Sorry Mate! ――― ピートと戦った男たち

ITF(国際テニス連盟)および ATP の資料から、
5回以上対戦した選手たちを3つに分類


対戦回数が比較的多い選手たちを、好敵手・(いわゆる)カモ・天敵の3つに分類してみました。この分類はあくまでも学芸員の独断と偏見・印象によるものです。

好敵手と天敵の分類は微妙です。大きく負け越した相手は1人もいない以上、一般論ではこれらの選手も好敵手と言えるでしょうが、ピートの場合は負け越し自体が稀、長くトップの座にいた事などから、「苦手としていた、または苦手っぽかった」選手を天敵としました。

主な選手について、対戦成績の詳細・プロフィール(現役選手については2005年6月15日現在)・思い出話などを紹介しています。
また、ここに登場する選手たちを生まれた年ごとに分類してみました。→こちら

好敵手
アンドレ・アガシ 20勝14敗
マイケル・チャン 12勝8敗
ボリス・ベッカー 12勝7敗
ゴラン・イワニセビッチ 12勝6敗
ステファン・エドバーグ 8勝6敗
ギー・フォルジェ 5勝4敗
ブラッド・ギルバート 5勝4敗

年下の選手たち *カッコ内は年齢差

マーク・フィリポウシス(5歳) 7勝4敗
トミー・ハース(7歳) 5勝5敗
レイトン・ヒューイット(10歳) 4勝5敗
マラト・サフィン(9歳) 3勝4敗


アガシは、対戦回数も飛び抜けて多く、ピートに対して10勝以上挙げている唯一の選手。最後はピートが3連勝し、逃げ切りの形となりましたが、名実ともに最大のライバルだったと言えましょう。

初期はチャンを苦手としており、ハードコートで初めて勝ったのは、なんと1993年USオープンでした。敗戦のうち5回(5連敗!)は1990年までのもの。またフォルジェ、ギルバートとは年齢差もあり、好敵手というよりは初期における苦手な相手と言えるかもしれません。

ピートより5歳以上年下で、5回以上対戦した選手の中では、この4人が際立っています。いずれも早くから頭角を現したゆえ、対戦回数も多かったのか、はたまた不思議な縁でもあったのか……。初めはピートがリードし、晩年になるにつれて負けるようになっていきました。栄枯盛衰は世の習い……?

(いわゆる)カモ?

*人数が多いので、ピートが5勝以上した相手にしぼりました。

セドリック・ピオリーン 9勝0敗
デビッド・ウィートン 8勝0敗
マリバイ・ワシントン 7勝0敗
バイロン・ブラック 6勝0敗
ミカエル・ティルストロム 6勝0敗
アルベルト・コスタ 5勝0敗
ダニエル・バチェク 5勝0敗
ヤン・シーメリンク 5勝0敗
マグナス・グスタフソン 5勝0敗
マルセロ・フィリピーニ 5勝0敗
シェーン・シャルケン 5勝0敗
ステファン・シミアン 5勝0敗

マーク・ウッドフォード 10勝1敗
グレッグ・ルゼツキー 9勝1敗
ヨナス・ビヨルクマン 9勝1敗
トッド・ウッドブリッジ 7勝1敗
ティム・ヘンマン 6勝1敗
ヤコブ・ラセク 6勝1敗
アーロン・クリックステイン 5勝1敗
マルク・ロセ 5勝1敗

エフゲニー・カフェルニコフ 11勝2敗
アレクサンドル・ボルコフ 9勝2敗
トーマス・ムスター 9勝2敗
トーマス・エンクウィスト 9勝2敗
リッチー・レネバーグ 6勝2敗
アンドレイ・メドベデフ 6勝2敗

トッド・マーチン 18勝4敗
ジム・クーリエ 16勝4敗
パトリック・ラフター 12勝4敗


上2つのグループに関しては、何も言う事はありません。まさに "Sorry Mate!"「デヘヘ…すいませんねぇ」って感じ? ルゼちゃん、あんたも「カモ」だったのよ、なんてね。もっとも、ピートが6年連続1位を目指して、疲労困憊の中で戦っていた1998年の秋、ルゼツキーはパリ・インドアで虎の子の1勝を挙げたいや〜な(笑)奴です。

