2004年度 中小企業診断士一次試験問題

作成日:2004-09-21
最終更新日:

問題

経営情報システムを見て

8月に行なわれた試験のうち、経営情報システムを見た。相当難しい。ざっと見た限り、 確実にわかるもの5割、おそらく正しいもの3割、自信のないもの2割といえる。 そのうち、赤裸々に自分の考えを述べる。正しいかどうかは全く保証しない。

第11問 では、 プロジェクト管理のための標準的知識体系PMBOK(Project Management Body of Knowledge) の説明を求められている。次のことを覚えておけば、わかるだろう。

第17問(ウイルスメールの扱い)

ウイルスメールはやっかいである。「電子メールを使わない」という究極の回答も考えられるが、 それをやっては話が進まない。まじめに考えてみよう。 メールは手軽な情報発信・受信手段である.その一方で濫用するとウイルスの感染の拡大のもととなったり、 インターネットのトラフィックの増大により通信路の渋滞を招いたりする。 そのため、扱いには注意が必要である.以下、問題文を通して考える.

HTML メールは、テキストのみで記述されている。しかし、だからといって実行ファイルが添付される心配がない、とはいえない。 テキストのみでも実行ファイルが添付され、実際に実行されるような HTML メールがある。 また、、悪意のあるファイルにリンクされる恐れもある。そのため、積極的な利用は勧められない。 自分が相手にメールを出した後、相手から「HTMLメールはやめてください」というメールはなかっただろうか。 それを思い出せば、積極的に利用する、という回答は出てこない。

知人からウイルスの実行ファイルが添付されたメールが届いたとき、その知人に注意するのは理にかなっているようで、 実は間違っている。というのは、届いたメールの差出人がその知人であるとは限らないからである。 (別の理由は、トラフィックの増大につながることがある)。ウイルスメールは、宛先、差出人とも勝手な名前を使って 来る例が多い。ウイルスが来たら、だまって捨てるのがよい。

知人からウイルスに関するメールをもらっても、そのメールを転送してはいけない。 これは、その情報がガセ(にせ)の情報である可能性があること、また、多くの人に転送することにより トラフィックが増大し、その結果インターネットの利用に支障をきたす(メールが送れない、動作が遅いなど)ことが あるからだ。このような場合は、然るべき信頼のおけるサイトを見て、その対処をするべきである。 たとえば、ipa のセキュリティサイト(http://www.ipa.go.jp/security/、jpcert のサイト http://www.jpcert.or.jp/)がある。

ウイルスメールは、Webブラウザと連携してウイルスを広めることがあるので(そのようなブラウザが悪いのだが)、 Web ブラウザのアップデート(更新)についての留意が必要である.中には、更新した結果ブラウザが使えなくなることも あるのが悩ましいところだ。

第18問 (統計分析方法)

成績の違いの有無を調べる統計分析方法である.名前がわからない場合は常識で考えよう。 成績が平均値であると考えれば「平均値の差の検定」という答になる。この検定に替わる 現代的な推定の方法は、私のホームページで紹介している。

以上のように書いたのはまちがいであった。誰も見ていないだろうが訂正する。 平均値の差の検定は2群の平均を比べるときにしか使えない。 3群以上の差の検定をするときは、分散分析になる。(2004-11-07)

他の分析方法について説明する。 t検定とは、回帰分析において、回帰に用いられる変数を採用すべきか否かを表す方法である. ステューデントのt分布を用いた検定の総称である。 判別分析とは、2群(あるいはそれ以上の群)からなるデータにおいて、 各データがどちらの群に入るかを分析する方法である。 分散分析とは、2種類の観点でYes/Noを判断されるデータに対して、 この2種類の観点が独立か否かを分析する方法である. それぞれ、私のホームページで解説している。

付記:気になって調べたら、上の答でよいかどうか、自信がなくなってきた。理由は、 「平均値の差の検定」は、方法に対する名称であり、 「t検定」は手段に対する名称であることに気付いたからである。 もう少し詳しくいえば、 平均値の差を検定する場合に、t 分布を使う検定、すなわち t 検定を行なうのが普通だからである。 ということは、この問題は「平均値の差の検定」も「t検定」も正しいということになり、 4択問題として不適当となってしまう。これでいいのだろうか不安である。 しかし、問題の意図は、「営業社員の成績に違いがあるかどうか調べる」ことである。 そのため、その意図をはっきり表した「平均値の差の検定を行う」ことを選ぶことにする。

もう一つここでおかしいと思うのは、 「各社員について担当顧客の営業データをランダムに100件ずつ抽出した。」というくだりである。 今はコンピュータも発達したので、わざわざ100件を抽出する意味がないと思われる。 むしろ、3人の社員の営業データが個々どれだけあるかがわからないと、正しい値は出せない。 仮に社員A,B,Cがいて、Aはデータ1,0000件、Bはデータ1000件、Cは100件あったとする。また、 成約数がそれぞれ100件、10件、1件だったとする。サンプリング100件の結果、 すべて成約数がそのうち1件だったとする。では、A,B,Cの実力が同じといえるだろうか。 母集団が違うのだからいえないだろう。少なくとも、母集団の数に言及していないこの問題では、 そのため、どの方法を使うかという設問が意味をなさなくなる。私の心配はそこにある。

第19問(時系列分析)

回帰分析、時系列、残差の分布、自己相関に関する設問である。 文章の意味がとりにくい。グラフで書くとわかりやすいが、ここでは省略する。

残差とは、予測値と実績値の差である。

自己相関がない状態では、残差分布が正規分布となる。 この対偶をとれば、「残差分布が正規分布でなければ自己相関がある」となる。

残差のプロットはゼロを中心に分布しているはずである。 (そうでなければ、回帰分析をした結果とはいえない。)

上に凸の大きな弧を描くとあるが、これは正の自己相関の特徴ではない。 プロットしたときに、左下から右上に関して直線状にプロットが密集している場合は、 相互相関が強いということである。これは、自己相関の特徴ではない。

自己相関があるのは、予測のモデルが現実を表しきれていないからである。 来客数と売上高の相関をいうのであれば、これは相互相関である。

自己相関があることを確かめるには、スクリープロットではない。 スクリープロットは、主成分分析での主成分の大きさを高い順にプロットした図である。 残差に自己相関があることを確かめるには、自己相関関数をプロットする必要がある。

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MARUYAMA Satosi