俯瞰図socio-economic macro-data on → 第二次ベビーブーム世代

    ・生息状況:出生(出生数/出生地)、生存と死亡(人口/全人口に対する構成比/居住地域/死亡率/自殺率)、結婚出産

    ・仕事の状況:就業/失業/非労働業界、職種  

    ・家庭環境:母親の世代父親の世代兄姉家電製品普及率、  

    ・教育環境:進学率大学受験競争倍率先生の日教組加入率先生の世代分布、   

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                          (c)Tirom.,2003.    

 

第二次ベビーブーム世代の死亡状況

 

  乳幼児期は結構死んだが、
   物心ついたあと、
   ほとんど死なない世代。

第二次ベビーブーム世代の死亡率 

上のグラフは第二次ベビーブーム世代の死亡率(一年間に、10万人あたり何人程度の頻度で死んでいっているか)の推移。

4歳までの乳幼児期には、一年間に10万人当たり250人以上という頻度で死亡。

子供時代は、一年間に10万人当たり25人程度、ティーンエイジ期以降現在までは、一年間に10万人当たり50人程度という頻度(年0.05%)で死亡。

つまり、第二次ベビーブーム世代のほとんどは、物心ついてから現在に至るまで、同世代の死に直面することなく生きてきたのである。

※左図のデータソース最新版
  『平成14年度人口動態統計上巻

※資料所蔵機関検索→ここから

 

 この死亡率の推移を、戦前生まれの各世代、戦後最初の世代である第一次ベビーブーム世代と、比較したのが下のグラフ。
 乳幼児期の死亡率は、戦前各世代、第一次ベビーブーム世代ともに、このグラフにおさまらないほど、高かった。これと比べると、第二次ベビーブーム世代の乳幼児期の死亡率は、目を見張るほど低い。
 また、成長後の死亡率の推移も、第一次ベビーブーム世代の半分近く、戦前生まれの世代と比べると、1/3,1/4などというレベルに抑えられていることがわかる。
 ↓

 第一次ベビーブーム世代以降の戦後世代の死亡率と比較したのが 下のグラフ。
  第一次ベビーブーム世代よりも、その直後の 50年代前半生まれの方が死亡率の高い時期もあったものの、それ以外では、世代を下るにつれ、徐々に、死亡率が低下していっているのがわかる。乳幼児期の死亡率低下の激しさには、眼を見張るものがある。
 ↓
 

 

 第二次ベビーブーム世代以降の世代の死亡率と比較したのが右のグラフ。第二次ベビーブーム世代以降も、徐々にではあるが、死亡率は低下し続けている。

※ここまでの図のデータソース最新版
  『平成14年度人口動態統計上巻

※資料所蔵機関検索→ここから

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第二次ベビーブーム世代の自殺状況

 

  20 代前半までは、最低レベルの自殺率。
  しかし、
  20 代後半で
  戦後生まれの平均的水準まで上昇。

第二次ベビーブーム世代の自殺率

 

第二次ベビーブーム世代は、一年間に、どれくらいの頻度で自殺してきたのか。この頻度を、男女別に、人口10万人当たりで示したのが、左のグラフ。年齢とともに悩みも増えるのか、 10 代のころより 20 代前半、 20 代前半のころより20代後半、と、自殺率は上昇。この上昇傾向は、男女ともにみられるものの、女性の自殺は、男性の半分程度にとどまっている。

さて、ここに示された第二次ベビーブーム世代の自殺率は、高いのか、低いのか。他の世代と比較して、検討してみよう。

まずは、第二次ベビーブーマー 男性 と、戦後生まれ各世代の 男性 とで、自殺率の履歴を比較。
男性の自殺率:第二次ベビーブーム世代と戦後各世代

10 代後半の自殺率について。高いほうから並べると、
 '50 年代後半生まれ=10 万人当たり 12.6 人( 1975 年)、
 '60 年代前半生まれ=9.5 人( 1980 年)、
 第一次ベビーブーマー '50 年代前半生まれ=8 人程度…
と続いて、結局、 第二次ベビーブーム世代は、 10 万人当たり 4.8 人('90 年観測 )。これは、 70 年代後半生まれや 80年代前半生まれを下回り、 10 代後半自殺率の戦後最低記録

20 代前半の自殺率について。高いほうから、
''50 年代後半生まれ=10 万人当たり 26 人( 1975 年) 、
'50 年代前半生まれで 24.3 人( 1980 年) 、
'70 年代後半生まれ 10 万人当たり 22 人( 2000 年)…
第二次ベビーブーマーは、 15.3 人(観測時点 1995 年)で、 '60 年代後半生まれの 14.2 人に次いで 二番目に少ない 20 代前半自殺率

 このように、第二次ベビーブーマー男性は、 20 代前半まで、戦後生まれ最低レベルの自殺率を誇っていた。
しかし、 20 代後半では、自殺率が平均的水準まで上昇 してしまった (上グラフ )。
 第二次ベビーブーマー女性 と、戦後生まれ各世代の 女性 とで、比較してみても、同様の結果。

女性の自殺率:第二次ベビーブーム世代と戦後各世代

10 代後半・ 20 代前半女性の自殺率をみると、第一次ベビーブーマー50 年代生まれが高水準で、第二次ベビーブーマー60 年代後半生まれが最低水準

ところが、 20代後半女性の自殺率をみると、第二次ベビーブーマー、ハイペース自殺集団の第一次ベビーブーマー50 年代前半生まれと、自殺ローペース集団の 50年代後半60年代後半生まれとの、ちょうど中間に位置

もし、自殺率を不幸のバロメーターとすることが許されるならば。
第二次ベビーブーム世代は、
    不幸を徹底的に排気した「ほぼ無菌状態」の青年時代から、
    20 代後半になって「初めて」「突然」
    不幸に直面しうる世界に突き落とされた世代、
というところか。

次に、戦前生まれの自殺率(下グラフ)と比較してみよう。

 
男性の自殺率:第二次ベビーブーム世代と戦前各世代
女性の自殺率:第二次ベビーブーム世代と戦前各世代

やはり、第二次ベビーブーム世代の 20 代前半までの自殺率の低さが目立つが、 20 代後半になって、戦前生まれにかなり追いついてきたかなぁ、という感じ。

また、興味深いのは、戦後生まれで自殺率が高い1950年代生まれ男性第一次ベビーブーマー女性・1950年代前半生まれ女性など問題にならないほど高い自殺率を記録した人たちが戦前生まれにいること。昭和一桁生まれの男性・昭和年から昭和15年にかけて生まれた女性が、昭和30-35年、きわめて高い自殺率を記録している(いわゆる「第一次自殺ブーム」)。荒井由実『ひこうき雲』や、井上陽水『傘がない 』などを聴くと、第一次ベビーブームその後の世代が70年代に大量に自殺していたかのような印象を受ける。しかし、実態としては、昭和30年代に発生した戦前昭和生まれの自殺ブームと比べると、たいしたことはないようだ。「都会では自殺する若者が増えている(井上陽水『傘がない 』)」というよりも、むしろ、自殺する若者は減ってきたが、まだまだ多い、というほうが、実態に即していたようだ。

※ここまでの図のデータソース最新版
  『平成14年度人口動態統計上巻
資料所蔵機関検索→ここから
関連文献

社会科学者・政府の目線:
  古典『自殺論』→最近の分析例東京都衛生研究所
哲学者の目線:『自殺について
当事者の目線:
   『自殺のコスト』『完全自殺マニュアル
   『自殺―生き残りの証言

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