下2つはやや微妙か。レネバーグメドベデフは勝率3割以上ですから、順位などを考慮すると、善戦したと言えるでしょうか。

ピートに対する苦手意識をハッキリと口にしていたのは、カフェルニコフでした。ピートが欠場した1999年の全豪で優勝した時には「ピート、出場しないでくれてありがとう」なんて言ってくれちゃうし、ATP 最終戦では「ここで1敗しておけば、決勝までピートと当たらない」とか、トップ選手にはあるまじき?発言をする「うい奴」でした。

天敵(もしくは学芸員がそう思っていた人)
リチャード・クライチェク 4勝6敗
ミハエル・シュティッヒ 4勝5敗
セルジ・ブルゲラ 2勝3敗
ポール・ハーフース 1勝3敗(参考)

ハイメ・イサガ 3勝3敗

ウェイン・フェレイラ 7勝6敗
マグナス・ラーソン 7勝4敗
ファブリス・サントーロ 4勝3敗
アレックス・コレチャ 5勝3敗

ペトル・コルダ 12勝5敗
カロル・クチェラ 7勝1敗


クライチェクを筆頭に、5回以上対戦してピートに勝ち越したのは3人。いずれも同年代の選手ですから、正真正銘の天敵か。とはいえ、逆の立場から見れば好敵手レベルの成績で、ピートに勝ち越す事自体が希有だったゆえに「天敵の称号?」を得たとも言えます。フェレイラは、ピートとの順位差、対戦回数もかなり多い中でこの成績ですから、やっぱり好敵手というよりは天敵ね。いつもピートはやりにくそうだったし、全盛期に4連敗してるもんなぁ。

クライチェク、シュティッヒは、ピートと似たプレースタイルで、より大型の選手。自分を拡大したようなタイプが苦手だったのか(そういえばフィリポも)……。エドバーグ、ベッカーもこの範疇かと思いますが、年齢差もあってピートが勝ち越せたのかな? 逆にイワニセビッチは、初期はピートに勝ち越していたし、ポテンシャルからいって天敵になる可能性もあったと思いますが、大舞台での敗戦がトラウマになったのか、例の気性ゆえか、後半は「カモ」的な対戦成績となりました。

イサガ、ラーソン、サントーロ、コレチャには五分以上の成績ではありますが、好敵手というよりも「縁起の悪い?相手」でした。彼らとの順位差、どんな場で負けたか、負け方などが影響してるかな。勝つにしても苦労してた事が多かったし。名前を並べてみると、みんな「くせ者」と言えますね。

意外だったのは、天敵的存在と思い込んでいたコルダには倍以上勝っており、クチェラには1敗だけだった事。数字だけ見ると、コルダは好敵手とまでも呼べない存在だった事になります。クチェラに至ってはカモの部類? グランドスラム大会での敗戦や、ピートのやりにくそうな風情がそう思わせたって事かな。

対レジェンド(参考)

*彼らとは年齢が10歳以上離れています。

ジミー・コナーズ(19歳) 2勝0敗
ジョン・マッケンロー(12歳) 3勝0敗
イワン・レンドル(11歳) 5勝3敗


コナーズはデビューが、なんとピートの生まれる前年。それでも対戦があったなんて、「コナーズ殿、あんたは偉い!」の一言です。レンドルは好敵手と呼べそうな対戦回数と成績。マッケンローが早熟型だったのに比べて、後期まで安定した強さを保ち、ピートを苦しめたわけね。


*ピートの対戦成績の全容をご覧になりたい方は、こちらへ。

・ATPサイトより Pete Sampras - How He's Fared Against His Opponents
http://www.atptennis.com/en/sampras/opponent_records.asp

・ITFサイトより Head to Head
http://www.itftennis.com/mens/players/HeadtoHead.asp?player=10001217&event=

SEARCH FOR OPPONENT のウィンドウの中に、各選手の苗字を英語で入れてください。もしくは「資料館」トップページの「ITFによるサンプラスの全成績」の原典「こちら」に貼ってあるリンクからITFサイトに飛ぶと、そこにある選手名の横に「Head to Head」のリンクがあります。



特別展示室目次へ戻る Homeへ戻る