千里ニュータウン 開発40年、深刻な老朽化

 

 千里ニュータウンの学校を語るとき、まず私たちの頭に浮かぶのは緑に恵まれた広い敷地と、施設・設備の老朽化の深刻さです。
 旧市内の学校の特徴と問題点と同様にニュータウンの学校の特徴と問題点を揚げてみます。

   

府企業局が
コンペ方式で建設

 千里ニュータウンの学校は、大阪府企業局の手によって開発行為の一環として作られ、吹田市に移管されました。(一部例外があります。)
 千里ニュータウンの各学校は、ニュータウンのショーウインドウとして位 置づけされ計画されました。一つの町毎に特色のある学校をつくるため、コンペ形式で設計・建築が行われました。それぞれの学校が個性あふれるデザインとレイアウトで設計、施工されました。

新築時は
全国から見学者

 広い敷地面積、低層の校舎(一部で3階建て校舎がある)、低学年での広い教室と専用学級園といった基本計画を元に、多様な校舎レイアウトが見られます。新築からしばらくは、全国から見学者が訪れるほど注目されました。吹田の学校教育施設の特色であるニュータウン以外では、多く見られる開放廊下校舎も、千里ニュータウンでは一部だけです。

ヨーロッパ的特徴も
老朽化は危険レベルに

 優れた基本的な計画の学校は、レイアウトだけでなく天井に明かり取り窓のある教室や独立性の強い下駄 履き校舎といった他には見られないヨーロッパ的な特徴もありましたが、建物・設備のグレードは、Pタイルに見られるような標準的なものでした。独創性あふれる学校教育施設を維持管理するには、その水準に合わせた適切なリフレッシュ計画を系統的に実施しなければなりません。しかし、1987年から1992年にかけて行われた大規模改造工事も、少ない予算を広い部分に使おうとしたため屋根、外壁以外は、改修が不徹底でした。

(大規模改造工事で使われた予算)
 

創立40年を迎える学校があるにも関わらず、鉄製サッシの窓・ドアは交換されないまま、塗装をしただけの箇所はスムーズに動かなかったりすぐに外れたりするなど、日常の使用に問題がある状態ですが、そのような部分は全体の60%を超えています。
 設備の老朽化だけでなく、建物の老朽化も深刻で、コンクリート駆体の亀裂、表面 の剥離、モルタル左官部分の浮きといった現象が急激な進行を見せ、落下箇所が多く確認され危険なレベルになっています。

児童・生徒数の回復
問われる再生計画

開発から40年が経過し、千里ニュータウンの学校教育施設の老朽化は、早急な再生計画の策定と実施を求めています。これまで、千里ニュータウンの学校は、ニュータウンの社会成熟に伴う影響を受け、急速な児童・生徒の減少が続いてきましたが、この数年再開発の進行する地域では、児童・生徒数の回復する傾向がみられ、改めてこの課題が大きく問われようとしています。
 府営住宅建て替えに伴う増加は、高野台・古江台地区で、民間分譲マンション開発による増加は、 藤白台地域で著しく児童一人当たりの校舎床面積と運動場面積は、旧市内並に狭くなっています。

   

1 広い校地面積

 

 

   

旧市内平均よりも
7000m2も大きく

 千里ニュータウンにある10校の小学校敷地面 積は、平均で21600もあります。それ以外の小学校27校の平均校地面 積が、14300ですから、7000も大きいのですが、旧市内の学校2校分に当たる、25000前後の学校が、6校あります。

樹木の多さは
他市の3〜4倍

 過去20年以上にわたって吹田市では、緑化推進に取り組んできましたが、大阪府下では吹田市だけが面 積比20%の緑化目標を学校にも当てはめることを行いました。この面 積比の基準になる数字には、運動場面積が含まれるという今考えても異常な緑化推進ががむしゃらに押し進められました。
 その結果は、他市の学校に比べて3〜4倍という樹木の多い学校環境を生み出すことになりました。
  この広さは、良好な環境に保つための管理作業が大きな負担であることを示しています。

   
   
   

分割された
竹見台小と南竹見台小

千里たけみ小学校として再生

初の総合的な耐震補強工事着手

 開発当初の計画での学校児童数は、700人前後を想定していましたが、実際には、ピーク時の児童数は1000人を超えたために、校舎の増築に追われるケースもありました。しかし、ニュータウンの開発後期にあたった竹見台地区の開発では、採算性を追求したために高層団地の比率が大きくなり、計画想定していた児童数を遙かに超える事態が生まれたため、竹見台小学校の分割を行わなければならなくなりました。
 そのため、竹見台小学校と南竹見台小学校は、広い一つの運動場を共用することになっていました。この2つの小学校は、2003年4月統廃合され千里たけみ小学校となりました。2004年度事業として吹田市教育委員会は、旧竹見台小学校部分の学校施設の耐震補強工事に着手しました。千里たけみ小学校の耐震補強工事は、吹田市の学校施設では初の全体的なものとなります。

 
 

   
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