低層の校舎、標準教室の広さ(60)の1.5倍の広さがある低学年教室、教室前の専用学級庭、天井のアクリドームや明かり取り窓、下駄 履き校舎といった学校建築が、町の特色ある学校と言う位置づけの元、コンペ方式で計画・施工が行われました。ヨーロッパの学校建築をモデルにしたような特色あるデザインが、ニュータウンの学校には見られます。 理想的な計画とデザインに比べて、建物の建築仕様は見かけ倒しの内容でした。新しい建材であったPタイルや直貼りのモザイクタイルと呼ばれる小さい木片の床材は、水に弱く学校の使用条件には合わないものでした。 写真 管理棟以外に10もの建物が見られる青山台小学校です。左奥にのみ2階建ての校舎が見られます。
独立性と安全性 下駄履き校舎
下階の左の扉が下足ホール。右は、水道と倉庫になっている。下階にはトイレもある。校舎をくぐり抜けたむこうは運動。 上階は、教室で廊下で管理棟とつながっている。 学年毎の生活空間の独立や運動場へのアクセスの容易さを兼ね備えた優れた設計として評価されました。災害時の避難経路を考えても、集積度が少なく安全性は高いといえます。 この下駄履き校舎は、開校時3棟あったが児童数の急増で運動場側に1棟増築されました。青山台小学校
専用の中庭 広い教室
2教室とトイレ、下足室の1年生棟には、2クラス専用の中庭があります。 教室も8m×8mプラス教室の後ろに3.5m×8mの一段高いコーナーがあります。 写真奥が管理棟で、下足室は左手前にあります。
青山台小学校
低学年用グランド
1,2年生の校舎に隣接する低学年グランドには、ブランコ、ジャングルジム、低鉄棒が整備されています。木立と学級園と低学年が走り回れる適度な広さのグランドは、多様な遊びを生み出します。
藤白台小学校
天窓があり 明かり取りと換気
屋根の向こうに見える小さな窓は、低学年教室の天窓です。明かり取りと換気を適切にすることが狙いでした。
千里ニュータウンの学校建設の理想は、昭和20年代に出来た設備基準を抜きん出たものでしたが、実際建設工事に当たり施工された工法や材料は、事務所ビルの床材として利用されだしていたPタイルを床材として使うなど、学校の特性にあったものとはいえませんでした。 また、断熱材として教室天井に直吹きされていた発ガン物質のアスベストが、文部省の指示で撤去されたのは開校から20年も経ってからのことでした。
鉄骨作りの平屋建て校舎
鉄骨にコンクリートパネルを貼りつけ、教室の2辺をガラス窓として大きく開口した低学年校舎。隣接して低学年専用の小さなグランドがあります。 開放的で明るい教室ですが、窓の上部は開けることが出来ないためと屋根がトタン貼りの条件が合わさって、夏場の暑さは大変です。 高野台小学校
同じく重量鉄骨プレハブ作りの2階建て校舎 藤白台小学校
廊下に貼られたPタイル Pタイルは、床を平滑に仕上げられたコンクリート又はセメントモルタルの床に、厚さ2mmの合成樹脂製の床材を、接着剤で貼りつけます。 接着剤は、経年劣化によって柔軟性を失い剥がれやすくなりますし、水をこぼしたりしても剥離が促進されます。水や砂埃の影響を受けやすい1階の床に使うのはよくありません。