4.2 ツェルマットからシューンビル小屋へ
7:30頃目を覚まし、ツェルマットのガイドブックを読む。8:30頃朝食をとり、ともかく身支度を整える。フレデリックが9:00頃天気予報を聞いて、「明日の天気はどうなるかわからない。つまり北部は天気が悪く、南部は天気が良いということだ。丁度この山域がそのボーダーになっているので判断しがたい。
ただ明後日はまた天気が悪くなると言っている。」と言う。つまり今日シューンビル小屋まで行っておき、明日アローラまでトレースをつなぐというのがラストチャンスになるわけだ。我々はすぐ準備をしてフーリーへのロープウェイ乗り場に出かけた。相変わらず雪が舞っている。
フーリーから2人の同行者があった。2人共シューンビル小屋の関係者らしい。彼らの先導もあって、かなりいいペースで距離を稼ぐ。ツムット氷河の岸は雪が少なく、所々岩石が頭を出していて、スキーで踏まないように随分気を使った。右岸から左岸に移る頃から時々ガスが薄くなって、マッターホルンがシルエットとなって浮かび上がりかけた。僕は度々それをビデオカメラに撮ろうとするが、準備が出来た頃にはまたガスに隠れてしまう。しかしそんなことを繰り返すうちにマッターホルンは徐々に長くはっきりと姿を見せるようになっていった。
そして我々が小屋に着く頃、眼前の霧が溶けるように消え、マッターホルンをはじめ、ダンデヘレン、テットドヴァルプリンなどが巨大な山体を目近に見せつけて我々を圧倒した。僕は何度も飽きずにビデオを回し、スケッチをした。この瞬間があっただけでも幸せだった。だがそうして山が姿を見せていたのはほんの1時間程で、再び辺りは霧に包まれていった。そして夜が訪れた。
現在9:45、雪は降っているが星がいくつか見える。山は・・・ベールの向こうだ。もう寝ることにする。
続きを読む
ホームページに戻る