トップページ  病気の解説  手術の説明  くすりの説明  その他

  ● 頚椎後方除圧術●
   
  ● ページの内容 ●
 頚椎後方除圧術について解説します。この手術法は首をうしろを切開して頚椎を展開して骨を削り脊柱管へ到達し神経を除圧します。骨を削る量を少なくすることで頚椎の安定性維持する工夫として、骨(椎弓)の真ん中に切れ目を入れて左右に開くという工夫をしています(椎弓形成術)。
   
■ 頚部脊柱管狭窄症に対して行う場合
  下の図は手術手順の概略を示しています。
1. 頚椎を後ろななめからみた模型
2. 手術で椎弓に切れ目をいれて両脇に溝を掘った状態
3. さらに椎弓を左右に開いて神経が見えた状態
   
   下の図は頚部脊柱管狭窄症に椎弓形成術を行う場合を解説します。
   ■ 症例の提示
   この方法での手術症例を紹介します。症例は80歳の女性で以前から肩凝りと手足のしびれがありましたが、最近に指先のしびれが強くなり食事や着衣がやりにくくなりました。字も上手にかけません。ビリビリとしたしびれが足先にもありましたが、さらに足がふらつくようになり歩きにくくなりました。足を少し広げて転ばないようにゆっくり歩きます、階段は怖くて下ることができません。病状が進行してついに歩けなくなったために受診しました。頚部脊柱管狭窄症による頚髄症が原因です
    下の図は手術前と手術後のMRI検査の結果です。手術では脊髄の通り道(脊柱管)が狭く、脊髄が窮屈な状態にありますが、手術後には脊髄の前後に白く見える部分(脊髄液のスペース)が確認できます。穴のあいた黒い四角は右のレントゲン写真に写っている椎弓スペーサーです。
   
 手術の説明のイラストを下図に示します。
   手術では第3頚椎からから第6頚椎までの範囲の椎弓形成術を行いました。
   ■ 手術の効果と手術後の経過
    手術から2日目からは起き上がって歩く練習が始まります。首を動かすとまだ傷口が痛みますので2、3週間はやわらかめの頚椎カラーで首を支えます。リハビリを2週間ぐらいすると、この方の場合は足の異常な硬さがとれてきてスムーズに歩けるようになりました。ただし、手足のしびれは少し軽くなったものの残っていて気になります。神経のダメージは完全には回復しないことが多いため、しびれなどの後遺症を残さないためにはひどくならないうちに手術を受けることがよいでしょう。