その3

8/10(火)


先ほどの木々を抜けると、広大な畑の中に道が続いていた。ここから赤城山まで、基本的に日を遮るものがなく、ひたすら日なたを走ることになる。


辺りは一面畑。畑の向こうには山々が見える。山はどこまでも続き、この辺りは山に囲まれているのがよくわかる。車もほとんど通らないので、のどかな道を気ままに走って行けた。


きれいに整列している野菜。絵になる風景だ。この道はツーリングマップルにも「高原野菜畑の中」とポイントが書かれている。


今走っている道は「赤城道路」という道。左に割と新しめの道が延びていた。周りに何もないので、遠くまで見渡せて気持ちがいい。


しばらく走っていくと畑エリアが終わり、勾配がきつくなった。まだ午前9時だというのにものすごい暑さ。天気がいいのは気持ちいいが、日を遮るものがないので直射日光とアスファルトの照り返しで蒸し焼き状態。こまめに水分補給をするようにしているが、ちょっとでも気を抜いたら日射病になってしまうだろう。


急斜面をヘロヘロになりながら上って行くと、道ばたに自販機が。これは天の恵みだとばかりにフラフラとそこへ吸い込まれた。自販機の小さな影に入り込み、コーラを飲んで水分補給とエネルギー補給。おれは普段炭酸飲料はほとんど飲まないが、こういうときは炭酸飲料の糖分の多さが役に立つ。


日陰と日なたの温度差がすさまじい。再び日なたに出るのが嫌になるほどだ。一時の休憩を終えると、コーラのゲップをして、出発。目の前にはまだまだ急な坂が続いている。まだまだ山頂まで15kmはある。先は長い。


しばらく急な坂をあえぎながら上っていくと、ようやく傾斜が緩やかになった。振り返ると、今まで上ってきた道が角度が変わっているために見えなくなっていた。序盤からこんなにきついと、この先の赤城山、そしてその後の榛名山ヒルクライムまでちゃんと走りきれるのか、ちょっと不安になる。

暑くて汗だくになりながら走っていき、ふと、レッグウォーマーを履いているのはロスになると気付いた。朝起きたときは冷え込んでいて寒かったので履いて出発したが、今となってはサウナスーツに近い。ちょうど日陰があったので、そこへ止まって脱いだ。すると足が涼しくなった。これはいい。


赤城山の標高は1400mほど。S720iの高度表示を見ながら走っていく。700m、800m、900m…とじっくりと高度を上げていく。周りを木に覆われているので展望はないが、一部だけ開けているところがあり、山々に囲まれたいい感じの眺めが広がっていた。

標高945mまで上がったところで、急に下りになった。ひたすら上りだと思ったので、これには驚いた。上りで疲れているので、下りは楽して進めるのがいい。しかし、これからまた下った分上らなければならないので、心の中で悲鳴をあげながら下って行った。


せっかく稼いだ高度を、なんと200mも下ってしまった。ここからまた650m以上、上りがある。別の道と合流し、T字路を右へ曲がる。ここからさらに勾配がきつくなっていた。ここから山頂までの10kmは平均勾配6.4%と、それまでの10kmよりも勾配がきつい(これらのデータもそのときは知らなかった内容)。


普通の道ではヘルメットを付けているが、この山や峠などの長い上りでは暑くて汗が出まくって汗を拭くのが大変なので、ヘルメットは装着しないでハンドルバーやキャリアの上に付けて頭を身軽にした。夏用のヘッドバンドも通常は汗を額で止めてくれていいのだが、ここまで汗が流れ続けると機能を果たさない。なのでハンドルバーに乗せておいた。

サングラスも汗を抜くのにジャマなのでとる。とにかく、あまりに汗が出るので、頭や顔に何も付けたくない。30秒に一回は汗をタオルで拭う。ときにはそれ以上の頻度で汗を拭う。絶え間なく流れ出る汗。体温調整機能が働きまくりだ。失った水分を補うべく、こまめに水分補給をしていく。


赤城山ヒルクライムの後半は、直線の上り→カーブの連続。地図上でも道がグニャグニャと続いている。ほとんど日陰がなく、展望もない。道の造りが似ているので、どこまで上っても同じ景色に見えてくる。カーブを曲がると、あれ、ここはさっき走った道では? と思ってしまうほどだ。


一定のペースで上っていくが、次第に足に疲労が溜まってきて、苦しくなってきた。暑さがジリジリと体力を奪っていく。ところどころで小休憩しながら上っていく。辺りは静かで、とても気持ちがいい。交通量も少なく、一人だけで走っているのがほとんどだ。けたたましい音を立ててバイクがよくローリングしながら通るのが耳障りだが、許容範囲かな。


カーブには番号がついている。いったいいつまでこの上りが続くのかと思うほど先が見えない。カーブの番号は最後には51になった。山頂に近づくと、それまでより山が近く見えてきたので、いよいよもう少しだなと感じた。


当初、赤城山の標高は1300mだと思っていたので、1200m台後半まで来たら「あぁ、あと少しだ」なんて思っていたのだが、1300mを越えてもまだまだ上りが続くので、精神的にも肉体的にもきつかった。最後の方は足が痛くなってきて、かなりいっぱいいっぱいだった。

標高1400mを越えて、ようやく頂上らしき所にやってきた。その先は下りになっている。一番高いところに沼などがあると思っていたので、意外だった。100mほど下ったところに大沼があった。ここの標高が1300mだったので、頂上が1300mだと思っていたのだ。だまされたー。


赤城山山頂にある大沼の周りを流していくと、大きな駐車場に商店があったので、そこで水分を補給した。そこにはアイスも売っていたので、ICE BOXも買って、氷入りのドリンクにした。保冷効果のあるボトルを使っているが、これを入れておくとさらに冷たさが長続きするのでいい。昼間は暑すぎてすぐ温くなってしまうから。


大沼の周りをグルッと回っていくと赤城公園の碑があったので、記念撮影。赤城山には11時頃到着した。気温が高く、日なたのためにジッとしているだけで汗が大量に流れていく。赤城山の上りであまりに汗が出たので、体の中の水分が全部枯れてしまったような感じがした。水分補給していたから大丈夫だとは思うけど。


今日2つ上る山のうち、まず最初の山、赤城山を上りきった。ここは上毛三山の一つ。この後、やはり上毛三山の一つ榛名山を上りに行く。まだまだお楽しみ(&苦しみ?)は続く。

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