その5
8/9(月)
まだ衣類などは濡れているが、レストハウスでだいぶ生き返った。濡れたグローブをはめて、再び走り出す。
横手山から渋峠までの区間もかなり景色がいいのだが、今は雲と霧でいまいち。どうしても青い空と緑の山々の景色が広がっていた2年前の光景と比較してしまう。「あのときはすごい景色だったんだけどなぁ…」と。2年前が運がよすぎたのか。
これから走る道が、遠くの山肌に見える。あの辺りは渋峠を越えて下っている途中だ。あの辺も濃い霧に覆われている。
スポット的にレストハウスの上だけ雲の切れ目があった。先ほど休憩して生き返った横手山レストハウスを振り返る。
少し走って行ったところで、寒くてアームウォーマーとレッグウォーマーを着込んだ。ここから渋峠まで、あと少しだ。雨も止んだし、気分も上向きに。
そしてついに、渋峠(2172m)に到着!! 2年前の感動が蘇る。再びここへやって来たのだ。初めて来たときの感動も大きかったが、2回目にはまた変わった感動がある。2年前と同じ場所で、写真を撮った。ちなみに、2年前の写真はこちら。あの頃とは、自転車も装備も、ほぼ全て変わっている。同じ物といえば、ヒップバッグと青いウィンブレ(このときは着ていないけど)くらいだろうか。
峠にある渋峠ホテル。ホテルの真ん中で県が分かれているようだ。2年前はこのホテルで昼食を食べた。ここからは群馬県。まずは草津まで長い下り坂を下る。
渋峠へ到着する前から霧に覆われているのが見えたので何となく予想していたが、下り始めてすぐ、濃い霧の中に突入した。視界が悪く、道の先が見えない。
下を見下ろして見ても、ただ白い霧があるだけで何も見えない。2年前は、最初はこんな感じだったが、すぐ霧が晴れて、いい景色が広がった。しかし、今回はそこまで期待できないだろう。
渋峠からの下りで、最初に現れるお気に入りのスポットにやってきた。曇ってはいるが、やはりここからの眺めはすごくいい。山肌に続く道を下っていく。
少し下ったところから、横手山方面を眺める。空は、やはり一面雲に覆われている。
FZ2の望遠で横手山のレストハウスを撮った。上のパノラマ写真の右の辺りにちょこんと出っ張っている部分がレストハウス。
さらにもうちょっと進むと上りになるが、ここが一番好きなところ。曇っているのは残念だが、眺める景色は壮大。晴れている景色は2年前に見ているので、逆に曇っているときの景色も知れて、ある意味よかったのかもしれない。いや、できれば今回も晴れて欲しかったけど…。
緩い上り坂を少し上って山田峠を越えると、後は草津までひたすら下りが続く。眼下に県道466号との交差点が見える。この眺めは道がグニャグニャしていて、印象的だ。2年前もやはりここで立ち止まって写真を撮った。
今までさんざん上ってきた分、下りを思う存分に楽しむ。コーナーはインを攻めて、思いっきりガンガン下っていった。そしたらあるカーブでRを読み間違えて突入してしまい、思ったよりカーブがきつくて反対車線に飛び出てしまった。ちょうど対向車が来ていて、「うわっ、ぶつかる!!」 と一瞬覚悟をした。
しかし、車はうまく避けてくれたのでギリギリ、本当にギリギリ接触せずに事なきを得た。たぶん、車との間は5cmもなかったと思う。あれは完全におれが悪いので、車のドライバーには本当に悪いと思った。それからは安全走行で行こうと心に決めたのであった。
少し下ったところで弓池という池があり、観光客がけっこういた。木製の遊歩道が続いていて、散歩しながら観光するにはちょうどよさそうだ。
左側には丘があり、頂上へ続く一本の道に人が行列を成して上っていた。その光景が、なんとなくマンガ『聖闘士星矢』の中で、キャンサーのデスマスクの必殺技「積尸気冥界波」で見た冥界の光景にちょっと似ているような気がした。どうでもいいけど。
弓池を過ぎると、いよいよ10km以上続く長い長い下り坂。ここが最高に気持ちいい。そして景色がいい。2年前とは違って下界の草津の温泉街までは見えないが、先ほどまで降っていた雨が止んでいる事を嬉しく思うべきだろう。2年前は下が短パンで寒すぎて凍えてしまったが、今回はレッグウォーマーで防寒対策はバッチリだ。
これから下っていくであろう道が、眼下にどこまでも続く。車もほどよく途切れていて、流れもいいので、写真を撮ったり、流れが途切れたところでまた走り出したりして、自由に下って行けた。こんなに気軽に道の端に止まって好きなところで写真を撮れるのも、自転車だけの特権だ。
下っても下っても、まだ下りが続く。遙か遠くまで、下りが霞んで見える。でも、それ以上上ってきたのだ。これくらい下って当然だ。
下っている途中で、自転車を押して上っているサイクリストがいた。「がんばれ〜」と声をかけてあげた。荷物満載だったが、押しが入っているところを見ると、けっこう疲れているのだろう。まだ頂上まで距離があったので、がんばってほしいと思った。
その後、硫黄が吹き出している付近を通った。ここは毒性があるので停車禁止の区間。自転車だとモロに吸ってしまうので、かなり苦しかった。通過した後、ちょっと咳き込む。
長い長い下り。下って下って、ついに草津まで下ってきた。ここも懐かしい。2年前はここで温泉に入り、泊まる予定のキャンプ場を探したらキャンプ場がなくなっていて、道の駅で野宿をした。あのときは寒くて辛かったが、今となってはいい思い出だ。
草津の草津交差点にあるコンビニでドリンクとおにぎりを補給。2年前はここを右折したが、今回は直進する。温泉街は少し回ったので、まだ見覚えのある町並みだ。しかし、温泉街を抜けてさらにR292を進むと、すぐに初めて走る道となった。2年前の旅のルートをなぞるのはここまでで、ここからまた新鮮な旅が始まる。
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