その1

社会人2年目の夏。去年の夏休みは、夏休み直前まで仕事に追われていて、夏休みの予定などを立てる余裕がなかった。本当はしまなみ海道へ走りに行きたかったけど、行動が遅すぎて交通機関の予約などの折り合いがつけられず、断念。『るるぶ』などの旅情報誌を買ってまで行く気まんまんだったのだが…。

今年は、去年の失敗を教訓に、早めに行動を起こしたかった。しかし、夏休みがいつあるのかけっこう直前まで不明だったので、結局直前でゴタゴタすることになった。夏休みの期間がわかったのが2週間前だったので、それから行動を起こすことになった。

年に1度の9日間の連続した休み。この夏休みに何をするか。それはやはり一番好きなことを思いっきりやってリフレッシュするのが一番。こういう長期の休みにしかできないことをやっておきたい。おれの場合は、もちろん自転車でのツーリングだ。

しかし、かつて大活躍し、8年間使いつぶしたMTBは、今となってはガタガタだ。見た目の塗装の剥げなどは目をつぶるとしても、フレームのBB付近がいかれているのでペダル1回転ごとに「パキパキ」と音が鳴る。BBを交換しても同様なので、完全にフレーム側が逝っている。音だけでなく振動も伝わってきて、走っていて非常に不快感がある。

MTBがそんな状態なのもあるが、去年の夏に購入したロードにはまっているため、今年の夏はこのロードレーサーで旅をしようと考えた。ロードで旅をするために必要な道具などを持っていなかったため、休みまで1回だけの週末は買い物に費やした。

さて、旅で走るコースだが、やはり今年も候補はしまなみ海道。そして、夏の定番北海道。この2つに心が傾いていたが、すでに休みまで期間がなく、検索や予約などの行動が間に合わない可能性が高かった。がんばれば何とかとれないこともなかったかも知れないが、直前になり、なぜかそこまでの気力がなかった。

それは、旅に出る気力がなかったわけではなく、「別にしまなみや北海道でなくてもいいかな」と思うようになっていた。ちょうどこの月のサイスポ（サイクルスポーツ：自転車雑誌）で、「日本ロマンチック街道」をロードで走る、2泊3日のツーリングを紹介していた。

始めは「へぇ〜」という感じで何となく見ていたが、旅のコースを考えているとき、「これいいかも」と思うようになった。長野、群馬の辺りは、ほとんど走ったことがない。そして山々に囲まれて、自然を満喫できる。当然ヒルクライムも堪能できる。そして何より、新幹線で2時間もかからないでアクセスできる上に、帰りは自走で帰ってくることも可能だ。色々調べたり考えたりしているうちに、このエリアに走りに行くことにほぼ気持ちが固まった。

当初、雑誌で紹介されている日本ロマンチック街道を走るルートをそのまま走り、中禅寺湖から南に折り返して群馬へ戻り、上毛三山を上って自走で帰ってくるという感じのルートを考えていた。しかし、宿泊地の間隔や予約状況が難しく、1日の距離もかなりあり、計画は困難になった。

それから、仕事が終わって帰ってきてからネットや地図で色々調べながら考えて、会社の昼休みはネットで宿の検索などをし、残り少ない時間でコースを考えに考えた。夏休みを存分に楽しめるか、台無しになるかは、正に死活問題。ある意味仕事以上に真剣だった。

最終的には、上田を出発し、長野、群馬、埼玉の山々を巡って自走で帰宅する4泊5日のツーリングに計画が決まった。日本ロマンチック街道は、部分的に走るが、それにはあまり固執せず、それよりも上り応えのありそうな峠を中心にコースを組んだ。

まず最初に、コースの紹介をしておく。地図上でどんなルートを走ったのか簡単に把握してからの方が、レポートを読むのにも、写真を見るのも楽しいだろう。今回走ったエリアは、この日本地図の赤い四角の枠の中。

このエリアを拡大し、今回のルートを線で書いたのがこの画像。ファイルサイズはそこそこだけど、解像度がかなり大きいので、一度に見られない方はスクロールしながら見ていただきたい（ディスプレイの解像度がXGA以下だと確実にスクロールが必要になる）。

今回の旅のテーマは、あまりハッキリとは決めていないが、強いて言えば「ヒルクライム」かな。あえてきつそうな山を、峠を上るようなコース設定にしてある。それから上毛三山（赤城山、榛名山、妙義山）は全部上っておきたかった。

なぜあえてきつい坂を上るのか？ それは、そこに山があるから。道があるから。もしかしたら、すごくいい景色がそこにあるかもしれないから。きつければきついほど、自分の力のみで上りきったときの達成感が大きいから。限界へ挑戦することで、自分を鍛えられるから。

さぁ、4泊5日のヒルクライム三昧の旅、次のページからいよいよ写真とレポートが始まる。実際に自分も走っているつもりで読んで、見てもらいたい。

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