QアンドA18-2
『日本の戯曲三篇』p.68
「アワターラヤ」(『亡霊』、原題『葵上』より)

No-18-2 2015-Apl-12
シンハラ翻訳文 / 読み / 日本語への直訳     原文


දාන් ඉතින් ඔය කතාව නවත්වමු  
dhaan ithin oya kathaava navathvamu
もう それなら あなた(の) 語り(話)-は 止めましょう  

もうそんな話はやめませう
六条
එහෙනම් නවත්තමු
ehenam navaththamu      
それでは  やめましょう。
මේ විදිහේ දේවල් ගැන කතාබහ
この  さだめ (の)  こと   について  会話
කර කර ඉන්ඩ තියෙන එක ම
  して      いる    ある   ことは  私に

නම් ලොකු වසනාවක්
とって(強調) 大きな 仕合せ

さうね、/
こんな話が /
できるうちは あたくし /
まだ仕合せなんだわ。
光 
දාන් නම් ඔයාගෙ ගේ මට හොඳ පේනව.
今、  まさに  あなた- 家が   私- 本当-(よく)見える
දෙවෙනි තට්ටු වේ ජනේල්වල ත්
 二つ目の  階(二階)- の    窓-と
බැල්කනි යේ ලී වැටත්
  バルコニー    木   枠 - 
හොඳ පේනව. ගෙදර කවුරුවත්ම
本当- (よく)  見える。   家 (には)   誰-
නෑ නේ ද?
ない(いない)

  

君の別荘がだんだんはっきり /
見えてくる。二階の窓の /
格子と,バルコニイの木の欄干が /
見えてくる。誰も /
ゐませんね。

 ●『アワターラヤ(亡霊 ・原題『葵上』)』の一部をシンハラ原文、読み、日本語への直訳で並べました。シンハラ語は、特に例文のような口語体の文章の場合に顕著なのですが、完全に日本語の構文のままに単語が並んでいますから、語順のままにシンハラ文を訳すことができます。
 シンハラ文と和訳には茶色の文字で表した部分があります。これらは、それぞれ対応するシンハラ語のニパータと日本語の助詞です。これが聞き取れて対応の様子が呑み込めるようになると、俄然、シンハラ語の会話学習がはかどるようになります。

 シンハラ語版の題名について----戯曲中、看護婦が「御一人残らずリピドオの亡霊なんです」と言う場面がある。葵上は鬼となった六条御息所に苦しめられるが、その鬼が「リピドオの亡霊」そのもの。アワターラヤとは亡霊のこと。