Web-Suopei  生きているうちに 謝罪と賠償を!

中国人戦後補償Q&A

Q1 戦争被害の問題は、日中間で解決済みでは?

 A:1972年の日中共同声明により、中国は日本に対する損害賠償請求を放棄しました。日本政府はそれを根拠に「問題はすでに解決済みだ」と主張しています。しかし、日中共同声明には個人請求権を放棄するという文言はありません。いま問われているのは、国家間の賠償問題ではなく、被害者個人に対する謝罪や賠償など被害者らが納得する形での解決なのです。

Q2 村山談話などで過去の戦争に対して反省の言葉を述べているじゃない?

 A:確かに、終戦50年に際し、村山首相が出した談話(1995年8月15日)では戦争への反省と被害を受けた人達へのお詫びが表明されています。しかし、反省は、被害者である中国国民に受け入れられて初めて意味があります。日本政府は、戦時中に犯した一つ一つの事件について責任を認めず謝罪もしていません。ましてや、小泉首相がA級戦犯を祀る靖国神社を参拝したり、閣僚が「従軍慰安婦」の存在を否定する発言をするなど反省の言葉に反する行動をしており、村山談話の精神を引き継いでいるのか疑問と言わざるを得ません。この点はドイツとまったく異なっているといえます。

Q3 戦争被害者がたくさんいるので、個人がその賠償を求めると、収拾がつなかいのではありませんか?

 A:例えばドイツでは戦後、国内外の戦争被害者に対し、年金や一時金の支給をしています。同じように、日本政府も、特に「戦争犯罪」や「人道に対する罪」にあたる被害者に対して、それぞれに対応した適切な賠償や補償をすることは可能なはずです。しかし、戦争が終わってから現在に至るまで、日本政府は何の謝罪や賠償もしてきませんでした。

Q4 中国人の戦後補償裁判は中国政府が外交カードとして利用しているとか、日本の弁護士が掘り起こしたと言われることもありますが?

 A:そうではありません。中国政府は当初、被害者らが裁判を起こす動きに対してむしろ消極的でした。そこで被害者は、自ら北京の日本大使館へ要請書を送るなどして日本政府に対し謝罪や賠償を求めていました。しかし、日本政府もそれを全く無視する態度をとったため、被害者の人たちが日本政府を相手に訴訟を行うしかないと考え、訴訟を起こすに至ったのです。

Q5 日本人も戦争で被害を被りましたが、戦争に犠牲者はつきもので、ある程度の犠牲は仕方がないのではありませんか?

 A:戦争は甚大な犠牲者を生み出す最悪なものであることは言うまでもないのですが、「戦争犯罪」や「人道に対する罪」に値するような、戦争中においても絶対に許されない行為があり、国際法として成立しています。たとえば、生体実験(731部隊事件)とか住民虐殺事件(平頂山事件)、日本に拉致してきての強制労働(強制連行事件)、女性を拉致監禁し性暴力を加えること (「慰安婦」事件)などがそれにあたります。これらの被害と一般の戦争被害を一緒にすることはできないと思います。

Q6 戦後60年以上経つのに、どうして今ごろ裁判をしているのですか?

 A:日本政府はこれまで、戦争被害者個人に対する謝罪や賠償、名誉回復を行ってきませんでした。また中国と日本は、1972年までは国交がなく、戦争被害者が日本に来ることはまず不可能だったのです。さらに中国人個人が日本政府に対して裁判を起こせるかどうかについては、戦後50年間は中国政府が態度を明らかにしていませんでした。 1995年、当時の中国の外務大臣である銭其環が中国人個人にその権利があることを明言したことによって、ようやく門戸が間いたのです。なお、ドイツでは戦争犯罪に時効はないとして、現在も罪の追及がなされています。

Q7 中国人戦後補償裁判なんて、勝てる裁判ですか?

 A:私たちは、十分に蔚てる裁判だと思います。敗訴した裁判もありますが、重要な点は、裁判所が証拠に基づいて事実を認定し、「国家無答責」や「除斥」などの法律上の壁を乗り越えて勝訴した判決も生まれていることです。国、そして加害企業に対し、司法を通じて解決を迫る事は、被害者らの傷は60年経った現在も続いているのだという事を直接わかってもらう事のできる、重要な手段なのです。

Q8 日本とドイツはよく比較されますが、ドイツの戦後補償はどうなっていますか?

 A:ドイツでは、戦後すぐに「連邦援護法」「連邦補償法」「連邦返済法」などの戦後補償関連法の制定や、戦犯を追及するなど自ら過去の罪を追求する取組を続けてきています。 1985年5月には、ヴァイツゼッカー大統領(当時)が、過去の罪を直視し責任をもつことを訴える演説をしました。また、2000年7月、ナチス統治下で強制労働に従事させられた120万人以上の人々への補償のために、政府と企業の拠出による「記憶・責任・未来」基金が設置され、補償が行われています。このように、ドイツでは過去の罪を直視する取組が繰り返し行われているのに対して、日本ではその取組が全く行われていないことが問題とされているのです。

Q9 中国ではなぜあれほどまでの「反日行動」が起きたのでしょうか?

 A:先のデモのなかで起きた破壊行為・暴力行為には賛成できません。しかし中国では、親族の中の誰か一一人は必ず日本軍の侵略戦争により死傷したと言われています。その事実と怒りや悲しみは、親から子、子から孫へと語り継がれています。日本政府がその加害事実を反省していないかのような態度をとる(たとえば、首梢の靖国参拝や閣僚の妄言など)ことにより、その怒りが吹き出た事が、デモが起こった一つの大きな要因ではないでしょうか。こうした怒りを汲み取り、両国民が和解するためには、まずは加害者である日本が率先して侵略の事実を認め、被害者の方に対して、誠実に謝罪、その証としての賠償を支払う事が求められているのではないでしょうか。

Copyright © 中国人戦争被害者の要求を実現するネットワーク All Rights Reserved.