その6
8/9(月)
草津で標高が900mほどまで下がったが、次の暮坂峠は1088mなので、あまり標高差がないから大したことないだろうと思った。しかし、草津を過ぎても下りは続き、どんどん高度を下げていった。おいおい、これからまた上るんだからあまり下らないでくれよ…とか思った。
草津を過ぎて六合村に入ると、道の雰囲気がガラリと変わり、人気のない寂しい雰囲気になった。実際、民家もほとんどなく、薄暗い山道を下っていった。空は相変わらずどんよりした灰色の雲で、いつ雨が降り出してもおかしくはない。そしてまた雷鳴が鳴り響き、ヒヤヒヤさせられる。
辺りはすっかり深い山々に囲まれ、ものすごい山奥に来てしまったかのようだ。どんどん下っていき、道の駅六合もスルーし、下りきって県道55号へと曲がったとき、標高750m以下まで下がっていた。これからまた300m以上上る事になる。
県道55号に入るといよいよ今日最後の峠、暮坂峠へのヒルクライムが始まる。いきなり10%超の激坂が始まり、かなり苦しい。上昇距離は渋峠に比べれば大したことないが、こんな勾配が続いたのでは疲労が溜まっている体にはきつい。
この道は「日本ロマンチック街道」に指定されている道。8月号のサイスポにツーリング特集があったが、そこで紹介されていた道だ。どんな気持ちいい道かと期待していたが、かなり寂しい雰囲気の道だった。路面も荒れていて、一部工事中の区間はダートになっていて、パンクしないか心配だった。
カーブをまがっても、どこまでも上り坂。そんなときでも、S720iの計測データが心を支えてくれる。峠の標高はマップルで分かっているので、今の標高と比べれば、あとどれくらいアップすれば峠なのかが計算できる。距離は、地図上では曖昧になってしまうが、標高は揺るぎない。
しばらく坂を上っていくと、花畑が広がる何かの施設の前を通った。ちょっと殺風景な景色が続いていたので、ちょっと心が和む。
この道は、車もほとんど通らない。気ままでいいと言えばそうだが、夕方の薄暗いときは、ちょっと心細い感じもする。この施設だけが、唯一まともに人がいる場所だった。
日本ロマンチック街道の看板があった。今は六合村で、今日の宿泊地である中之条町も、明日のルートの途中までこの日本ロマンチック街道だ。このときは気付かなかったが、明日の最後の方に走る榛名山もこの街道に入っていた。
ようやく暮坂峠へ到着。思っていたよりきつかった。峠には茶屋があり、数台車が停まっていて休憩しているようだった。
暮坂峠の看板の前にて。今日のヒルクライムはこの峠で終わり。ここまでで、すでに約2300mもアップしている。後は中之条町まで20km下り基調。
長い坂や猛烈な暑さ、雨などで体はもうヘトヘト。足も重くなっている。暮坂峠を過ぎると、とにかく早く中之条の宿でゆっくりしたいという気持ちだった。だから、後は「消化距離」という感じすらあった。でも、意外にもここから中之条までの間の景色もよかった。
きっと晴れていればもっといい景色なのだろうが、この曇って薄暗い独特の寂しい雰囲気の中、深い山々の間に続く道の景色がいい感じだった。
下りはガンガンペダルを踏み、出せるだけのスピードで走っていった。まだ雷鳴が轟き、雨を降らす雲が近づいてきているような感じだったので、それから逃げる意味でも飛ばした。
しかし、雨からは逃れられなかった。再び雨が降り出し、雨中走行となった。でも、渋峠で降られた雨に比べたらまだマシなほうだ。レインジャケットを着て走っていく。
道幅が狭くなった辺りで雨がさらに強くなった。どうもブレーキの感じがおかしいので止まって見てみると、なんとブレーキが片効きになっていた。アーレンキーで調整して走り出す。その後も小雨の降りしきる中走り続け、R353に出てしばらく走ったところにあるセーブオンで買いだしをした。
