3.29 シャルドネのコルからシャンペ
     そしてベルビエからモン・フォー小屋へ

ベルト針峰 早朝6:15頃出発、小屋の前から急なアイスバーンのトラバースが始まる。ヘッドライトをつけての滑降で、若干緊張させられた。昨日山頂に懸かっていた雲も切れはじめ、時折月明かりのようなものが山を照らすようになっていた。長いシール登行の間に徐々に夜は明け、赤い朝日がコルを越えて背後のベルト針峰・ドロワットをまぶしく染めて行く。コルを横切るガスも美しい。

 シャルドネのコルはなかなかの急斜面で、まず相棒が6mm位のザイルで確保されて、横滑りで降りていった。続いて僕だが、同様に下降するものと思って、相棒のビレシャルドネのコルイオフしたザイルを手繰り上げていると、えらい剣幕でフレデリックに怒鳴られた。どうやら肩がらみで降りなければならなかったようだ。フレデリックは僕が降りるとザイルを回収して降りてきたが、やはり相当の脚前を持っている。ここは広い谷で、そしてとても静かだ。ここは既にスイスである。

 サレイナの窓を越える。前方に氷河が見えるが、トリエン氷河である。トリエン小屋の側を通って、氷河の脇を滑り降りた。急な斜面で緊張させられる。少しトラバースして登ったところがエカンディのコルだ。あとはシャンペに向かってアルペッティの谷をひたすら下る。雪がめまぐるしく変化する。クラストしたところではかなり滑りにくかったが、フレデリックがフランスの諺で「悪い雪というのはなくて、いつでも悪いスキーヤーがいるだけだ」というのを教えてくれた。

サレイナ氷河トリエン平原

トリエン氷河シャンペの牧場 シャンペではやっとビールにありついたが、すぐにバスがやってきて、あわてて流し込んだ。オルシェーレに向かう車窓からはのどかで美しいU字谷が広がっており、何度もビデオを回した。学校に向かうのか途中で乗ってくる子供達は皆可愛らしくて、幸せな気持ちになった。

 オルシェーレでランチを食べる。ソーセージがやけに旨い。こんな旨いソーセージは日本では食えないと僕がいうと、フレデリックは「ヨーロッパではどこでも食えるよ」といった。

 タクシーでベルビエに向かう。ベルビエは大きなスキー場で、スイス最大だそうだ。 相棒がここでチューブワックスを買う。彼の持ってきたパラフィンワックスはシールの接着剤のために良くないと言われたのだ。

 僕達は割といいペースでここまで来ており、少しゆっくりしてロープウェイに乗った。ここでもやはりロープウェイはゴツゴツした岩の上に架かっており、心地悪いくらいだが、同じ車両に乗っている子供達は無邪気で明るい。こうしたスキー場がヨーロッパでは一般的なのだろう。そういえば神田さんが「日本人はスキーはスキー場でやるものだと思っているけど、モンフォー小屋スケッチヨーロッパ人は山の遊びと考えている。だからオフピステに飛び出すのは当たり前だし、誰もがそれを楽しんでいる。」と言ってたことを思い出す。

 モン・フォー小屋はロープウェイの終点レ・アッテラからトラバースしながら一息滑ったところで、スキー場の中にあった。めちゃくちゃ大きなスキー場だ。2年前に出来た百人も乗れるロープウェイが、更に上までスキーヤーを運び上げている。

モンフォー小屋にて モン・フォー小屋の料理はスープとスパゲッティだったが、何もかもとても旨かった。泊まっていたのは我々と、そしてもう一パーティー、同様にオートルートをやっているベルギー人とフランス人のパーティーだけだった。彼らのガイドもシャモニのガイドで、フレデリックとひとしきり話し込んでいた。やがて静かな、いい夜がやってきた。


シャルドネのコル通過ムービー(4.1MB)


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