その2

8/9(月)


セブンを出発して少し走ると立ヶ花橋にやってきた。ここからR117を離れ、県道29号線へ移る。普通は道路の左側を走るが、この交差点は右側にしか横断歩道がなく、さらに橋にある歩行者用の道も右側にしかなかったので右側を渡る。


立ヶ花橋からは、信越本線の立ヶ花駅が見えた。線路は一本で、電線もなく、シンプル。そして駅そのものもシンプルこの上ない。改札もなければ駅員もいない。神奈川や東京の駅に見慣れていると、こういった駅がとても新鮮に見える。

駅には地元の中学生くらいの女の子グループがホームを歩いていた。他にも電車を待っている人が数人。ホームに屋根がないので、雨が降ったときは大変そうだ。それにしても、なんだか和む風景だ。殺伐とした都会の駅とは別世界。


県道29号からR403へ曲がり、志賀中野有料道路の出口の所からR292へ。ここから渋峠を越え、草津までこのR292を走る。この辺りの交通量はそこそこだが、道が充分に広いので走りやすかった。


これから向かう山々が、次第に大きく見えてくる。あの高い山々のどこかを走って向こう側へ向かうのだろうか。今からワクワクしてくる。


それまで空一面を覆っていた灰色の雲が晴れて、青空が広がった。ずっと曇り空を覚悟していたので、これは嬉しい限り。青い空の下を走ることで、さらにテンションが上がってくる。いよいよ緩やかな上りが始まり、少し上ってから、今まで走ってきた方向を振り返る。


今いる場所は晴れているが、山の方は大きな雲に覆われている。雨が降っていなければいいのだけど。そんな心配もしつつ、走っていく。


山がどんどん近づいてくる。その大きさと高さに驚き、そして期待に胸膨らむ。これから渋峠まで1700m以上上る。こんなに高低差がある峠は、そうないだろう。


立ち止まって道の脇を見る。畑のハウスがたくさんあった。緩やかな山肌にもハウスが。青空が広がり、山の頂上付近は雲に包まれている。


辺りに民家などがなくなると、ひたすら山へ向かって続く道となった。遠くまで続く直線の道が気持ちいい。


ハンドル周り。ステムの後ろにはTNIのBENTO BOXを装備し、ここに補給食を入れた。信号待ちや走りながら、サッと簡単に補食できるのがいい。旅で特別追加したのはそれくらいで、後はPOLAR S720i、フライトデッキ、勾配計、ライトなど。

反対側から、サイクリストが下ってきた。荷物を装備していて、旅の途中のようだ。昨日見たのは軽装のサイクリストばかりだったので、おれと同じように荷物を積んで何泊もするツーリングをしているサイクリストは、この旅ではこの人が初めてかも。お互い嬉しくなり、笑顔で挨拶。



しばらく走っていくと、道の駅「北信州やまのうち」にやってきた。ここらで休憩をするが、道の駅は右側にあるために道路を横断しなければならない。しかし、最初から道の駅には寄るつもりはなかった。道の駅の反対側、つまり左側にはセブンイレブンがあったから。これは最新のツーリングマップルに載っているので、把握していた。


ここでドリンクや食料を補給する。休憩は、当然日陰を選んでする。まだ午前9時過ぎだというのに、とにかく暑い。日陰でおにぎりを食べながら休んでいると、R292を渋峠方面へ向かうサイクリストを2人ほど見かけた。どちらも軽装でサイドバッグなどは装備していなかった。1人はこちらに気付き、手を振ってくれた。

その3へ

1日目へ   1 2 3 4 5 6  3日目へ