ロシア派地域の「治安維持」などの理由が述べられているものの、他国への一方的な軍事侵攻であることにかわりはなく、国際法に違反した明らかな侵略行為である。さらに無防備の民間人を殺害することは、たとえ戦闘中であっても決して許されるものではない。今回のロシア軍によるウクライナ民間人に対する虐殺行為は、ジュネーブ条約に違反し、人道に対する罪を構成するのであって、どのような理由があろうと到底正当化することは許されない。

 私たちは、1932年9月16日、当時日本の傀儡国家であった「満州国」の撫順市で発生した旧日本軍による中国の民間人虐殺事件である平頂山事件について、奇跡的に生き延びた生存者が日本政府に対し提起した裁判を支援し、彼らの要求を実現するため、日本政府に対し、事実を認めて被害者に謝罪し、事件を後世に伝えるよう要求している。
 戦前日本は、満州(中国東北部)を「わが国運発展のため最重要なる戦略拠点」「満蒙権益」などとして、1931年9月18日、関東軍自作自演の満鉄線爆破事件(「柳条湖事件」)を起こし、「自衛のため」と称して中国への本格的な軍事侵略を開始した。そして、1932年9月15日に傀儡国家「満州国」を承認した。平頂山事件は、抗日義勇軍が満鉄の経営する撫順炭鉱を襲撃して日本側に大きな被害が生じたことをきっかけに、抗日義勇軍が通過したことを日本軍に通報しなかったという名目で、当時平頂山地区に住む何の罪もないおよそ3000人の民間人が一か所に集められ、旧日本軍によって殺害されたという極めて凄惨な事件である。事件後、旧日本軍への非難が国際的に沸き上がったとき、当時の日本政府は国際連盟において、平頂山事件は抗日義勇軍の掃討時に民間人が巻き込まれただけだと発表した。そして戦後現在に至るまで、日本政府は、平頂山事件が旧日本軍による計画的な民間人虐殺だったという事実を認めず、戦前の発表を正式に撤回もしていない。つまり日本政府は現在も公式には平頂山事件の真実を認めていない。
 私たちは、ロシア政府による、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の承認と両国からの要請による治安維持のための軍事行動という言い分や、軍隊が無防備の民間人を大量虐殺し、事実を指摘されるや「フェイクニュースだ」と言い張って事実そのものを認めない態度が、中国を侵略した戦前の日本及び現在に至るまで平頂山事件の事件を認めない日本政府の姿勢と重なって見える。今回のロシア軍によるウクライナの民間人虐殺事件を、遠い国で起きた他人事であると等閑視することは到底できない。

 むろん、歴史的にみれば、他国に侵攻した軍隊による民間人虐殺は旧日本軍やロシア軍に限らない。第二次世界大戦中のナチス・ドイツの占領地における虐殺行為、アメリカのベトナム戦争におけるソンミ村虐殺やイラク、アフガン戦争による「誤爆」と称する民間人虐殺など、歴史上、大国の侵略戦争による民間人虐殺は枚挙にいとまがない。
 しかし、それゆえに戦争にとって民間人の犠牲はつきものであるとか、仕方のなかったことなどと諦めの態度をとることは、国連憲章や日本国憲法前文、同9条で示されてきた、理性獲得へと至る長い歴史の積み重ねを根底から覆し、人類を野蛮のみちへと引き戻しかねない。そしてその行き着く先は、核戦争であり、人類絶滅のへのみちである。
 私たちは、どのような理由があろうとも、他国への侵略や無防備の民間人殺害を正当化してはならない。私たちは、いかなる理由があっても戦争に反対する。
 
 私たちは、ロシア政府に対して、即刻ウクライナから軍隊を撤退させるとともに、今回の民間人虐殺事件の真相を究明して、加害者を罰し、被害者に対して責任をとるよう強く求める。そして、日本政府に対しては、ロシア軍によるウクライナへの侵攻をこれまで以上に非難するとともに、わが国として、ロシア軍の侵攻が続く現在はもとより、過去も、そして未来も永遠に、軍隊が民間人を殺害することは決して許さないことを、わが国の国是として公式に表明するよう強く求める。
 
  2022年4月7日
  撫順から未来を語る実行委員会
  平頂山事件の勝利を目指す実行委員会
  平頂山事件弁護団
 

 

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