今日泊まる予定の宿は中之条駅の近くにある。中之条の中心街に近づくと車がやたら多くなってきた。車の列に混じって進んでいく。ふと、後輪のリムがブレーキシューに擦っているのに気付いた。さっきブレーキ調整をしたばかりなのに…。そんなときに何が起こっているかは、すぐ想像できた。リムが振れているのだ。
後輪を回してみるとポテチのようにグワ〜ングワ〜ンと揺れる。元々、この旅に出発する前から少し振れていたが、荷物を積んで走っているうちに振れが大きくなってしまったようだ。ある意味、当然の結果だ。明日は群馬の主要都市の近くを通るから、どこかショップで見てもらう必要があるかもなぁと思った。
中之条駅の前の交差点までやってきた。宿はこの辺りのはずだ。地図も持っているし、だいたいの位置は把握しているのだが、それらしき看板や建物が見あたらない。宿に電話をしてみると、やはり近くにあるようだが、まだよくわからない。
やっとわかったとき、宿の前を2往復くらいしていたことが判明。ちょっと内側に入り組んでいたのと、看板が想像していたのと違ったので気付かなかった。「久保田旅館」という宿なのだが、入口の看板には「凹凸館」と書いてあり、「凹凸」で「くぼた」と読むらしい。
宿に入った瞬間に外は土砂降りの雨になった。すごいタイミングだ。昨日もそんな感じだったし、ある意味おれはついているのだろうかと思った。もうちょっと到着が遅れたり、見つからずにウロウロしていたらずぶ濡れになっていたところだ。やはり暮坂峠から飛ばしてきてよかった。
宿のおばちゃんはとても感じのいい人で、丁寧に対応してくれた。自転車は広い玄関に入れさせてくれた。荷物を部屋に置いたらすぐシャワーを浴びて、その後夕食を食べるように全部準備してくれた。
この宿に入ってすぐ感じたが、ずいぶんと古い造りのようだ。聞いてみると、100年以上の歴史がある建物らしい。古くさいというわけではなく、歴史を感じる、趣のある建物だ。部屋は2階で、急な階段を上がったところ。
ここは本当は長い廊下をグルリと回ってからでないと入れない部屋だったらしいが、利用しやすいように壁をぶち抜いて入口を作ったらしい。なので出入り口が小さく、忍者屋敷のようだ。頭をぶつけないように注意されたが、1回振り向き際にぶつけてしまった。
この日の客はおれしかいなかったので、気楽だ。話を聞くと、一人だったから泊めてもらえたらしい。本来は昔からのお得意様しか泊めない宿らしいが、この日は他に誰もいなかったからOKだったとか。
とにかく雨や汗で体が湿っていて気持ち悪いので、早速シャワーを浴びる。そして、その間に洗濯機で今着ていた衣類を洗濯した。洗剤も使わせてもらえた(使い切りパックの洗剤は一応持っている)。タオルも貸してくれたし、本当に至り尽くせり。
シャワーを浴びると、夕食。すごい種類と量の食事が出てきて、走ってきて腹が減っているのに食べきれないほどだった。それぞれがとてもおいしかった。TVを見ながらゆっくりと夕食を食べ、SUNA Lifeのモブログを更新したりした。
おれが宿に入った瞬間に降り出した豪雨は、おれが寝るまでも寝てからも降り続き、夜通し降った。雷鳴もしたが、それより屋根などに強く雨が打ち付ける音が大音量で夜通し続いたのに驚いた。夜のうちに全部降り尽くして、明日は晴れてほしいなぁなんて思った。
地図:Map | データ:Polar Data | |
出発:6:45 | 到着:17:52 | |
走行距離 | : | 112.6km |
走行時間 | : | 6h 05m 30s |
平均速度 | : | 18.8km/h |
最高速度 | : | 55.9km/h |
上昇距離 | : | 2330m |
温度(最低/平均/最高) | : | 16℃/25℃/37℃ |
積算距離 | : | 5773km(ロード) |
カロリー消費量 | : | 1602kcal |
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